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「きみ鳥」は人生の宝物、柄本佑が亡き母に受賞報告「分身して席に座ってるかも」

ナタリー

19/2/14(木) 20:20

左から佐々木みゆ、城桧吏、塚本晋也、白川和子、柄本佑、木竜麻生、内田也哉子。

本日2月14日に第73回毎日映画コンクールの表彰式が神奈川・カルッツかわさきにて行われ、男優主演賞を受賞した柄本佑らが出席した。

「教誨師」で映画初出演を果たした玉置玲央はスポニチグランプリ新人賞を受賞。「新人賞にしては、いささか歳を取りすぎているかも」と33歳という年齢に触れ、笑いを起こした。ステージには「教誨師」の監督・佐向大も登場し、「YouTubeでインタビュー映像を観て、すごく性格が悪そうだったんですよ。それでこの人しかいないなって」と出演オファーをした理由を明かすと、玉置は「たまたまですよ!」と慌てる。主演した大杉漣との共演を振り返りながら「まるで舞台でやり取りをしているかのように演技させていただいた。漣さんの力は本当に大きかったです」と語った。

玉置と同じくスポニチグランプリ新人賞に輝いたのは、「菊とギロチン」に出演した木竜麻生。女力士を演じた撮影について「練習は大変でしたけど素敵な体験をさせていただきました。全員、生傷を作りながらやっていました」と回想する。メガホンを取った瀬々敬久から「やっぱり昭和顔と言いますか、素朴な感じが素晴らしくて」と褒められると、木竜は「身近な人にもそう言ってもらうことがあって。こういう顔でよかったと思います」と笑顔に。「勉強しなきゃいけないことがたくさんあるので、1つひとつ丁寧にやることを大事にしていきたいです」と将来を見据える。

「万引き家族」で女優主演賞を受賞するも、NHK連続テレビ小説「まんぷく」の撮影のため本日の表彰式を欠席した安藤サクラの代わりには、共演者の城桧吏と佐々木みゆが登場。安藤からはビデオメッセージが届いており、「『万引き家族』の信代は、実はどんな人だったのかよくわからなくて。作品を観て、こういう女性だったんだなと強く思いました。きっと監督が、私に自覚のない部分と信代を重ねて作ってくださったんだと思います」と思いが伝えられた。また映像の中で安藤は「夫が男優主演賞をいただくことになって、それが『きみの鳥はうたえる』という作品ですごくうれしいというか、感慨深いと言いますか。『きみの鳥はうたえる』の撮影中に娘が生まれて、『万引き家族』はお乳をあげながら撮影した作品なので、特別な賞になりました」とうれしそうに話した。

そして男優主演賞に輝いた柄本は、登場するやいなや「妻が『きみの鳥』にまで触れちゃって」と言い、笑いを誘う。三宅唱とタッグを組んだ同作に関しては「撮影が延期になって。その期間にたくさん飲み、たくさん遊びました。その1年が濃密に影響していると思います。要するに時間がかかった作品です。でも1つの役にそんなに関われることって幸せなこと。この映画は自分の中の記念碑的な、人生の宝物なので、それを背負って今ここに立てているのがうれしいです」と力強く語った。また、受賞を知ったのは母・角替和枝の死後だったそうで「うちのかあちゃんは絶対に喜んでいますし、ちゃんと報告もさせていただきました。亡くなった人がどうなるかはわからないですけど、分身とかして空いてる席の全部に座ってるかも」と想像を巡らせる。

塚本晋也は、自身の監督作であり出演もした「斬、」で男優助演賞を獲得した。もっとも尊敬している映画監督だというマーティン・スコセッシによる「沈黙-サイレンス-」への出演を思い返しながら、「演技はリフレクションだと思っていまして。(スコセッシ)監督も本人に言うのではなくて、相手役の方に何かを伝えるんですね」と演出方法に言及。「斬、」の撮影でもその手法を用いたようで、「自分は池松壮亮さんと蒼井優さんにリフレクションしていただけ。この賞は2人のおかげです」と感謝を述べた。

「万引き家族」で女優助演賞を受賞した樹木希林の代理を務めたのは、娘である内田也哉子。「母は亡くなる数週間前まで映画の現場に立っていました。遺作となったのは海外作品で、ドイツの女性監督の映画です。最後まで現役の役者として新しいことに挑戦し続け、でも日常を大切にする人でした」と生前に思いを馳せる。樹木と是枝裕和の関係については「最後の10年あまりでしたが、撮影現場以外でもたくさんの時間を共有していて、くだらない世間話や辛辣な映画話をしてお互いの視点を面白がっていました。自分では産むことのなかった息子を愛おしんでいるように見えた瞬間もあって」と代えがたい出会いだったことを明かし、「母が他界した日が是枝監督のお母様の命日であったことは、偶然ではない気がします」と胸中を伝えた。

田中絹代賞は白川和子に贈られた。白川は「まだ夢の中にいるようで、映画のワンシーンみたいなんですけど、(受賞は)本当なんですよね」と語ったあと、女優としての人生を振り返っていく。「今から約55年前に市原悦子さんに憧れて女優の道を志しました。当時は世間の目が厳しくて、荒波の中に飛び込んだような感じで。でも映画の火を消したくないスタッフがいて、それを私は背中で感じながらがんばりたいと思っていたんです」と述懐。家族への非難も多かったと述べ、「そんなときに父に言われたのが『深みのある人間になりなさい』ということ。母は『継続は力なり』と励ましてくれました。人間として自分自身を磨きなさい、そして技を磨きなさいということだと思います。亡き両親は天国でやっと安心していると思います」とスピーチすると、会場には大きな拍手が鳴り響いた。

なお映画ナタリーでは、引き続き表彰式の模様をレポートする。

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