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女優×アクション俳優・山本千尋「毎日2時間は筋トレをしています」

ぴあ

山本千尋 撮影/友野雄

元・中国武術の選手として数々の大会で優勝した経歴を持ち、現在はさまざまなアクション作品に出演している俳優・山本千尋さん。8月26日から「LINE NEWS」動画コンテンツ「VISON」にて配信された、縦型アクションムービー『EXTREME ACTION』で主演を務めている。

本作で「俳優からアスリートの気持ちに戻った」と話す山本さん。『EXTREME ACTION』への意気込みや芝居・アクションにおけるスタンス、自身でアクションをこなすからこそ必要な準備などを伺った。ストイックな印象に包まれた山本さんの素顔をお届けする。

『EXTREME ACTION』は初めての試みだらけ

ーー『EXTREME ACTION』はドラマ仕立てのアクションコンテンツ、かつ縦型動画と新感覚の映像コンテンツです。山本さんご自身、「ワクワクした」とコメントされていましたね。

ありがたいことにアクション作品に携わる機会が多いのですが、全編アクション・ドラマ仕立て・縦型コンテンツは初の試みでした。何事も「初めて」だとちょっと得した気分になると言いますか(笑)、すごくワクワクしたのを覚えています。

ーー初めての試みに緊張することは……?

撮影が始まる前は楽しみの方が勝っていましたが、撮影本番は緊張感のある中で挑みました。これまで経験したことのない縦型の画角に動きを収める難しかったです。加えて、アクションは何度もテイクを重ねられません。「絶対に決める」という空気の中での撮影は今思い返してもゾクッとします。

ーー山本さん演じるユウナは「兄を殺された」というなかなかヘビーな役柄ですが、同時にアクションがメインなためセリフはほとんどありません。その中で、どのように役を表現しているのでしょうか?

アクション作品の良さって、良くも悪くも10~20秒であらすじが説明できるくらいストーリーが物凄く単純なことだと思っています。それでもなぜアクション作品が面白いのかというと、それはアクションでお芝居を見せられるからではないかと。

まさに『EXTREME ACTION』も同様で、台本はほとんどがト書きでした(笑)。けれど、セリフはなくともアクションで見せられる部分はたくさんあります。アクションで表現するため、楽しく準備をしていました。

ーーちなみに、どんな準備を?

今の自分のポテンシャルを最大限引き出すための努力、でしょうか。アクション作品をつくる時、基本的には「アクション部」というアクションのプロフェッショナルな方たちにアクションの組み立てや振り付けをお任せしています。そのアクション部のみなさんに準備段階から自分のポテンシャルをアピールする。そうすることで意見を言い合いながらつくり込むことができ、良いアクションがつくれると思っています。

なので、撮影が始まる直前まで、毎日アクション稽古を重ねていました。特に『EXTREME ACTION』ではいろんなスタイルのアクションがあります。苦戦もしましたが、悩みながら稽古する時間は楽しくて仕方なかったですね。

「役づくりはほとんどしない」柔軟性を軸にした演技論

ーー『EXTREME ACTION』の撮影で大変だったこと・苦労したことはありますか?

『EXTREME ACTION』に限らずどの撮影現場も大変ですが、大変だからこそ燃えてしまう部分があります(笑)。だから、現場でネガティブな感情を抱く瞬間はないですね。それはきっと自分一人ではなく、共演者のみなさん・スタッフのみなさんと一緒に作品をつくり上げているからだと思います。

ーー「みなさんと一緒につくり上げる」ということは、あまり役もつくり込まずに撮影に臨んでいるのでしょうか?

先ほどお話したようにある程度の準備はしますが、基本的に役づくりはしません。それぞれの現場で感じ取れる空気感、吸収できることは繊細に変わります。にもかかわらず、自分がつくり込んだプランを押し付けてしまうと、「そうじゃないんだよな……」となってしまうこともあると思っていて。現場によって感じ取れるものを都度吸収しながら役をつくり込むようにしています。

『EXTREME ACTION』でもその意識は試みましたが、みなさんにちゃんと受け入れてもらえたかなぁ……と思っているところです(笑)。

ーー「役をつくり込まない」という考え方は、俳優業を続けていく中で確立されていったのですか?

そうですね、徐々に確立していきました。もともと中国武術の選手だったので、最初は練習すればするほど良いものができると思っていました。自分が「こうだ」と思った練習を貫き通していたため、お芝居でも同じように「こうだ」と徹底的に役づくりをしていました。

けれど、撮影現場で共演者の方や監督さんや演出家さんが同じように思っていなかったり、「イメージと違うな」と思っていたりした時、自分がつくり上げた役の型から抜けられなくなってしまうんですね。それは周りにすごく迷惑がかかります。

その経験から、あまり役づくりに熱中せず、最低限の準備をして撮影に臨もうと思うようになりました。

ーー柔軟性を意識するようになったんですね。

まさに。以前は本当に柔軟性がなかったので(笑)、ここ数年で柔軟性の大切さに気づきました。

自分の準備してきた表現をしっかりアピールしながら、柔軟に現場で吸収したものをプラスアルファで表現できるか。今の私が大切にしていることです。

ーー『EXTREME ACTION』の撮影現場はいかがでしたか?

ちょっとアスリートに戻ったかもしれません(笑)。今回、パルクールアスリートのZENさんと共演したのですが、打ち合わせの際に「パルクールも中国武術も今こそ名前が浸透しているけれど、野球やサッカーなどのメジャースポーツほど名が知られているわけではないよね」という話しをしたんですね。その時、とあるスタッフさんが「パルクールは採点競技なんですよね?」と質問を投げかけたのですが、ZENさんは「今でこそ採点競技やパフォーマンスの印象が強いですが、それは後付けです。サバイバルの環境下で窮地に追いやられた際、どう対応するかを表現しています」とおっしゃって。

そこで、私が忘れかけていた中国武術の本質を改めて思い出させてくれました。中国武術も戦いの中で生まれ、それがパフォーマンスとなり採点競技になっています。『EXTREME ACTION』も「戦い」のストーリーであるからこそ、私のアスリート魂を呼び起こしてくれたZENさんは貴重な存在でした。

体力づくりは毎日最低2時間!? 最近はボクシングも・・・

ーーアクションをする上で身体づくりはかなり重要かと思いますが、山本さんがアクションを演じるために特に意識していることはありますか?

アクションといっても作品によって「ガン・アクション」「カンフー・アクション」「ソード・アクション」などアクションの形式が違うため、身体づくりや準備の仕方も都度異なりますが……最低限必要な「体力」「集中力」「忍耐力」は身につけようと思っています。

撮影中に「ごめんなさい、体力的に厳しいです」と言うことは一番カッコ悪いと思っているので、どんなアクションでも耐え得るための最低限の準備は今後も続けていくつもりです。

ーー1日のうちどれくらいの時間、体力づくりに励んでいるのでしょうか?

時間は決めていませんが、2時間くらいは筋トレやストレッチなどをしているかもしれません。また最近、ボクシングを趣味で始めたので、時間がある時には筋トレ・ストレッチに加え、ボクシングでリフレッシュしています。なので、恥ずかしいくらいムキムキなんですよ(笑)。

ーーすごくストイック……。

いやいや! 私にとって運動をすることがリラックスに繋がっているんですよ。運動すると頭がリフレッシュされますしね。ありがたいことにお仕事(アクション)がリフレッシュに繋がっているという(笑)。

とはいえ、のんびりしたい時は好きな映画を見ますよ! 美味しいご飯を食べて、ある程度の運動をして、「いい汗かいて気持ち良かった!」と思えることが何よりも幸せなんですよね。自分ではストイックではないと思っています(笑)。

「いつまでも課題があるからアクションは面白い」

ーー多くの俳優さんはスタントマンの方とともにアクションを演じますが、山本さんはスタントマンを使わずにご自身でアクションをされることが多いと思います。そこについてメリットを感じることはありますか?

メリットだとは全く思っていないです。何でもかんでも自分でやることが正解ではないと感じています。

アクション部と役者の使い分けというのは、単純にいい画を撮るためバランスなんですよね。アクション部の方のパーフェクトな動きだとあまり役柄が見えてこない場合もあるので、役者がアクションをやった方が自然なカットもあります。一方で技術を優先した方が良い、役者では対応できない動きをプロフェッショナルなアクション部の方たちにお任せする。ただそれだけのことだと思います。

私自身よく「スタントマンを使わずにほとんどのアクションを自分でしているのはすごい」と言っていただけるのですが、特にすごいことだとは思っていなくて。いい画を撮るために最低限自分のできることをしている感覚なんですよ。私もできないことはプロフェッショナルな方々にお任せしているので、変わらないような気がしています。

ーードラマ『着飾る恋には理由があって』のように、アクションをしない作品にも出演されています。役を演じることとアクションをすることを同時にやる時とアクションをせず役を演じるのみの時の心持ちや意識も、それほど変わらないのでしょうか?

基本はどちらも同じです。アクションがあったとしてもなかったとしても線引きはせず、いただいた役に感謝して一つひとつ丁寧に乗り越えていくのに必死です。

ただ私の性格上、演じる役柄を自分の型にはめて練習してしまいがちなので、準備の段階からできる限りコミュニケーションを取ろうと意識しています。

スポーツ選手時代は文章を読む習慣がなかったため、今やっと台本を読んで役への理解を深めたり気持ちを読み解いたりすることが楽しくなってきました。同時に読めば読むほど理解が正しいのかが分からなくなってくるんですよ。分からないことを撮影本番まで持ち込んで、周りのスタッフ・キャストのみなさんが手を差し伸べてくれるのを待つのではなく、準備の段階で自分の理解が合っているのかも含め、聞きに行くことが大切だなと思っています。

ーーさまざまなアクション作品に出演されている山本さん。最後に、アクションの楽しさ・面白さを教えてください。

難しいことが面白いですね。私、「自分はアクションができる人間だ!」と思ったことは一度もなくて、いつもアクションって難しいなと思いながら臨んでいます。同時にアクションはどんなに練習してもし足りないからこそ面白くてたまらないという気持ちがあって。

スポーツと異なり、アクションには優勝や一位がありません。天井がないことこそアクションは面白いんです。いつまでも課題があるからこそ、『EXTREME ACTION』のような作品に臨む時は毎回悩むけれど、その悩みすら自分にとって楽しくて仕方がないと思っています(笑)。

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(クレジット)
撮影/友野雄、取材・文/阿部裕華

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