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『ラブライブ!』がファンと紡ぐ“みんなで叶える物語” μ’sからAqours、ニジガクらへ受け継がれるスクールアイドルの輝き

リアルサウンド

20/1/28(火) 15:00

「私たちはずっとμ’sです!」

 2016年4月1日、東京ドームで聞いたμ’s・新田恵海との約束を、今でも鮮明に覚えている。μ’sはこの日、声優ユニットとしての活動に一区切りを打った。そして新田が演じる高坂穂乃果は、劇場版『ラブライブ!』で「すごいのはA-RISEやμ’sだけじゃない!スクールアイドルみんななんだって」と、スクールアイドルとして“輝く”ことの尊さを語っていた。

参考:『ラブライブ!』シリーズに新風吹き込む 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の魅力

 2020年1月18日、彼女たちの屈託ない主張を体現するように、スクールアイドル同士が手に手を取り合い、“輝き”を放つ光景を目の当たりにした。『ラブライブ!』シリーズより、全4ユニットがさいたまスーパーアリーナに集結した『LoveLive! Series 9th Anniversary ラブライブ!フェス』初日公演のことだ。

 この日一番の後輩ユニットとして登場した虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会。全員曲「TOKIMEKI Runners」で始まった彼女たちのステージは、どこかあどけなさを残しながらも、先輩の背中を追いかけようとするまっすぐな意志も感じられる。

 また、シリーズ史上初となるソロ活動を中心としたユニットとして、メンバーが一人ずつパフォーマンスする場面も。田中ちえ美(天王寺璃奈役)は「ドキピポ☆エモーション」で、誰もが応援したくなる“璃奈ちゃんボード”コールを披露。すると、鬼頭明里(近江彼方役)が「眠れる森に行きたいな」で、ステージ上のベッドでまどろんでみせたりと、未だ開拓中のスクールアイドルという表現の幅の広さを実感させてくれた。

 次なるバトンを受け取ったのは、AqoursとSaint Snow。CYaRon!など、Aqoursメンバーのユニット曲はもちろん、Saint Snowによるシャウトと切れ味鋭いラップを交えた歌唱スタイルは特に圧巻だった。なかでも「Believe again」では、アニメ劇中での文脈も相まり、サウンド同様のハードさを追求しながらも、田野アサミ(鹿角聖良役)、佐藤日向(鹿角理亞役)の2名の笑顔が、楽曲の奥にあるだろう“何度でも青春を楽しみたい”という純な想いを届けるようでもあった。

 続いて、Aqoursが大型船に乗り込みセンターステージに出航。μ’sへの憧れを歌った「届かない星だとしても」と、自分たちだけの“輝き”に手を伸ばした「MIRAI TICKET」を続けて歌唱し、アニメ内での成長過程をなぞるかのようだった。思えば、今やシリーズの主力ユニットとなり、今回のイベントを牽引するというプレッシャーもあったはず。しかし、上記2曲やこの後の歌唱曲「君のこころは輝いてるかい?」を体験しただけでも、彼女たちの輝きがこれまで以上に力強くなっていると改めて知らしめられた。

 最後に登場したのは、誰もが再会を待ち望んでいた伝説のスクールアイドル・μ’s。デビュー曲「僕らのLIVE 君とのLIFE」の印象的なギターが鳴り始めると、メンバーのシルエットが浮かび上がる。彼女たちの以前より落ち着いた面持ちには、4年間の時間の流れに気づかされながらも、あの頃とリンクする懐かしい想いに自ずとさせられた。

 そこから「No brand girls」「ユメノトビラ」など、TVアニメシリーズの楽曲をメドレー形式で披露。ここではダンスパフォーマンスを挟みながらも、フロートで会場中を旋回していたことからは、ファンと再会できた喜びをたっぷりと分かち合おうという姿勢を汲み取ることができた。その間にも、たとえ全員でのダンスが指定されていない部分でも、ふとした瞬間に何気なく振り付けを挟み込む様子には、μ’sとして歩んできた時間の長さをじんわりと実感させられた。

 そんなスクールアイドルの祭典を締めくくるには、代表曲のひとつ「Snow halation」こそ相応しい。曲中では、メンバーがセンターステージの端に広がり、客席の声援に応えるように気持ちの高ぶりをパフォーマンスで表現する。そして落ちサビでは、新田のソロパートで、会場中が彼女のメンバーカラーである鮮やかなオレンジ一色に。4年前までと同じエモーショナルな光景を前に、さすがにメンバーもぐっと涙が込み上げてきたのだろう。終盤には、キャラクターのみならずメンバー個人としての想いも、その歌声により強く重ねられていた。

 憧れのμ’sのステージを受けて、万感の想いだったのがAqours・伊波杏樹(高海千歌役)だ。最後にコメントを求められた際に「あの、はい、あの……『ラブライブ!』大好きです……」と思わず声を詰まらせた瞬間は、当日の成功を裏付けるようだった。そんなイベントが叶ったのも、先程の伊波の言葉が示す通り、キャストとファンの誰もが『ラブライブ!』を愛し続けてきたからに違いない。

 スクールアイドルの活動には、“永遠”が担保されていない。しかし、誰もが『ラブライブ!』を愛する心を持っていれば、彼女たちと過ごす時間は“無限”に輝き続ける。μ’sとの再会が実現したように、“好きなもの好き”だと肯定する想いは、きっとどこかで報われるはずだ。なぜならこれは、“みんなで叶える物語”なのだから。(一条皓太)

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