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赤い公園、キュウソネコカミ、tricot、Halo at 四畳半、ネクライトーキー……独自のアンサンブル/アレンジ追求するバンド作品

リアルサウンド

20/1/28(火) 7:00

 新体制になって初となる赤い公園のシングルCD、10周年&子(ねずみ)年のアニバーサリーイヤーを迎えたキュウソネコカミのニューアルバムなどを紹介。バンドというスタイルの可能性、そして、独自のアンサンブル/アレンジを追求する5バンドの最新の表現を体感してほしい。

(関連:キュウソネコカミ「Welcome to 西宮」MV

●赤い公園『絶対零度』
 ギザギザに尖ったノイズに導かれた煌びやかなギターフレーズ、楽曲のなかのシーンによって変化し、徐々に高揚感を上げていくリズムセクション、そして、切なさ、懐かしさ、解放感を兼ね備えたメロディ。新体制になって初めての赤い公園のシングル『絶対零度』表題曲は、鋭利なポップネス、際立った演奏能力、緻密な構築性と奔放なアイデアが混ざったアレンジなど、赤い公園の特性が一気にアップデートされたアッパーチューンに仕上がった。楽曲の中心を担っているのは、石野理子のボーカル。起伏に富んだ、ミュージカル風と言ってもいいような歌を彼女は、抑制と解放をバランスよくコントロールしながら見事に表現している。感情を押し付けることなく、どこか冷静なスタンスを貫いているのも素晴らしい。現在の体制になって1年8カ月、赤い公園はついに新たなスタイルを掴み取ったのだと思う。

●キュウソネコカミ『ハリネズミズム』
 結成10周年、子(ネズミ)年のWメモリアルイヤーを迎えたキュウソネコカミの新作ミニアルバム『ハリネズミズム』。超ファストなメロコアともに地元・西宮への溢れんばかりの愛情を歌い上げた「Welcome to 西宮」、キャッチーなギターとニューウェーブ的シンセが絡み合い、“スマフォの速度制限”をテーマにした歌詞が一つになった「戯我浪費」、ラウドロック的なギターが鳴り響く「適当には生きて行けない(2020 ver.)」、ライブ感に溢れたエモーショナルなサウンドのなかで“やりたいことをやりたいだけ”という意思を改めて示したリード曲「冷めない夢」(ヤマサキセイヤの渾身シャウトがカッコいい!)。“あるあるネタ”と直情的な感情を行き来する歌詞を支える、アレンジ巧者ぶりに感心させられる。

●tricot『真っ黒』
 変拍子、ポリリズムを交えたアンサンブル、シャープな響きをたたえたギターフレーズ、リズム的な快楽と予測を超えたラインを同時に描くメロディ、そして、〈甘酸っぱい問題抱える体は/今 あふれる〉(「あふれる」)など、聴き手の想像力を刺激しまくる歌詞。tricotのスタイル/フォーマットがこれまで以上の精度と密度で表現されたメジャー1stアルバム『真っ黒』。ドラマティックに展開する表題曲をはじめ、中嶋イッキュウのボーカルの表現の深まりも大きな聴きどころ。ジェニーハイでの経験を踏まえ、シンガーとしての彼女のポテンシャルはさらに高まったと言っていい。最新シングル『あふれる』の収録曲「あふれる」「なか」、インディーズ時代の人気曲をリテイクした楽曲など、10年目を迎えたバンドの軌跡を追体験できるのも本作の魅力だ。

●Halo at 四畳半『ANATOMIES』
 ファンタジックなストーリー性と切実な思いを重ねた楽曲、歌を中心に置きつつ、メンバー個々のプレイヤビリティを活かしたサウンドによって支持を拡大し続けている4ピースバンド、Halo at 四畳半のメジャー2ndアルバム。タイトルである「ANATOMIES」は“解剖、分析”の意味。日々のなかにある感情を真っ直ぐに見つめながら、豊かで音楽的な意匠に富んだアレンジとともに表現した楽曲が収められている。未来に向かって歩んでいく意思を推進力に溢れたリズムで後押しする「イノセント・プレイ」(間奏パートの美しいストリングス、その直後に鳴り響くギターソロも素晴らしい)、爽やかなコーラスワークと瑞々しいアコギの響きが印象的なポップナンバー「クレイドル」など、楽曲のムードを増幅させるアンサンブルにも耳を傾けてほしい。

●ネクライトーキー『ZOO!!』
 バンドの中心である朝日(Gt)がボカロP“石風呂”名義で発表した楽曲をバンドバージョンで音源化したミニアルバム『MEMORIES』に続く新作『ZOO!!』は、ライブですでに披露されている「深夜とコンビニ」「ボケナスのうた」などを含む10曲入りフルアルバム。〈ちゅらちゅらちゅら〉という中毒性のあるサビと“わからなくても進め!”というメッセージが一つになった「夢みるドブネズミ」、エキゾチックな旋律とともに小学校時代の風景が浮かび上がる「放課後の記憶」。オルタナ、ギターロック、J-POPなどが混ざり合った音楽性、卓越した演奏技術と遊び心満載のアレンジ、そして、もっさ(Gt/Vo)の中性的なボーカルなど、バンドの個性が端的に示された充実作。本作によってメジャーシーンに進むネクライトーキーは今年、さらなるブレイクを果たしそうだ。(森朋之)

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