Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

大久保佳代子 (オアシズ)の 人生そろばん

私は「身代わり出頭」が似合う女

毎週連載

第98回

20/11/22(日)

この連載でも以前に書きましたが、昔、『大久保佳代子劇団』というのをやっていました。光浦さんが脚本・演出で、私が主役。何人かのプロの役者さんや後輩芸人にも出てもらい、1時間半ほどの一本のお芝居を。ただ、『大久保佳代子劇団』はお芝居というより長いコントのような感じで。瀬戸内寂聴さんやデミームーアが出てきましたから。

だから、感情の流れなんてどうでもよくて、とりあえず客席を意識して大きな芝居をするとか、何人もの役をやるので早替えの段取りを間違えないとかが重要視されていて。稽古も、気づくと無駄話ばかりしていて全くやらずに終わったり、チ○コの小道具をみんなで作ったりと、大人の学芸会的な感じでした。楽しかったのですが、結局2回くらいで終わっちゃいました。

それに比べると、いや比べたらダメだと思いますが、やっぱりテレビドラマ、映画の現場は全然違います。当たり前ですが周りはプロの役者さん、スタッフさんばかりですから。

役者の仕事のオファーは、おそらく「この役が似合うのは…? 大久保さんいいんじゃない?」と役のイメージに合うからキャスティングしていただけるのだと思いますが、今まで来た役がまずまず偏っていて。去年、今年と続けざまにきた役がざっくり言うと「身代わり出頭」をする女性の役。どちらも好きな男性の代わりに出頭するというもので。リアルに「身代わり出頭」した人の話って聞いたことはないけど、こんなに役としてあるということは、世の中、本当にある話なんでしょうかね?

なんて考えていたら、まさかの私が「身代わり出頭」経験者でした。前にも話しましたが、20代の頃、クリスマスプレゼントとして彼氏からもらった自転車が盗難車で。そのせいで交番に連れられて行かれ、取り調べを受けたっていう。結果、彼氏の居場所は、一切言わなかったので私が軽く罰せられて。

私にほんのりと「身代わり出頭」感があるから、この役が来るんですね。納得です。あと「横領未遂」をしてしまう役もありましたね。

逆にすごく明るいテンション高い系の役がきたら、それはそれで出来ないような気がします。見ていて「痛々しい」感じが出てしまいそうで。どちらかと言えば悲壮感とか哀愁があって日陰の人生を送ってきたような女性が向いているんだと我ながら思います。

今後やってみたい役柄?

基本、バラエティでも役者でも仕事は「与えられるもの」だと思っているので、与えられたものを全力で取り組むだけですかね。でも、もし濡れ場シーンがある役が来たら、脚本を読んで必然性を感じたら前向きに考えたいと思います。女優ぽい感じを出してしまいすいません。

でもこの先、女優の仕事が順調に増えていって、70歳くらいになった時、若い世代から「えー? 大久保さんって、昔はお笑いをやってた人なの? 信じられない」と言われていたら良いですよね。俳優のでんでんさんみたいに。今のうちから、ぼんぼんに改名しておこうかしら。



構成・文:松田義人(deco)

プロフィール

大久保佳代子おおくぼ・かよこ

1971年、愛知県生まれ。相方・光浦靖子とともに、1992年にオアシズを結成。OLと並行してお笑い芸人として活動をし、2010年以降はお笑い一本に。数多くのレギュラー、連載を持つ。
http://www.p-jinriki.com/talent/oasiz/

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む