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フランス最高の古楽団体によるフレッシュな『メサイア』を堪能

ぴあ

19/10/8(火) 12:00

ウィリアム・クリスティ指揮 レザール・フロリサン『メサイア』 (c)Julien Benhamou

チェンバロ奏者、指揮者、音楽学者、教育者として名高い古楽界の巨匠ウィリアム・クリスティが、自ら創設したフランス最高の古楽団体「レザール・フロリサン」を率いて来日公演を行う。この団体名は、シャルパンティエ作曲の音楽劇『レザール・フロリサン(花避ける芸術)』からとられたもので、なんと今年創立40周年を迎える名門中の名門だ。そのレパートリーは、フランス音楽に留まらず、モンテヴェルディ、スカルラッティ、パーセル、バッハ、ヘンデルから、ハイドン、モーツァルトにまで及ぶ幅広さで、世界中のファンを魅了している。

その彼らの今年のプログラムはヘンデルの大作オラトリオ『メサイア』だ。共演するソリストも、クリスティが2002年設立したアカデミー「声の庭」の出身者を多数揃えるなど、巨匠の理想を実現するための陣容で固めた来日公演となりそうだ。

クリスティ自身1944年生まれということは、御年75歳。まさに油の乗り切ったこの時期のクリスティを体験できること、しかもプログラムが『メサイア』であることを心から喜びたい。

●公演概要
10月12日(土)いずみホール
10月13日(日)愛知県芸術劇場 コンサートホール
10月14日(月、祝)東京オペラシティ コンサートホール

●ウィリアム・クリスティ (レザール・フロリサン音楽監督、創設者) William Christie (musical director, founder of Les Arts Florissants)

チェンバロ奏者、指揮者、音楽学者、教育者であるウィリアム・クリスティは、この30年間における最もエキサイティングな音楽的冒険の主宰者である。バロック音楽再発見の開拓者であり、17.18世紀フランスのレパートリーを幅広い聴衆に紹介してきた。彼は、バッファローで生まれ、ハーヴァード大学とイエール大学で教育を受けた後、1971年からフランスに拠点を置いた。彼の経歴は、1979年にレザール・フロリサンを設立した時に決定的な転換を迎えた。
この声楽器楽オーケストラの先頭に立って、クリスティは、コンサートやオペラの舞台にきわめて個性的な爪痕を残してきた。オペラ・コミック座でのリュリの「アティス」で広く認められたのは、1987年のことである。その後は国際的な大舞台で勝利を得てきた。
シャルパンティエからラモーまで、その間のクープランやモンドンヴィルなど、ウィリアム・クリスティは、音楽悲劇、オペラ・バレ、フランスのモテ(ット)、宮廷音楽における議論の余地ない巨匠である。しかしフランス音楽への愛着ばかりでなく、彼はモンテヴェルディ、ロッシ、スカルラッティ、ランディ、パーセル、ヘンデル、モーツアルト、ハイドン、さらにはバッハなどのレパートリーを探索してきた。
近年のオペラ上演として、2011年のリュリの「アティス」、2015年のカンプラの「ヴェネツィアの祭り」、オペラ・コミーク座での初演とブルックリン音楽アカデミーにおける再演、2012年のエクサンプロヴァンスでのシャルパンティエの「ダヴィデとジョナタス」、2014年にカンで初演された「ラモー、舞踏教師」、2016年にシャンゼリゼ劇場でのヘンデルの「セオドーラ」、2018年の「イエフタ」と「アリオダンテ」、それぞれパリのオペラ座とウィーン国立歌劇場が挙げられる。
客演指揮者としては、頻繁にグラインドボーン(2018年ヘンデル「ジュリオ・チェーザレ」)のようなフェスティヴァル、メトロポリタン歌劇場、チューリヒ歌劇場、リヨン国立歌劇場などのオペラ・ハウスで指揮している。2002年から2007年には、ベルリン・フィルにも定期的に客演した。ハルモニア・ムンディ、エラート・レーベルのディスコグラフィーとしては100以上もの録音があり、その数々がフランスや国際的な賞を受賞するなど高い評価を得ている。2013年には自主レーベル“Les Éditions Arts Florissants”を発足させた。また2018年にはハルモニア・ムンディで名盤の誉れ高い録音が「レザール・フロリサン」コレクションして再発売された(「女王のハープ」、「イタリアの庭」、「愛は苦しみ」、「メサイア」、「ロ短調ミサ曲」など)。
教育者としての仕事を深めることを大切に考えているクリスティは、2002年に若い歌手を育成するアカデミー「声の庭」を創設し(その後ヴァンデ県のティレ村に本拠を置く)、「声の庭」出身者は欧米のコンサート、オペラで活躍している。2007年からはニューヨークのジュリアード音楽院でレジデント・アーティストをつとめ、年2回マスタークラスを開いている。2017-2018年にウィリアム・クリスティとポール・アグニューは、パリ国立高等音楽舞踊音楽院で古楽部門の客員としてマスタークラスをおこなっている。
2012年にはレザール・フロリサン、ジュリアード音楽院の学生、「声の庭」の受賞者を集め「ウィリアム・クリスティの庭で」フェスティヴァルをヴァンデ県のティレで創設した。2018年には、その広大な邸宅をフランス政府から認可された公益財団法人「ウィリアム・クリスティ&レザール・フロリサン財団」に寄贈し将来の礎とした。
2008年11月に美術アカデミー会員に選ばれたウィリアム・クリスティは、2010年1月、正式に学士院の円天井の下に受け入れられた。2018年には、フランス輸出振興事務所によって、フランソワーズ・ニッセン文化大臣の臨席のもと、フランスの権威ある国際大使に任命された。1993年にレジヨン・ドヌール勲章を授与、また芸術文化勲章オフィシエでもある。1995年にはフランス国籍を得ている。

●レザール・フロリサン (管弦楽&合唱) Les Arts Florissants (orchestra & choir)
古楽器演奏に忠実な歌手と器楽奏者によるバロック音楽専門のオーケストラ、レザール・フロリサンは、世界でもっとも有名なグループのひとつである。1979年に創設されて以来、フランス=アメリカ人のクラヴサン奏者で指揮者のウィリアム・クリスティが音楽監督をつとめている。2007年からは、イギリス人テノール歌手ポール・アグニューが副音楽監督となる。その名称は、マルカントワーヌ・シャルパンティエの小オペラ「レザール・フロリサン(邦訳=花咲ける芸術)」からとられている。フランス音楽界では、フランスの「偉大な世紀」ばかりでなく、17、18世紀ヨーロッパ音楽一般など、それまで知られていなかったレパートリーを(とりわけフランス国立図書館の宝庫から)発掘して広めることに努めてきた。
1987年のオペラ・コミーク座でのリュリの「アティス」以来、2011年5月の再演も喝采をあびて、オペラの舞台は大成功をもたらしてきた。オペラでの活動が、演奏会でのレザール・フロリサンの活力を消しているわけではない。それは、オペラやオラトリオの演奏会形式やセミステージ形式による多数の素晴らしい演奏が証明している。
レザール・フロリサンは、毎年フランスで100回以上ものコンサートやオペラ上演をおこなっている─2015年からレジデントとして迎えられたフィルハーモニー・ド・パリをはじめ、多数の劇場、オペラ、フェスティヴァルなどで。海外では、定期的にニューヨーク、ロンドン、エディンバラ、ブリュッセル、ウィーン、ザルツブルク、マドリッド、バルセロナ、モスクワ、等々で、フランス文化大使という役割を積極的に果たしている。
レザール・フロリサンによる録音とビデオという文化遺産は、年々豊かになっている。100以上ものタイトルのなかには、ウィリアム・クリスティと副監督ポール・アグニューが指揮して、フランス・ハルモニア・ムンディと提携した、自主レーベル“Les Éditions Arts Florissants”もある。
レザール・フロリサンは、数年前から若手音楽家への伝承と教育のさまざまな活動をおこなってきた。もっとも象徴的なのは、2002年に設立された隔年のアカデミー「声の庭」で、すでにかなりの数の新しい歌手たちを登場させ欧米の音楽シーンで活躍させている。また2007年からは、ウィリアム・クリスティとレザール・フロリサン、そしてニューヨークのジュリアード音楽院がパートナーとなり、フランスとアメリカの真の芸術交流をおこなっている。
このような活動面すべてを結びつけるために、ウィリアム・クリスティとレザール・フロリサンは、ヴァンデ県議会と提携して「クリスティの庭で」フェスティヴァルを創設した。毎年のフェスティヴァルは、レザール・フロリサンのアーティスト、ジュリアード音楽院の学生、そして「声の庭」の受賞者たちを集めて、ウィリアム・クリスティがヴァンデ県のティレに作った庭園でのコンサートや「音楽散歩」などを催している。このフェスティヴァルに加えて、レザール・フロリサンは、ティレに永続的な文化的場所を展開させるための寄付基金「ウィリアム・クリスティの音楽の庭」と提携している。2017年には、この地への定着がさらに強化される多数の重要な出来事があった。すなわち、ティレ地域への「声の庭」の設置、ポール・アグニューの監督による「春のフェスティヴァル」の創設、フォントヴロー修道院での毎年の新しい音楽公演の開始、ヴァンデ県とロワール地方局の支援とともにレザール・フロリサンと「音楽の庭」のプロジェクトに対する文化通信省による「文化交流センター」という名称の付与である。2018年2月には、ウィリアム・クリスティ=レザール・フロリサン財団がフランス政府から公益財団法人として認可された。
レザール・フロリサンは、文化通信省、ヴァンデ県とロワール地方局によって支援されている。重要な支援団体は、セルツ財団、レザール・フロリサン・アメリカン・フレンズ、クレディ・アグリコル・コーポレート・アンド・インヴェストメント・バンク【クレディ・アグリコル・CIB】である。

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