Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

銀杏BOYZ、6年9ヶ月ぶりのフルアルバム『ねえみんな大好きだよ』完成記念! 11週連続・峯田和伸インタビュー連載!!

銀杏BOYZ、6年9ヶ月ぶりのフルアルバム『ねえみんな大好きだよ』完成記念! 11週連続・峯田和伸インタビュー連載!! 

全11回

第2回

20/9/16(水)

銀杏BOYZの6年9ヶ月ぶりとなるフルアルバム『ねえみんな大好きだよ』が10月21日にリリースされることが決まった。本作は、オリジナルメンバー脱退後、峯田和伸1人になってから初めてのフルアルバムになるのだが、この6年9ヶ月を顧みれば、前作からここに至るまでの銀杏BOYZは休むことなくラジカルに動き続けていた。銀杏BOYZ結成から17年間の活動の中でも、かなり濃厚な時間を過ごしていたわけだが、これらの経験や刺激が、銀杏BOYZにとって最も重要なアルバム制作にどう反映されたのだろうか。また、誰もが新型コロナウイルス感染拡大による制限や影響を強く強いられている今、峯田はどんなことを考え、銀杏BOYZの表現に反映させたのだろうか──。

ここでは、こういった今の峯田が考えていること、アルバム完成までの経緯と思い、収録楽曲についてを徹底インタビュー。アルバム収録曲数「11」にちなんで11週にわたってお届けする(毎週水曜日更新予定)。第2回の今回は、さらに深くアルバムへの想いを聞いた。

オクラ入りとなってしまった『二回戦』

── 『ねえみんな大好きだよ』は、前作『光のなかに立っていてね』から6年9ヶ月ぶりのアルバムになります。前作は峯田さん以外のメンバー脱退などもあり、アルバムそのものというより、そういった背景も込みで聴かれた作品だったのではないかと思います。

峯田 そうかもね。ただ、今回のアルバムもさ、あの頃のことを全く引きずっていないわけではないよ。ヤメていったメンバーのことも入っているだろうし、付き合っていた彼女のこととかも入っているだろうし、全部込めたつもり。

アルバムの構想自体が見えてきたのは2016年の『生きたい』っていうシングルを出してからだったんだ。「この『生きたい』っていう曲が、次のアルバムの軸になる」みたいに考えて、そこからアルバムのイメージが頭に沸いてきたんだよね。

『生きたい』っていう曲自体がさ、チンくん(チン中村。元ギター)、アビちゃん(安孫子真哉。元ベース)、村井くん(村井守。元ドラム)っていうメンバーに出て行かれちゃった僕の恥さらしみたいな曲じゃん。でも、『生きたい』は長いし、重い曲だからね。「あれだけだとアルバムとしてキツい」と思って。『生きたい』を軸としながらも、周りにポップな楽曲を入れることで、『生きたい』を包み込むように聴きやすいアルバムにしたいと思って、曲を選んでいったかな。

── 当初は12曲収録案も考えられていて、これはギリギリまで決まらなかったそうですね。

峯田 シングル『エンジェルベイビー』のカップリングだった『二回戦』を入れるかどうかですっげー迷ってね。『二回戦』は実際に歌詞を変えて、録り直してさ。ミックスして家に持ち帰って何度も聴いたんだけど、でも、今度のアルバムの並びの中に『二回戦』が入ると、なんかギュウギュウすぎた。2時間半ある映画を観てる感じになるっつーかね。聴きやすくないし、もしかしたら「こんな楽曲もありまっせ」みたいにカタログっぽい感じにもなるかもなーみたいな。

また「『生きたい』を軸とするアルバム」っていうことで言うとさ、ピアノで始まる曲は2曲も要らないかとも思って、それで『二回戦』は収録曲から外したっていう。でもまぁ、この先何か別の機会に『二回戦』が入ることがあるんじゃないかな? 前に『ラストラーダ』っていうカセットテープだけのB面集をリリースしたけど、ああいう作品集で『二回戦』は改めて収録できると思うけどね。

ハードコアからハーモニーまで。同じバンドとは思えない構成

── 今作、アルバムの冒頭はハードコアパンク2曲(『DO YOU LIKE ME』『SKOOL PILL』)から始まります。さらに、ミュージックビデオが公開されていた『大人全滅』、メロウで重い新曲『アーメン・ザーメン・メリーチェイン』と続きます。さらに、シングルカットもされた『骨』『エンジェルベイビー』『恋は永遠 feat.YUKI』と続き、ライブでは何度か演奏された『いちごの唄 long long cake mix』と続いた後、軸となる『生きたい』。さらに打ち込みの『GOD SAVE THE わーるど』 が入り、一番最後に9分強と長尺の新曲『アレックス』が来ます。ただ、リスナーの方がここまで読んでも、たぶん「?」となると思います。想像がつかないというか。

峯田 たぶんワケわかんないよね。もしかしたら銀杏のファーストの2枚(『君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命』『DOOR』)のような「インパクトの強いアルバムなのかな」って思われるかもしれないけど、でもあの感じでもないし、もちろん前作『光のなかに立っていてね』とも違う。

聴いてもらわないことにはイメージはつきにくいと思うんだけど、僕からするとさ、これまでの作品よりもさらに恒久的なアルバムにしたかったの。2020年のある時期だけ聴き込むアルバムっていうんじゃなくて、今だけじゃなくてこれから先の未来、どんな時代でも聴いてもらえるように作ったつもり。もし永遠に聴き続けてくれる人がいたら、本当に嬉しいなっていう。

確かにさ、1曲目、2曲目はハードコアだから、これだけを切り取れば直線的で激しいアルバムに聴こえるかもしれない。でも、アルバム全体を通して聴いてもらえば、ちゃんと銀杏BOYZの音になったと思う。刺す力、抜く力、速い、ゆっくり……そういう緩急みたいなものは相当時間をかけて作り込んだよ。

まぁ、アルバム全体をリピートで聴いたとしたら、支離滅裂なんだけどね(笑)。一番最後、綺麗で切ないハーモニーの『アレックス』で終わったのに、リピードで1曲目の再生が始まると、またノイズとハードコア。同じバンドとは思えないかもしれないけどね(笑)。

オリジナルメンバーと作ること・サポートメンバーと作ることの違い

── それまでの銀杏BOYZは特に楽曲作りに関して、いつも苦戦しているようなイメージを持っていました。前作よりも良いものを目指すわけだから、そうなってしまうのは当然ですけど、今回は峯田さん1人になった作品です。やりやすかった点、あるいはやりにくかった点はありますか?

峯田 両方あったかな。ただね、楽曲作り、録音する時間ってことで言うとチンくん、アビちゃん、村井くんでやってた頃のほうが早かったよ。オリジナルメンバーとやっていたときなんて、曲によっては30分で出来ちゃうのもあったしね(笑)。

何故かと言うとさ、チンくん、アビちゃん、村井くんとはライブやレコーディングだけじゃなくて、日常から全て行動を共にしていて関係も濃厚だったでしょ。メンバーそれぞれ好きな音楽、映画、漫画とかもみんなで共有してたわけ。そういう関係だから「この曲は、あのバンドの○○○って曲みたいにしたいなぁ」とか言えばさ、例えばチンくんが「あぁ、あのアルバムに入ってるやつだ!」みたいにすぐ話が伝わる。これはすごく楽だった。

でも、そういうメンバーが抜けてっちゃって、世代も違うし、聴いてきた音楽も違うというサポートメンバーと一緒にやったのが今回のアルバム。そうなるとさ、曲を作る際に話をしても共通言語みたいなものがないから、なかなか伝わらないわけよ。「あのバンドの○○○って曲みたいに」みたいなことを言ってもポカンとしちゃう。そういう伝え方じゃなくて、もっと具体的に「こういう音で、こういうアレンジで、弾いて欲しい」みたいに言わないと伝わらないんです。

だから、レコーディングや楽曲作りで言うと、オリジナルメンバーとやっていたときよりも今回のほうが時間がかかったのは確か。でもさ、サポートメンバーに、なんとかして僕が描いてる音のイメージが伝わったときは、想像してなかったような音になる面白さもあるわけ。「バックボーンが違う人の音が加わることで、もっと面白くなった」みたいな新しい発見がいっぱいあったのも今回のアルバムだったな。

── そのことで、アルバム全体のイメージが変わったり、峯田さんのアルバムへかける心境に変化を及ぼしたことはありましたか?

峯田 それはない。「心境が変わっていく」みたいなことはないね。ただ「良いアルバムを作りたい」っていうだけだね。

もちろんさ、楽曲の細部とか、アレンジとかはサポートメンバーと音を合わせて、どんどん変わっていくことはあるよ。まず僕がスタジオまで、曲の骨組みとか構成とかを持っていくんだけど、サポートメンバーと音を合わせてみてさ、その場その場で「やっぱりこうしたほうが面白いかな」みたいなアイディアが浮かんだりしてね。

楽曲作りはその都度詰めていって、どんどん面白くなるように変えていったし、アルバムが持つ雰囲気みたいなものも結果的に変わってるとは思うけどさ、もともと僕が考えている「こういう音楽にしたい」「こういうアルバムがいい」っていう思いはずっと変わってないね。ここだけはファーストの2枚からずっと変わってないかも(笑)。

銀杏BOYZの音楽を聴いてくれた人が盛り上がってくれて、自分のモノにしてくれて、何か銀杏BOYZとリンクするものが生まれたらいいなっていう。だから、特別なバンドへの取り組み方が変わったっていうこともないね。

※次回へつづく

Text:松田義人(deco) Photo:小境勝巳

リリース情報

銀杏BOYZ ニュー・アルバム『ねえみんな大好きだよ』

【初回盤】
【通常盤】

10月21日(水)発売
品番:SKOOL-049 価格:3,300円+税
収録曲(全11曲)
01.DO YOU LIKE ME
02.SKOOL PILL
03.大人全滅
04.アーメン・ザーメン・メリーチェイン
05.骨
06.エンジェルベイビー
07.恋は永遠 feat.YUKI
08.いちごの唄 long long cake mix
09.生きたい
10.GOD SAVE THE わーるど
11.アレックス

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む