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King & Prince、イメージを刷新する大胆でクールな「Mazy Night」の魅力 楽曲、ダンス、MVから徹底分析

リアルサウンド

20/6/10(水) 6:00

 King & Princeの新曲「Mazy Night」は、これまでのグループのイメージを一新し、大胆な変革を遂げた楽曲と言っていい。「シンデレラガール」をはじめ、笑顔の似合うスウィートで爽やかな曲を歌ってきた彼らが今回挑んだのは、クールな表情で決め込むダンサブルなEDMナンバー。メンバーが見せた新たな表情にますます惹きつけられたファンも多かったことだろう。デビューから2年、押しも押されもせぬ人気グループへと成長を遂げているKing & Prince。その新曲「Mazy Night」の魅力を探るべく、楽曲、ダンス、MVの3方向から、3名のライターによるクロスレビューで分析していきたい。(編集部)

(関連:Sexy Zone、King & Prince、SixTONES……中島健人&平野紫耀W主演を機に考える、グループ超えた共演の魅力

1. イメージを真逆に反転させる楽曲

 端的に言って大きなイメージチェンジだ。サウンドはダイナミックなEDM。それも北欧出身のダブステップ系DJが使いそうな音がふんだんに盛り込まれたもので、スタジアム級の大会場を激しく揺らすような迫力がある。これまでの彼らのイメージが“白馬に乗った王子様”だとすれば、今作は“闇を切り裂く黒騎士”。白から黒へと真逆に反転している。

 そして、EDMのマナーとJ-POPのフォーマットとが違和感なく融合しているのもポイントだ。サビの部分をダンスだけにして歌詞をなくしたりなどということはせず、近未来的なエレクトロニックサウンドを背景に、歌を聴かせ、歌で盛り上げることに徹している。あくまでJ-POPの範疇でドラスティックな変化を見せる姿は、『THE DIGITALIAN』(2014年)期の嵐を彷彿とさせる。

 これまで高めの声で聴き手をやさしく包み込むように歌っていた彼らも、今作では何かを模索しているような低めの歌声が目立つ。さらに、歌詞で印象的なのは英語の多さだ。これまでの表題曲と比べると段違いに英語が使われている。その結果、詩的な表現というよりはむしろ、リズム感の重視されたダンスチューン的要素が強まっている。この変化には彼らが度々口にしている「海外進出」への意識を感じ取れる。より大きな会場、よりたくさんの人々に届けたいという想いが作品にも表れているのだろう。

 “mazy”とは“迷路のような”や“入り組んだ”という意味。これから彼らが向かう未来が険しい道のりであることを予感させる。先日、Sexy Zoneが海外進出を視野にレーベルを移籍したように(参考:Sexy Zone、嵐に次ぐ海外展開への期待 ユニバーサル移籍後の活動を占う)、彼らもまた変化の季節を迎えているのだろう。変化は苦しく、時に痛みも伴うが、それがなければブレイクスルーは得られない。今作から感じ取れる変化は、彼らが目指すさらなる高みへとつながる重要な布石だ。(荻原梓)

2. 一糸乱れぬダンスパフォーマンス

 デビュー曲の「シンデレラガール」から4thシングル表題曲の「koi-wazurai」まで、King & Princeのパフォーマンスに共通する凄さは、とにかく“振り付けの細かさ”だと思う。

 大抵のアイドルの曲は、コンサートでファンも一緒に踊れるように、特にサビの部分は手振りだけの簡単な振り付けになっていることが多い。しかしKing & Princeは、そんなアイドル界のセオリーなどお構いなしに、高難易度の細かい振り付けを用意してくる。

 それは、新曲「Mazy Night」でも健在だ。さらに今作は、平野紫耀が中島健人(Sexy Zone)とW主演を務めるドラマ『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系)の主題歌。ドラマのストーリーに合わせてか、手の動きやフォーメーションチェンジなどにおいて、警察をイメージしたダンスが取り入れられている。より一層、一糸乱れず踊らなければ雰囲気が出ないところだが、彼らにはお手の物のようだ。

 特に目を見張ったのがBメロの、ターンをしながらフォーメーションを変えるという振り付け。静かなAメロが終わり、サビに向かって一気に曲が動き出す大事なパートだが、ターンの速さまでしっかり揃えて踊る姿に圧倒される。

 そのままアップテンポなサビで激しいダンスを見せ、間奏ではまたゆったりとした動きに戻る。何度も「緩」と「急」が繰り返され、まるでジェットコースターの上昇と急降下を繰り返しているようで、次はどうなるのか最後まで息がつけない。

 平野紫耀、岸優太、髙橋海人と、ジャニーズJr.時代からダンスに定評のあったメンバーが多いKing & Prince。しかし一方で、Jr.時代はそこまでダンスの印象がなかった永瀬廉、神宮寺勇太が、前述の3人と振りをしっかり揃えて踊っている姿は、彼らがデビューしてからも慢心せず、努力を続けてきた証のように感じる。

 「シンデレラガール」に始まり、「Memorial」「君を待ってる」「koi-wazurai」と、新曲を出すたびに団結力を強めてきたKing & Prince。その先にあったのが、今回の「Mazy Night」での息の揃ったパフォーマンスなのだろう。(古河京佳)

3. 信じる仲間との結束を力強く描いたMV

 警察学校を舞台に描かれたドラマ主題歌にふさわしく、“未満警察”の世界観を盛り込んだ歌詞とダンス、それらを注ぎ込んだミュージックビデオはこれまでのKing & Princeの世界観をさらに広げた。

 カーキ色のオールインワンの衣装、後ろで手を組んで佇む姿に、“未満”であることを感じた。無骨でも丸みを感じるセットの下、パトライトを思わせる赤い光に照らされながらBメロへと進行していく。楽曲の高まりに連動してダンスも激しさを増していくのだが、サビまでは両足を地につけ重心を下に置いたのが印象的だ。

 デビュー曲からしばし続いたキラキラとした王道アイドルの世界観。この系譜からは想像がつかない、King & Princeの印象をがらりと変えてきた「Mazy Night」。4分ほどのMVの中だけで、3パターンのシーン、衣装が見られることも珍しい構成だ。

 衣装でいえば、オールインワン、引き締まったスーツ姿、個性を出したカジュアルな衣装。引き締まった印象を受けるブラックスーツをまとったシーン。ブルーの光線が交差する様子は、混沌とした状況、葛藤か。カジュアルダウンしたシーンでは、拳を握ったり、叫んだり……目の前の壁を打ち破れない、複雑な胸中に引き込まれた。

 後半、ブルーの光線を砕く姿があるが、葛藤を打ち砕く前向きさ。それぞれのスタイルで登場するシーンには、「己の信じた道を行く」という揺るがない決心と使命感。5人揃って歩き出すラストは、上向きの視線から高みを目指す意志、仲間とならばどんな壁も越えられる、そんな一皮むけた強さを感じた。

 一時はエンターテインメントの世界から離れることを考えた平野紫耀。人を助ける、守る仕事に就こうと思っていたそうだが、アイドルはパフォーマンスを通して精神面から人を支えることができる仕事だと諭され、アイドルの道を選んだことを明かしていた。平野のそんなバックグラウンドを具現化したようにも捉えられる。

 「Naughty Girl」と比較してやや控え目に見えるかもしれないが、難易度の高いダンスに挑戦して追い込む姿、緩急ある映像に一気に引き込まれた。そこへストーリーが重なることで、ドラマの主題歌としての役割を果たすと同時に、King & Princeの表現の幅をさらに広げた作品だ。

 笑顔を封印し、楽曲ごとに世界観を変えることも厭わないKing & Prince。静と動を使い分けた情緒ある世界観に、表現力の高さを再認識した。(柚月裕実)

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