アングスト/不安
20/7/4(土)
何重にも恐ろしい映画だった。
主人公は人間、特に女性を痛めつける衝動を抑えられないサディスト。そのために何度も罪を犯し、刑務所と外との往復を繰り返してきた。
そんな男の目線から物語が描かれていく。
不思議なアングルから撮られる不安定なショットの数々が主人公の精神状況の揺らぎを映し出し、こちらまで一緒にその心理へと巻き込まれるような錯覚に囚われる。
一方で、彼の口から語られるその生い立ちは、人格が歪んでしまっても無理もないという説得力があった。
その結果、衝動的に凶行を繰り返す主人公の様が「頑張って奮闘している」ように映り、その異常性が気にならなくなってくる。
そのことに気づいた時、心から寒気がした。
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