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フィクションと現実が交差 『存在のない子供たち』が映し出した子供たちの窮状

ぴあ

19/7/24(水) 0:00

中東の諸国が共有する貧困層の生活と、その犠牲になる子供たちの姿を映し出し、第91回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた、『存在のない子供たち』。

本作では弁護士役で出演もしている、レバノン出身のナディーン・ラバキー監督は、貧民窟にカメラを持ち込み、主役のゼインを演じるゼイン・アル=ラフィーアをはじめとして、演技未経験の現地の人々を出演させている。

ゼインの目を通して描かれていくのは、極貧にあえぐ両親、狭い部屋で雑魚寝する兄弟姉妹たち、金のない家族を喰い物にしようとする人間たち、そして明日の安全も確保できない不法移民の過酷な毎日や、放置される子供たちの姿などだ。

冒頭からどん底の環境にあるゼインだが、さらに状況は悪化。次々にひどい事態に見舞われ、その境遇はさらにどん底のどん底へ……。誰もが「幼い子供が、こんなひどい目に遭っていいのか」と、思わず憤ってしまうようなシーンが連続していく。本作はフィクション作品ではあるが、監督によると、ここで描かれる貧困の現実というのは、間違いなく中東に存在するのだという。

ゼインは、そんな生活しかできない境遇に自分を生んだ両親を、「なぜ自分を産んだのか」と、法廷で強く非難する。中東や世界の貧しい子供たちの窮状を、まるで代表しているかのように、強い言葉で訴えるゼインの叫びは、多くの観客の心に突き刺さるだろう。本作はフィクションと現実の問題が絡み合う、新しい感覚で社会問題を映し出した映画だ。

『存在のない子供たち』
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