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日本版リメイクの成功例? 国柄の違いがよく現れたTVドラマ『SUITS/スーツ』

リアルサウンド

20/4/20(月) 6:00

 ここ数年、日本では『グッド・ワイフ』や『グッド・ドクター』など、海外のTVドラマを日本版としてリメイクする傾向が目立っており、この2020年には海外ドラマの金字塔として名高い大ヒットリアルタイム・サスペンス『24-TWENTY FOUR-』を日本版としてリメイクすることもすでに決定している。

【写真】オリジナル版の『SUITS』

 日本とアメリカ、全く異なる2つの国の文化や慣習などをどれだけ上手く映し出すことができるのかが、成功と失敗の分かれ道となりそうだが、2018年より織田裕二主演で日本版が放送され、この4月からシーズン2の放送が始まった、リーガル・ドラマ『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)は、どうなのだろうか?

 オリジナル版の『SUITS』は、2011年より米USAネットワークにて放送が始まり、瞬く間に大ヒット作品への階段を駆け上がった、スタイリッシュ・リーガル・ドラマだ。

 ニューヨーク最強のクローザーとして君臨するピアソン・ハードマン法律事務所の弁護士ハーヴィー・スペクター(ガブリエル・マクト)と天才的な記憶力を持つ経歴詐称のアソシエイト、マイク・ロス(パトリック・J・アダムス)の2人が、クライアントの要望に応え、勝利をつかみ取っていく姿が描かれる。

 日本版でもそういったストーリーの導入部はほとんど変わらず、やり手の弁護士である甲斐正午(織田裕二)が、悪友に騙され運び屋の仕事をしていた鈴木大貴(中島裕翔)の法律の知識を見初め、アソシエイトとして雇うところから幕を開ける。

 主人公2人の存在含め、オリジナル版へのリスペクトを持ちながら製作していることをうかがわせる演出や描写も多い。

 そして、やはり日本とアメリカの違いなども映し出している印象が強く、例えば、日本版における甲斐のオフィスにはサイン入りの野球ボールがズラリと並べられ、ヤンキース田中将大投手のユニフォームが壁に飾られているが、オリジナル版のハーヴィーのオフィスにはサイン入りのバスケットボールがズラリと並べられている。

 アメリカではバスケットボールいわゆるNBAはメジャースポーツであり、国民的なスポーツと言える。しかし、日本でバスケットボールのプロリーグというのは比較的最近になって発足したばかり。そのため、やはり日本人にとっては野球が親しみやすいという背景があるのだろう。

 また、着用しているスーツに関しても、オリジナル版と日本版では大きく異なる。アメリカ版でハーヴィーが着用しているスーツは高級ブランドのトム・フォードだが、日本で甲斐が着用しているのはTAGARUのオーダーメイドスーツと言われている。

 TAGARUは日本の最先端スーツとして知られているが、比較的リーズナブルなブランドとして有名だ。製作費の関係などもあるかもしれないが、一着のスーツにかける値段の差は歴然である。

 アメリカでは「目に見えるものがすべて」という考え方があり、ビジネスエリートたちは仕立ての良いスーツを着用している。劇中で甲斐が大輔にスーツの指摘をする場面があるが、やはり日本とアメリカの弁護士のサラリーの違いというものも垣間見える次第である。

 日本版『SUITS/スーツ』シーズン2より登場する新キャラクターの上杉一志は、かつて幸村・上杉法律事務所の所長だったが追放されたことにより、姿を消していた人物。しかし、看病していた妻が亡くなったことから、再び事務所へと舞い戻ってくるキャラクターである。

 オリジナル版での上杉ことダニエル・ハードマンは、事務所へと復帰後に、数々の陰謀を企て、乗っ取りを模索するようになる。恐らく、日本版『SUITS/スーツ』でもそのような事態が巻き起こることになるのだろう。一体、吉田鋼太郎がどのような表情を魅せてくれるのか、いまから楽しみである。

 最後に一つ、豆知識になるが、日本版『SUITS/スーツ2』第1話にて、反町隆史演じる三津谷が社長を務める「フューチャー・スカイ」との交渉に現れた「EIFFEL AIR」の重役の名前にパトリック・マクトとある。これはオリジナル版で主演を務めるパトリック・J・アダムスとガブリエル・マクトの名前を掛け合わせたもの。こういった細かい部分のオマージュにも注目していく楽しさがあるドラマである。

 アメリカと日本の国柄の違いがよく現れた『SUITS/スーツ』。オリジナルとは異なる日本独自の魅力を醸し出しながら、これからも視聴者を大いに楽しませてくれることだろう。

(zash)

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