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林遣都のモテエピソードが明かされる 『スカーレット』夫婦善哉を象徴する大野家

リアルサウンド

20/2/25(火) 12:00

 『スカーレット』第21週は、喫茶「SUNNY」の1日を描く「スペシャル・サニーデイ」。温泉旅行に出かけた大野(マギー)と陽子(財前直見)の代わりに、信作(林遣都)が百合子(福田麻由子)とともに店番を務める。

参考:『スカーレット』第123話では、敏春(本田大輔)と照子(大島優子)が本音をぶつけ合う

 最初にやって来たのは、熊谷照子(大島優子)の夫・敏春(本田大輔)。出張帰りの敏春は、コーヒーを待つ間、持参したバナナを口に運ぶ。出張先の京都で「信作くんのことをよう知っているという人に会いました」と言い、話題は信作の“モテ”エピソードへ。

 第122話は「信作と13人の女たち」の後日譚。13人目のよし子(辻本みず希)はお見合い大作戦に参加して、企画側の信作に惚れてしまう。第70話で煮え切らない信作に水をかけて信楽を去ったが、現在は京都の和菓子屋に嫁いでいた。「信作さんに出会えてなかったら今の幸せはない」と述懐するよし子の言葉は、信作から浴びせられた「好きか嫌いかで言うたら、9:1で嫌いや」へのアンサーになっていた。

 青ざめる夫をよそに、百合子は「ほんまは13人とちゃうんです」とたたみかけ、敏春も座り直して耳を傾ける。朝いちばんで妻と親友の夫から両面攻撃を受ける信作にとっては、とんだ1日になってしまった。砂糖を入れたコーヒーを口にした信作の苦り切った表情が印象的だった。

 おっとりとした性格の百合子が旦那を操縦している様子を見て安心したのは筆者だけではないだろう。「時代とともに女性が強うなってきている」という敏春の言葉は、今作の主題でもある。ちなみに「20番目の女」を自認する百合子が、信作の相手を「お酒、お水、ビール、靴、靴、カバン、自転車」と、全てしばかれた物で記憶しているところに妻の執念を感じた。

 ロッキード事件の小佐野賢治のものまね(「記憶にございません」)で盛り上がる信作と敏春が、年を重ねて物忘れがひどくなっても、どこか少年の面影を残しているのに対して、それぞれのパートナーは母としてまた大人の女性として強く生き抜いている。男女の対比を時代の変化と個人史の両面から切り取る『スカーレット』の視点が、さりげなく現れているようだった。

 我が道を行く喜美子(戸田恵梨香)をいちばん近くで見守る大野家は、手を携えて苦難を乗り越える夫婦善哉の象徴だ。波乱万丈な主人公の歩みを安心して見ることができるのは、大野家の存在があってこそ。あらためて最高の座組であることを実感した。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。

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