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MOTHER マザー

20/7/1(水)

『MOTHER マザー』 (C)2020「MOTHER」製作委員会

雨降りしきる場末の風景をさすらう母子の映像が、観終えても瞳に焼き付いている。この魅力的な辺境の画で占められるこの作品は、まさに人生の辺境を描いて出色である。ごく普通の家庭の子なのになぜともなく長澤まさみ扮する秋子はアウトサイダーとして生きることしかできない。それはもう自然物のように、どうすることもできない。圧巻の演技で長澤が見せる母のイメージは、エゴの塊であり、よこしまな媚態を武器とし、しかし不思議な母性らしきものもあって、ほとんど怪物的である。秋子に巻き込まれる息子(掘り出し物の奥平大兼!)は、なぜかその憎むべき母を断罪できない。その人生の不思議と、秋子という女の強烈なたたずまいに茫然としながら、観客は実に図太い構えの映画にふれた手応えを感ずることだろう。

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