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木村拓哉と爆笑問題 太田光、ラジオから滲み出るリスペクトと友情 様々な関係性が見えた色鮮やかな時間に

リアルサウンド

20/7/16(木) 6:00

 木村拓哉がゆかりのあるマンスリーゲストを招いてトークをするラジオ『木村拓哉 Flow supported by GYAO!』(TOKYO FM)。7月のゲストは爆笑問題の太田光だ。

(関連:木村拓哉、2020年以降も揺るがないトップスターの座 昨今の“キムタク旋風”を解説

 7月5日放送回では、オープニングからコルトガバメントのモデルガンを持参して、「ガハハ、ボディーガードのくせに!」と大暴れ。相変わらずな破天荒キャラの太田に、木村も「当たんねーよ!」と嬉しそうに応えていく。

 ボディーガードとは、もちろん木村が主演する木曜ドラマ『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)もちゃんと見ているぞという太田なりの意思表示。さらに、氷水をがぶ飲みしながら「日本酒だから」と意気がる太田に、「照れ隠しからずっとこういうことやってるんですよ」とも。

 「ピー」「たっくん」と呼び合う木村と太田の間にある友情は、ときにじゃれ合う少年同士のようでもあり、ときにエンタメという戦場で才能を認め合う同志のようでもあり、熱烈なファンとスーパースターのようでもあり……。クルっと回すたびに違った形になる万華鏡をのぞくように、2人のトークは聴き応えたっぷりな色鮮やかな時間となった。

●「機械オンチだなお前は」(太田)、「どっちが!」(木村)
 銃撃戦ゴッコのあと話題に上ったのは、木村に送った太田のメールに返信がなかった事件について。実は明石家さんまも木村から返信がないとラジオでこぼしていたのだという。それをリスナー経由で知ったという木村。マネージャーのもとには木村がメールが受信できなかった間、太田が『グランメゾン東京』(TBS系)や、『教場』(フジテレビ系)など、木村が出演したドラマの感想を語った長文メールがどっさりと届いていたそうだ。

 そんなすれ違いを経て、再びスムーズにやり取りをするようになった2人。だが木村は、最近LINEなどのアプリで連絡を取ることが多くなったという。メールで送ってくるのは、太田とマツコ・デラックスくらい。さらに、太田はパソコンで送ってくるため、木村がスマホ感覚で絵文字を入力すると、全部文字化けしてしまうという新たなすれ違いが生まれているようだ。

 「どういう感情かわからないから! 不安になるんだよ。ぐにゅぐにゅぐにゅぐにゅ~ってなってるから(笑)」と木村からの文字化けメールに心を乱されるという太田。冒頭に木村が話したように、太田が暴れる姿を見せるのは、シャイで繊細な心の「照れ隠し」なのだ。

 そんな風に見破られているからこそ、太田は木村に「機械オンチだな、お前は!」と安心して吐き捨てられるのだろう。もちろん、木村はそんなの慣れっこだという感じで「どっちが! 自分だって使ってないでしょ」とあしらってみせる。

 よくよく考えてみると、いつも木村の周りにはそんな照れ屋な天の邪鬼ばかりが集まってきているような気もする。表面上の言葉よりも、奥深くにある確かなリスペクトを感じられる一瞬で繋がっていける。特に武士やヒーローの硬派なキャラクターがハマる木村には、こうしたツンデレくらいの友情が心地いいのかもしれない。

●新しい時代の夜明けに「We are SMAP!」
 対面時には大騒ぎな太田だが、彼が木村に送ったメールには「こんなことができるのはお前だけだ」「木村拓哉だけだぞ」と熱い言葉が並んでいたという。太田曰く、木村拓哉と共演するとヒロイン役の女優が輝くという。他の作品では気づかった魅力を発見できる、というのだ。

 以前、『MR.BRAIN』(TBS系)で共演した相方・田中裕二さえもよく見えたと笑いを誘いながら、「黒澤明監督の映画もそう。黒澤さんが撮ると普段それほど気にとめてなかった役者さんが、みんなキラキラして見えるんだよね」と力説を続ける。座長の木村が決して手を抜かないこと。そんな木村拓哉だからこそ、みんなが「この人によく見られたい」という気合いが入り、いつも以上に魅力的に見える魔法にかかるのだ、とも。

 すると今度は、木村が太田の仕事ぶりに迫る。時事ネタを巧みに取り入れた漫才で定評のある爆笑問題だが、さすがにこの新型コロナウイルスの猛威には太田も気を揉んだと吐露。ソーシャルディスタンスを保った漫才は間が掴めず、お客さんの笑い声が聞こえないライブは「手も足も出なかった」と自信をなくしたという。

 「無観客だと全然反応がないのが、お客さん半分でも笑い声があるって全然違うんだよ、やっぱり。すっごい嬉しくて、やりやすい。お客様は本当に神様だなって思ったよ」と続けた。その話を聞いているうちに、太田が作詞を担当した「We are SMAP!」の歌詞にある〈笑い声。歌の音。魔法のエネルギーさ。〉がよぎった。

 今年、新型コロナウイルスの影響でいろんなものが止まった。なかでも、人が集まって一つのものを生み出すエンタメ業界は、これまでのやり方を見直さなければならなくなった。その結果、無観客ライブやリモート収録などの対策がとられたが、そうして人と人との距離が取られるほどに、改めて私たちのエネルギーは誰かとふれあって、笑って、歌って……という時間の中にあったと思い知らされた。

 「今度ライブ来てくれよ」という太田に、木村は「行きたいよ! 結構俺笑い声デカいと思うよ」と答えてみせる。「いいお客さんじゃん」と笑い合う2人。太田は木村の作品に刺激をもらって、木村は太田の芸に笑って……きっとこれからの時代は、これまで以上にギブ&ギブを意識して生きていくことが必要になるだろう。例え、遠く離れても繋がっているという一瞬を忘れない方法を模索しながら。

 でも、それを真正面に伝え合うのは、やっぱり気恥ずかしいから。「フジテレビの『FNS27時間テレビ』のSMAPがやったときの“SMAPで1個作ってくれ“って言った。あれは苦労したよ」なんて照れ隠しをしながら、木村と太田も友情を育んでいくに違いない。(佐藤結衣)

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