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さくらしめじが見せたプロの本気「僕らがみんなを引っ張って、いろんな景色を見せていきます!」

ぴあ

20/12/31(木) 10:00

激動の2020年、暗いニュースが多かった1年の締めくくりは、ほっこり笑顔で過ごしたい。そんな思いをかなえてくれたのは、さくらしめじの忘年会ライブ「きのこりあんの集い Vol.5 ~お久しぶりでございます。~」だった。12月29日、大手町三井ホームで行われたこのライブは2部制をとっており、1部は有観客ライブ、2部は有観客&配信ライブという演者にとってはハードなスケジュール。しかしまだ10代とはいえ、さくらしめじがファーストシングルを出して早や6年、田中雅功と高田彪我は、プロの本気を見せつけてくれた。

2020年12月29日18時30分・時間ピッタリに始まったさくらしめじの2020年最後のライブ「きのこりあんの集い Vol.5 ~お久しぶりでございます。~」は、暗闇から現れた雅功と彪我のギター演奏で幕開けた。ライトが灯ると、決して大きくはない居間を模したステージ中央に、ドンとコタツがあるのがわかる。そのコタツをバックに2人が歌うは、「風とあるがままに今を歩こう」。青春のひたむきさ、未来への不安、前向きな心を保つ強さ──さくらしめじの世界観がギュッと詰まったこの1曲は、まさにオープニングにふさわしい。途中のギター間奏ではお互いを見つめ合い、笑顔で曲を続ける。「僕の色とか 夢のかたちとか まだ見えないけど 中途半端な僕らだから 感じれることもあるのかな」という歌詞には、等身大の2人をそのまま感じた。

曲が終わって、まずはファーストMC。「どうもみなさん今晩はー!」「皆さん元気でしたか~⁉」「配信のみんなも元気かな? 今日は配信のみんなも一緒に、この会場にいるつもりで、みんなで楽しんでいこうね!」と、テンション高く語りかける2人。やはり少人数でもお客さんを入れてのライブは、心が浮き立つようだ。

この日の衣装は、雅功はパーカの上にブルーベースでオレンジのラインが入った長めのパッチワーク風ジャケットを重ね、ベージュベースにオレンジのニットの折り返し部分がアクセントになったパンツを合わせていた。彪我はオレンジのTシャツの上に、シャツ地やニット地のカラフルな異素材パッチワークのジャケットを重ね、片方だけ茶系に紫のラインが入った濃いグレーのパンツを着用。キュートだけどちょっとエッジが効いている、さくらしめじのイメージにピッタリなデザインだった。

「僕たちときのこりあんのみんなが集まれば、今までの嫌なことなんか、不安なことなんかは、全部、吹っ飛んじゃう。そうでしょみんな⁉」「それでは次の曲に行きましょう、『ひだりむね』!」そんな雅功の掛け声で始まった「ひだりむね」は、ことさら美しいハーモニーが特徴だ。幼い恋のもどかしさを表現した歌詞だが、歌い方には円熟味さえ感じる。幼い少年だったはずのさくらしめじが、プロとしてのテクニック、表現力を、このデビュー以来どれだけ磨いてきたのかがわかる。ステージを囲むように立つ観客に、くるくると回りながら、時に目を合わせながらパフォーマンスする姿には、余裕すら感じられた。

「ひだりむね」から間髪入れずにノリノリで始まったのは、「菌カツ!」。「毎日収穫 キノコノコノコ キノコを食べれば 頭よくなる~」……1stアルバムに入ったこの曲を、昔は可愛さいっぱいで歌っていたが、今では大人の余裕と茶目っ気で魅せる。会場のファンも手拍子をし、時に歌に合わせて拳を振り上げ、ひとつになっていく。疾走感たっぷりで最後まで演奏し、2人同時ジャンプでフィニッシュ!! 

全力で3曲駆け抜けた後は、MCタイムに。「疲れちゃうね、いったん座っていいですよ、皆さん」と言った雅功だったが、すぐに「あの~、ちょっと座ってもらったところ悪いんだけど……みんなビックリしすぎて立っちゃうかもしれない」と何やら大発表を匂わせる。「え? 何?」と心配そうな顔をする彪我に、「言ってもいいかな、言ってもいいかな」とためにためて発表したのは……3月10日のセカンドミニアルバム「ボタン」発売のお知らせ! 直後「気絶している人いない⁉」とボケる雅功だったが、結局、水筒をひっくり返すほど周りが見えなくなったのは、当のご本人というオチに。雅功がこぼした水を拭いている間、彪我が「ボタン」の詳細をチラリと解説。「計6曲収録されて、あの曲のアコースティックバージョン、まだCDに入っていなかったあの曲、あのSNSでとても有名なシンガーソングライターさんとのコラボ曲、色々入ってお得になっています!」と誇らしげ。

告知の後、話題を変えてという調子で彪我が、「あの~。この2部が始まる前に、この急須、真ん中に急須があるのを注いでみてって言われたんだけど。一番怖いのが、飲んじゃダメだよって言われてたんだけど……注いでみて」といきなり発言。「え? 何? 怖いんだけど」と戸惑う雅功にカップを握らせ、コタツの上の急須を傾けると、注がれたのは金平糖! 「なんか毎年、水じゃない、お茶じゃないものが急須に入っているけど、とうとう固体になったね」と雅功。「去年は味噌汁だったんだけどね……金平糖はちょっと和な感じでね、縁起がいい気がしません?」と我が道を行く彪我。そんなミニコント的な流れで、ここはひとまずお開きに。

雅功の「次は、みんながお待ちかねのヤツをやります!」の言葉で始まったのは、LINEで募ったリクエスト曲でくじを作り、引いた曲を即興で弾くというミニイベント。まずくじ1本目の曲は、「届けそこねたラブソング」。「リクエストバージョンだと思ってくれたら、嬉しいなと」と彪我が言う通り、2人とも探り探りでギターを奏で始める。しかし曲が始まってしまえばじょじょにエンジンがかかり、切なくもキラキラとした青春の失恋ソングを歌い上げた。

そしてここで、アドリブと思われる雅功のおふざけが。ギターで即興メロディを弾き、彪我に歌うように促し始めたのだ。彪我は「え? そんな曲あったっけ?」と戸惑いながらも、ラップまじりでファンに対しての感謝を歌う。終わった直後は「何この曲―!」と叫んだ彪我だったが、してやったりの雅功は笑顔。プロの遊びを見せてもらったようで、ファンもきっと得した気分だっただろう。

そしてリクエスト2曲目は、なんとファーストシングルの「いくじなし」。久々なのか音の確認に時間がかかり、一度始まりをしくじったのち、再度スタート。しかし流れに乗れれば、やはり思い入れたっぷりに歌ってくれる。ただ途中で「ヤバイ、このままだとお互い投げキスすることになる!」となり、あれよあれよという間に終盤、お互い&ファンに向かって投げキッス! 思わず拍手をする会場に、最後はギターで盛り上げ、ジャンプで〆た。

突然、久しぶりの曲が出てくるかもしれないこの企画。見る方は面白くともやる方にとってはプレッシャーなはずだが、リクエストにはどちらも熱いメッセージが添えられており、さくらしめじとしては手ごたえと共に嬉しさも感じていたはず。ファンも演者も大満足となった。

「曲っていうのは、人の脳みそに、直接語りかけてくるものじゃないですか……そこで僕らはこんなものを作ってきました。ヒットソングメドレー!」。MCをはさんでの次のミニイベントは、今年のヒットソングをさくらしめじで歌う、カバーメドレー。まずは今年のメガヒットといえばこれ、彪我による「香水」(瑛人)! 高音を聴かせる彪我に、雅功はコーラスで合わせる。そしてサビが終わると、すかさず「キンモクセイ」(オレンジスパイニクラブ)が始まり、続けて「恋人ごっこ」(マカロニえんぴつ)。他人の曲ながら、2人とも完全に自分のものにして歌えている。そしてギター間奏を挟んだ後は、「Make you happy」(NiziU)。そして「ポケットの中に何か入っている⁉」という雅功の小芝居の後は「ポケットからきゅんです」(ひらめ)、からの「夜に駆ける」(YOASOBI)。最後は、事務所の先輩であるDISH//の「猫」のアコースティックバージョン! 9曲休みなく歌い上げた。

「たくさんカバーをつなげてみました!」と笑い合う雅功と彪我。そこから雑談的なMCに入ったが、雅功の「友達って大事だなって思った。今まで会えたじゃん、会おうと思ったら。でも会えなくなってさ、電話とかLINEとかすると、あー、友達って大事だったんだな~って」という言葉が、印象に残った。コロナで会えない友達、人によっては親・親戚、そしてファン……いつだって世の中の明るい面を探して歌うさくらしめじだからこそ、暗くならずに「自分が持っているものの大切さ」を、ストレートに話してくれたのが、なんだか胸を打った。

MCの後は、ガラリと雰囲気が変わり「皆さん、恥ずかしがらずに! 皆でやっちゃったら普通のことだから!」という言葉の後、会場が立ち上がり、始まったのは「しめじ体操」!!  さくらしめじとファンが、手拍子と手の振りで一体化して楽しむ、究極のファンソングだ。ギターを置いた2人がカメラに近寄り目線をバッチリ合わせたり、四方のファンたちにステージを回りながら笑顔を振りまいたりで、ライブで一番の盛り上がりとなった。

そして続くは、ギターを持ち直しての「たけのこミサイル」。エレキギターを手にした彪我が「この2020年、我慢してきたこと、ブッ放す準備はできているかーい⁉ OKそれじゃ一緒に、ブッ放そうぜーっ!!!」と会場を煽り、エレキギターを激しくかき鳴らす。勢いよく始まった曲に、雅功の地声に近い太い歌声が乗る。激しめの曲調にテンションは爆上がり! 「嫌なことを全部、ブッ放して」とがなる2人の姿は、1曲前の「しめじ体操」と正反対! このふり幅のすごさも、さくらしめじの特徴なのだ。

雅功のギターソロが始まり、次の曲は「同じ雲の下」。力強いメロディに「1人じゃない、1人じゃなかった」という歌詞が流れていくが、2020年の終わりに心の底まで染み込んでいく。本来ならば会場も大盛り上がりで飛び跳ねるところだが、やはりコロナ対策なのか、ファンはすべて椅子に座り動かない。しかし熱い歌、熱いパフォーマンスから、目が離せていないのはわかる。心動かされているのは、配信のファンも一緒だからだ。

「あの、みんなに1つ謝らなきゃいけないことがあって。せっかく座ってもらったんだけど、また立たせちゃうかもしれない……」と、先ほどと同じパターンで始まるMC。今度はどんなサプライズ発表かと思いきや、「実は4月4日のしめじの日に、なんと僕たち、中野サンプラザでワンマンやります!」とのビッグニュース! 彪我によれば「これは僕らも、さっき聞きました」とのこと。ファンにとっては何よりのちょっと遅いクリスマスプレゼント、もしくはちょっと早いお年玉の気分となった。

その後は2人の来年の抱負の発表となり、会場内につるされた丸い掛け軸を、紐を引っ張って広げ大公開。「開いた心、そのままで」(彪我)、「目指すのは 作詞作曲 リード曲」(雅功)。色んなものに心が開けた2020年だったから、2021年もそのまま開き続けたいという彪我と、来年は自分の作った曲をA面にしたいという雅功。ワンマンライブの発表の後だからか、ファンのからの期待のまなざしも、いつも以上に信頼にあふれている。

そろそろライブも終盤。「最後の最後まで、今日こうやってみんなと、配信も含めて、集えたことに、喜びを感じて歌いたいと思います。また絶対来年もみんなと会うから、楽しみにしていてください!」との雅功の言葉に拍手が起き、止んだ後に始まったのはnote限定公開の1曲・「会いに行こう」。きっと気力も体力も限界に近い中、笑顔で歌い、力強さを保つ2人。若さと言えばそれまでだが、とにかく「伝えたい」という気持ちの大きさ、そしてお客さんの前で歌っているという事実が彼らの喜びを支えているのだろう。「会いに行こう」というタイトルは、今だから特にとても象徴的だ。

「次で最後の曲です!」の前振りでイントロが流れたのは、「みちくさこうしんきょく」。もう何百回、何千回と歌った曲であろうこの曲を、背中合わせでいきぴったりの演奏で魅せる。最後の一瞬まで全力な彼らに尊さすら感じる。「配信を見ている、君も歌おう」と曲終わりのラララララララ……をカメラ前で歌う雅功。そして会場に向かって語りかける2人。「みんな歌って~!」と言うが、もちろんマスクをしているファンは歌えない。しかし「聞こえるよ! みんなの声が届いているよ!」と雅功。そう、2人の声がファンの胸に届いているように、ファンの心も確かに2人に届いているのだ。曲の終わった後の盛大な拍手が、何よりの証拠だった。

「楽しかったですか~⁉ ありがとうございました~!」(彪我)、「今年は皆さんのおかげで、さくらしめじ、色んな事があったけど、乗り越えることができました。3月10日はミニアルバムを出すし、4月4日には中野サンプラザでワンマンもできる。それも皆さんのおかげだと心の底から思っています!」「来年は彪我が20歳、僕も来年度で20歳になるので、来年は僕らが皆さんを引っ張って、色んな景色を見せられたらと思います!」(雅功)──そしてライブの最後は、お約束の一本締め。「いよ~(パン!!)」とキメて、全力でファンに手を振り、たくさんの「ありがとうございます~!」と共にハケていく2人……。

いつだってひたむきで、明るい未来を見せてくれるさくらしめじ。ライブの後はいつも、飛び切りの贈り物をもらった気になる。2021年もさくらしめじの曲を聴いていれば、きっと大丈夫。寂しいとき、悲しいとき、辛いときに、そっと寄り添う気持ちを届けてくれる。そんな思いが胸に明るく残った、素敵なライブだった。

取材・文 / 中尾巴



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