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『エール』佐久本宝「俺のそばさいてほしい」 浩二とまき子のラブストーリーが完結

リアルサウンド

20/11/13(金) 12:00

 『エール』(NHK総合)にまた、新たな夫婦が誕生した。

 裕一(窪田正孝)の故郷・福島を舞台に、2つの人間ドラマが描かれた第22週「ふるさとに響く歌」。前半は作詞家として大成した鉄男(中村蒼)と幼い頃に生き別れになった弟・典男(泉澤祐希)が築いた家族との物語、後半は裕一の弟・浩二(佐久本宝)のラブストーリーだ。

 戦時中、「3年以内にいい人を見つける」と音(二階堂ふみ)に約束していた浩二。しかし、戦後から復興期を迎えても浩二はいい人を見つけるどころか、母のまさ(菊池桃子)が持ってくるお見合い話にも乗り気でない様子。東京からやってきた音は、そんな浩二が畠山リンゴ園の娘・まき子(志田未来)に想いを寄せていることに気づく。一方のまき子は戦死した恋人を忘れられず、2人の恋は進展することもない。

 まきこの父(マキタスポーツ)はそんな娘を見かねて新天地の東京に行かせようとするが、複雑な心境を抱えるまき子。少なからずまき子も浩二に気がある様子なのに、すでに諦めムードの浩二は彼女に「俺応援すっからさ」と言ってしまう。そのことでまき子の態度が冷たくなり、落ち込む浩二に味方する裕一。そもそも裕一は誰か見ても明らかな浩二の恋心にも気がつかず、「さてはこやつ鈍感だな?」とみんなが思っていたが、ここまで兄弟揃って鈍感だとは……。代わりに音が、浩二に東京行きを止めてほしいと思っているであろうまき子の本音を代弁する。

「やらずに後悔するより、やって後悔した方がいい!」

 それは、かつて音が幼い頃に安隆(光石研)から教えられたこと。音がその言葉に何度も背中を押されたように、浩二の心もようやく動いた。まき子の元に走り、「俺のそばさいてほしい」と伝えた浩二。まき子は待ちわびていたように涙を流し、2人は共に生きていくことを誓う。身体を寄せ合った浩二とまき子を囲むリンゴの木々は、まるで2人を祝福しているかのようだ。

 浩二が婿養子として畠山家に入ることで固まった2人の結婚式では、裕一が自分や亡くなった父・三郎(唐沢寿明)の代わりに古山家を支えてきた浩二に感謝の意を告げる。

「家族の絆はひとりでに出来るものじゃない。浩二がふんばってくれたから、僕は家族でいられたんです」

 裕一と浩二は分かり合えないことも多かったが、今では鈍感なところもそっくりな仲良し兄弟だ。鉄男と典男も、音や2人の姉と妹もそう。『エール』は音楽がテーマのドラマであり、家族愛・“兄弟愛、姉妹愛”が印象的な作品でもある。

 しんみりしたのもつかの間、ふたたびあの世から三郎が登場! 何度見ても古典的な幽霊の姿が笑えるも、祝い酒を飲んで嬉しそうにまさへ酒を進める姿がほっこりする。浩二が結婚したら安心してお父さんのところに行けると言っていたまさだが、まだまだ元気でいてほしいものだ。〈高原列車はラララララゆくよ〉という軽快なメロディが人気を誇った裕一作曲の「高原列車は行く」は今でもJR福島駅の発車メロディとして地元の人々に愛されている。

 寂しいことに、『エール』もあと2週で最終回。第23週「恋のメロディ」では、大ヒットしたラジオドラマ『君の名は』の制作に裕一が挑む。恋愛ドラマの主題歌を作曲する一方で、裕一が恐れていた娘・華(古山琴音)にも新たな恋の予感が。今週“鈍感さ”が明るみに出た裕一は2つの壁を乗り越えることはできるのだろうか。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜11月28日(土)予定(全120回)
※9月14日(月)より放送再開
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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