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永遠の門 ゴッホの見た未来

19/11/5(火)

『夜になるまえに』『潜水服は蝶の夢を見る』のジュリアン・シュナーベルが監督し、ウィレム・デフォーがゴッホを演じると聞いたら、観ないわけにはいかないでしょう。そして予想通り、ゴッホを描いた過去のたくさんの作品群と比べても本作はとびきりの傑作だった。 ゴッホと言えば、必ず「耳を自分で切り落とした」「銃で自殺した」「どん底まで貧しかった」「生前にはほとんど絵が売れなかった」といった人間的な悲劇が必ず語られる。それらは確かにたいへんな悲劇なのだけれども、本作が素晴らしいのは、そうした悲劇的人生にだけ焦点をあてるのではなく、彼が絵に何を求めていたのかを究極にまで描き出していることだ。 ゴッホの絵画作品はいま見ても、あらゆる生の美しさにあふれ満ちている。視界に映っている光景から、そういう美を抽出したときの彼はどんなに夢見心地だっただろうか。どんなに厳しくつらい人生であっても、キャンパスを前にしていたその瞬間は、他になにもない無我の境地だったはずだ。シュナーベルはその至高の瞬間を、カザフスタン出身のタチアナ・リソフスカヤが奏でる刹那的なすばらしい音楽とともに、映像として見事に具現化することに成功しているのだ。

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