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E-girls、11人体制の初アリーナ『E.G. 11』で見せた進化 MIGHTY CROWNらと次のステージへ

リアルサウンド

18/8/28(火) 20:00

 11人体制になって初めてのアリーナツアー『E-girls LIVE TOUR 2018 ~E.G. 11~』は、E-girlsの現在のモードをコンセプチュアルに表現する革新的なライブとなった。8月5日、さいたまスーパーアリーナにて行われたファイナル公演は、まさに驚きの連続であると同時に、彼女たち一人ひとりの個性をより明確にするもので、そのアーティスト像を鮮やかに刷新した。

参考:E-girls振付師が語る、11人それぞれのダンサーとしての個性 「鷲尾伶菜は妥協なく踊りきった」

 今回のライブのテーマは“スポーツ”。これまでもE-girlsのライブには必ずテーマが設けられてきたが、これほど演出に直接的な変化をもたらす具体的なテーマは初めてである。ライブ冒頭で流された映像では、YURINOがバスケ、坂東希がテニス、SAYAKAがボクシング……といった具合で、メンバーそれぞれが競技に打ち込む姿が描かれる。そう、スポーツの動きをダンスに取り込むのが、今回のライブ演出の最大のポイントである。本格的なダンススキルを持つE-girlsだからこそ可能な表現といえよう。

 メンバー一人ひとりの名前が高らかに読み上げられ、彼女たちがステージの両端に登場すると、アリーナが振動するほどの大歓声があがる。新生E-girlsを象徴する楽曲「Love ☆ Queen」でライブがスタートし、そこから「DANCE WITH ME NOW!」や「E.G. summer RIDER」「ごめんなさいのKissing You」「Follow Me」など、人気曲をメドレーで次々と披露する。新しいアレンジとなった楽曲の数々は、鷲尾伶菜、藤井夏恋、武部柚那の3ボーカルのマイクリレーによって、新鮮な響きを伴っている。

 加えて、ダンスパフォーマンスにもこれまでとは異なるクールさが宿っている。例えば「DANCE WITH ME NOW!」では、ブラックライトで極彩色に輝く衣装を身につけたメンバーが、現行のヒップホップダンスの流れを汲んだ高度かつスタイリッシュな振り付けを見せており、そのイメージが良い意味で裏切られる。11人体制になってからのE-girlsは、メンバーたちの成長に伴い、より玄人好みの渋いパフォーマンスも可能になったのだ。

 一方、スポーツをテーマにしたことで、キャッチーで人目を引くパフォーマンスも目立った。「E.G. summer RIDER」ではシットアップベンチ、「What I Want Is」ではバスケットボールやバスケットゴールを使用したユニークなダンスを披露し、見るものを飽きさせることがない。特に「ごめんなさいのKissing You」のサビで披露したウォーキングマシンの振り付けは、E-girlsらしいポップセンスに溢れており、観客たちからひときわ大きな歓声を受けていた。また、会場を訪れたガチャピン&ムックとともに、観客とPK合戦をするなど、参加型のコーナーがあったのも印象深かった。こうした演出の多くを、今回はメンバーが自ら発案したという。その演出もセルフプロデュースするという意味で、今のE-girlsはクリエイター集団でもあるのだ。

 ライブ中盤、YURINO、須田アンナ、武部柚那によるヒップホップユニット・スダンナユズユリーによる「CALL ME NOW」「Party on the pizza」で、さらに弾けるテンションになった後は、その雰囲気をガラリと変えて鷲尾伶菜が「ひとひら」のピアノ弾き語りを披露。さらにメンバーとともに「好きですか?」「あいしてると言ってよかった」と、メランコリックなバラードナンバーを続けて歌い、会場をロマンチックな空気に染めていく。ヒップホップからバラードまで、幅広くバリエーションに富んだ表現ができるようになったのも、11人体制による進化のひとつである。

 「Pain, pain」や「Y.M.C.A.」などの持ち曲が披露された後半を終えて、アンコールで初めてパフォーマンスが行われた「Let’s Feel High feat. MIGHTY CROWN & PKCZ®」も、特筆すべき一曲である。同曲は、今年7月にジャマイカで開催された『WORLD CLASH』20周年記念大会にて、レゲエ世界チャンピオンに選ばれたMIGHTY CROWNがサウンドプロデュースを担当しており、客演アーティストとしてPKCZ®が参加。また、同時にリリースされた「My Way feat. FIRE BALL, MIGHTY CROWN & PKCZ®」では、客演にFIRE BALLも参加している。MIGHTY CROWNとFIRE BALLは、ともにジャパニーズレゲエシーンを代表するアーティストで、そのスタイルや音楽性は世界的にも高く評価されている。またVERBAL、DJ MAKIDAI、DJ DARUMAによるクリエイティブユニットのPKCZ®は、アメリカの大物ラッパーであるスヌープ・ドッグやメソッド・マンとフィーチャリングを果たすなど、世界展開を視野に入れた活動を行なっている。

 E-girlsが今回、彼らとともに新しい楽曲を形にしたことは、今後の展開を占う上でも重要なポイントとなるはずだ。実際、「Let’s Feel High」では本格的なダンスホールレゲエのサウンドに乗せて、〈世界を羽ばたく私になるのよ〉など、挑戦的な歌詞が歌われている。ラガマフィンを取り入れたボーカリゼーションや、妖艶なダンスを身につけることで、E-girlsが音楽的にも次なるステージに進もうとしているのは明らかだろう。

 ラストの楽曲となった「北風と太陽」は、葛藤を乗り越えて人生の困難に打ち勝ち、強い意思を持って前に進んでいこうと鼓舞する楽曲だ。メンバー自身が話し合い、今の自分たちをもっとも的確に表現している楽曲として、最後に歌うことを決めたのだという。2011年にDream、Happiness、Flowerを中心としたプロジェクトとして発足したE-girlsが、その輝かしい活動の中で培ってきたブランドを、現体制の11人はさらに発展させていかなければならない。その道のりは決して楽なものではないはずだ。しかし、新生E-girlsとして何をすべきか、その答えはすでに見出すことができたのではないだろうか。メンバー一人ひとりの信念が滲み出たパフォーマンスと、その柔軟なクリエイティビティ、そしてさらなる進化を予感させるステージングに、未来のE-girlsを見た気がする。(松田広宣)

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