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『バベル九朔』第9話はSixTONES 高地優吾の台詞に要注目 物語は最終回に向けてさらに加速

リアルサウンド

20/12/14(月) 10:00

 佳境を迎えている日本テレビ系シンドラ『バベル九朔』。今宵我々は、第1話で感じた新鮮な“違和感”に、またしても出会うこととなる。「信じていいのか?」「これでいいのか?」どれほど猜疑心を抱こうとも、『バベル九朔』の世界は容易に我々を取り込んでしまう。

 第8話で回収された、いくつかの伏線。それらは、視聴者がすでに“ひっかかり”を覚えていたものから、「言われてみれば」とゾクっとするような小さな仕掛けまで、巧妙に張り巡らされていた。こうなると、ありとあらゆることを深読みしてしまう。実際、視聴者の間では“バベル”の謎に関するさまざまな考察が日々飛び交っている。いっそ早く結末を知りたい。けれどもうしばらく、この不思議な世界に惑わされていたい。放送は残すところ2話、実に複雑な心境だ。

 “バベル”内部で窮地に立たされた後藤健(高地優吾)とカラス女(青野楓)に、希望の光が見えたかに思えた前回ラスト。並行する現実世界では、九朔満大(菊池風磨)に転機が訪れようとしていた。

 物語のキーである“夢”というバトンが、いよいよ主人公へと巡ってきた。ここまでくれば、あとはゆっくりとブレーキを踏みながら、いざゴールへ―――と、そうはならないのがこの『バベル九朔』だ。まだまだアクセルを踏み込んでくる。第9話の予告編。すでに違和感を感じている視聴者は多いはずだ。本編のほとんどを明かしていながら、それでもなお我々をしっかりと裏切ってくる。言わずもがな良い意味で、だ。

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 バベル九朔地下1階の「SNACK ハンター」では、満大の脚本家デビューを祝したパーティが開催されていた。「まだデビューが決まったわけではない」と慎重な姿勢を崩さない満大だが、テレビ関東のプロデューサー・山下(竹井亮介)に才能を認められたことで一念発起。健のためにも夢を叶えたいと、執筆活動に勤しむ。

 ある日、テレビ局に呼び出された満大。そこで山下の口から告げられたのは、信じられない言葉だった。満大は絶望感とともに、ある願望を抱く。眠りから覚めた満大を、再び山下が訪ねてきた。満大のことを「先生」と呼び、やたら媚びへつらう山下の姿に満大は戸惑うが、ふと、ここは“バベル”の世界なのだと気付く。なんでも思い通りになる“バベル”の凄さを実感した満大は、ひととき願いを叶えてみようと思いつく。

 そうして、父・勝(上地雄輔)と親子水入らずの時間を過ごす満大。言ってほしかった言葉、やってみたかったこと……勝の愛情と温もりに包まれ、満大はすっかり“息子”の顔を見せる。

 夢だった、新作映画の製作発表記者会見。誇らしげな表情で想いを語る満大を、バベル九朔のテナントの皆が笑顔で応援している。隣にはもちろん、健がいる。まさに、満大が思い描く理想の世界だ。しかし会見は、記者からのある要望をきっかけに空気が一変。突如会場を襲う異様な雰囲気に、満大は困惑する。

 ストーリーは右へ左へと振られ、我々はあっという間に世界軸を見失う。しっかりと見ていたはずなのに、決して惑わされまいと覚悟して臨んだはずなのに。本作において、我々が唯一見失わないもの、信じられるもの、それは、主人公である満大の感情だ。たとえ世界がどこであろうと、現実であろうと“バベル”であろうと、いつだって満大の感情はしっかりと描かれてきた。

 満大に感情移入できなければ、きっと我々はこの摩訶不思議な世界に没入することはできなかっただろう。いつだって観る者と手をつなぐように、ともに迷い子となる菊池の芝居が『バベル九朔』を成立させてきた。だが今回、気づかぬほど一瞬の隙に、満大とのつながりがほどけてしまう。すり抜けたかのように、巧みに。

 だからこそ第9話には、これまでとは異なる“得体の知れなさ”があるのだが、『バベル九朔』ファンならばこの感覚、決して嫌いじゃないはずだ。さらに第9話の重要なギミックとして作用しているのが、上地雄輔演じる満大の父・勝の存在。そもそも我々は、勝のことをほとんど何も知らない。そうした大前提を忘れてしまうほどに勝は、自然と物語に入ってくる。満大にとって何よりも恋しかった父として、ふと泣けてくるほどに。

 とはいえ、なんといっても今回のキーマンは健だ。健に、いや、高地優吾に一本とられた。第8話においても、乱高下する健の感情を、緩急のある芝居でうまく演じていた高地。今回、たった一言なのだが、個人的に唸らされた台詞回しがある。どのシーンであるかは、想像にお任せしたい。

 次回『バベル九朔』はいよいよ最終回を迎える。これほどまでに着地点が見えない作品と出会ったのは久しぶりのことだ。わくわくしている。果たして物語はどんな結末を迎えるのか。一瞬たりとも目が離せない。

※高地優吾の「高」ははしごだかが正式表記。

■新亜希子
アラサー&未経験でライターに転身した元医療従事者。音楽・映画メディアを中心に、インタビュー記事・コラムを執筆。Twitter

■放送情報
『バベル九朔』
日本テレビにて、毎週月曜深夜24:59~放送
※Huluでも配信
出演:菊池風磨(Sexy Zone)、高地優吾、池田鉄洋、佐津川愛美、前原滉、アキラ100%、村松利史、上地雄輔ほか
原作:万城目学(角川文庫/KADOKAWA刊)
脚本:田中眞一 吹原幸太
監督:筧昌也、田中健一
音楽:野崎美波
チーフプロデューサー:福士睦
制作プロダクション:ダブ
(c)NTV・J Storm
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/babel/
公式Twitter:@babel_ntv
公式Instagram:@babel_ntv

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