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『G線上のあなたと私』居心地のよい関係性に変化が? 酔った中川大志が見せた新たな一面

リアルサウンド

19/10/30(水) 12:00

「居心地のよい場所を、一つ持っていなさい。誰かに言われた気がする。そういう場所が一つあるだけで、人生はとても楽になる」

参考:『G線上のあなたと私』波瑠の必死の叫びが胸を打つ 難易度の高い人生に必要な仲間の存在

 火曜ドラマ『G線上のあなたと私』(TBS系)第3話。結婚も仕事も失った也映子(波瑠)が、今を生きる唯一の目標と定めたバイオリンの発表会が3週間後に迫っていた。兄の元婚約者でバイオリン講師の真於(桜井ユキ)に片想いをしている大学生の理人(中川大志)も、鬱屈とした日常に風穴を開けたかった専業主婦の幸恵(松下由樹)も心は一つ。

 3人で「G線上のアリア」を弾く。同じゴールに向かって走る仲間のいる居心地の良さ。様々な経験を経て“初恋は実らないもの“だと知っている也映子と幸恵は、最初こそ理人の初恋をからかっていたが、真剣になることを思い出していく。年齢も境遇もバラバラな3人はいつしか、ときに異なる視点を活かして励まし、ときに真正面からぶつかり、まるで不器用な青春時代のように、絆を深めていく。

 発表会が終わったら、真於に告白をする。そう決めた理人のためにも、猛特訓する3人。もしかしたら、この居心地のよい場所は、この発表会でなくなってしまうかもしれない……そう思うと、也映子の中になんともいえない寂しさが生まれてくる。家庭のある幸恵や、学業と並行する理人に対して、家庭も本業と呼べるものもない自分。今の也映子には、このコミュニティ以上に居場所を感じられるところがないと、改めて突きつけられるのだった。

 そんな少し自虐的な気持ちになったとき、「そういうときに出会うんですよね、音楽って」と真於が寄り添う。「小暮さんが音楽に出会ってくれて、今、毎週きちんと来てくれるの、わたしすごく嬉しいですよ」。その言葉に、理人の恋は間違ってないと確信した也映子は、より発表会への気合を入れ直す。理人がよりカッコよく真於の前で演奏できるように。

 だが、人生はやっぱり思ったとおりにはいかない。必死に練習したにも関わらず、幸恵の姑が脳梗塞で倒れ、発表会を諦めなくてはならない状況になってしまう。也映子と理人だけで立つステージ。だが同時刻、病院で目をつぶってエアバイオリンを弾く幸恵の姿があった。そして、その想いは演奏中のふたりの心にも届き、3人でステージに立っているような感覚に。

 努力の甲斐があって、これまでで1番うまく弾けたかもしれない「G線上のアリア」。その勢いのまま、理人は真於に告白するも、「時間を、無駄にすることになります」と清々しいほどの玉砕。初恋の失恋でこんなにつらいんだから、婚約破棄になった也映子はもっとキツかったはず。理人は思い切りフラれたことで、也映子の痛みを理解するだけの経験値を手に入れることができた。

 無駄な努力だったかもしれない、それでも意味がなかったわけではない。人生は大成しないことのほうがずっと多い。恋も、習い事も、それ以外だってそうだ。時間の無駄だとわかっていても、それでも突き進まずにはいられない。そんな成就しない想いや、何者にもならない趣味こそ、かけがえのない思い出となっていく。無理だと諦めたり、無駄だと回避したら、わからなかった痛みもある。

 「理人の恋は正解だった」と号泣する也映子。その涙は、仲間の失恋を悔しがるものから次第に、この居心地のよい場所をなくしたくない寂しさへと変わっていく。「バイオリン続けようよ。3人で」。ぐちゃぐちゃに泣きじゃくる姿は、ピュアな思いをぶつける女子中学生のようだ。そんな真っ直ぐな想いに「マジ泣きじゃん」とからかってしまう理人もまた、素直になれない男子中学生そのもの。

 さらに、酔った理人は也映子にシャッター壁ドンをかまし、「ナンパされていなくなったかと思った。今日、かわいいから」と意味深な発言まで飛び出す始末。超至近距離&潤んだ瞳で見つめられた也映子は「なんだ、これは!?」と大混乱。それを電話越しに聞いてしまった幸恵も、またドキドキな表情を浮かべる。

 理人がバイオリンを続けるのかという以前に、也映子の中に予期していなかった感情が渦巻きそうな気配だ。さらに幸恵の家庭の事情も、姑の介護が必要になったことでより複雑化していく。バイオリン仲間3人で、もう少しこのまま……と、居心地のよい場所であり続けると思っていた関係性が大きく変化しそうな予感。だが、そんな波風もきっと無駄にはなるまい。苦しいときこそ、音楽に出会うように。窮地に立たされて、初めて自分の大事なものが見えてくることもあるのだから。

(文=佐藤結衣)

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