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本年度最高のスタート『名探偵コナン 紺青の拳』 シリーズ初の興収100億円に向けての課題とは?

リアルサウンド

19/4/17(水) 16:00

 『名探偵コナン 紺青の拳』がロケットスタートをきった。先週末の土日2日間の動員は114万5000人、興収14億6400万円。4月12日(金)初日からの累計では、動員145万8000人、興収18億8600万円。この成績は、前作『ゼロの執行人』との興収比で2日間、3日間いずれも約13%増という、ベースの数字の大きさをふまえれば驚異的な伸びと言える。当然のようにこれはシリーズ最高の記録で、これで17作目の『絶海の探偵』以降、6作品連続で前作のオープニング記録を更新するという快挙を達成した。

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 ちなみにこのオープニング記録は近年の『スター・ウォーズ』シリーズや『ジュラシック・パーク』シリーズさえも大きく超えるもので、「もしやオープニングの新記録では?」と一瞬頭をよぎったものの、同じ東宝配給のアニメ作品でも上には上がいて、2014年12月公開の『妖怪ウォッチ』の1作目の映画化作品がオープニング2日間(当時の東宝配給作品は現在のように金曜日が初日ではなく土曜日が初日)だけで興収16億2889万もの数字をあげている。また、外国映画にも範囲を広げると2002年11月公開の『ハリー・ポッターと秘密の部屋』がオープニング2日間で興収20億5487万、2003年6月公開の『マトリックス・リローデッド』が同じくオープニング2日間で興収22億2285万といった記録がそびえ立っていて、00年代前半の外国映画のマーケットにおける占有力の高さを思い知らされる(当時は先行上映の数字もオープニング成績に加算されていたとはいえ)。現在、アメリカだけでなく世界各国でマーベル・シネマティック・ユニバースや『スター・ウォーズ』シリーズの新作が公開される度にオープニング記録が毎年のように更新され続けている状況とは対照的だ。

 もう一つ興味深いのは、日本の興行においては「初動成績」と「累計成績」が、諸外国と比べてもあまりリンクしてこなかったこと。例えば、先ほど挙げた『妖怪ウォッチ』映画1作目は歴代興収では77位、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』は初動興収では上回った前作『ハリー・ポッターと賢者の石』よりも低い歴代興収9位、『マトリックス・リローデッド』は歴代興収23位。『千と千尋の神隠し』、『タイタニック』、『アナと雪の女王』、 『君の名は。』といった歴代トップ4、あるいは最も新しい「興収100億円超え作品」である『ボヘミアン・ラプソディ』(3月末時点で127億4000万円)といった正真正銘のメガヒット作品は、もちろん初動から好成績を叩き出してはいたが、何よりも息の長い興行によって数字を積み重ねた作品だった。

 『コナン』の前作『ゼロの執行人』もまた、7週連続1位、15週連続トップ10というロングヒットによってシリーズ最高の最終興収となる91億8000万円に到達した。その勢いを引き継ぐかたちで、今回の『紺青の拳』には現実的な目標として興収100億円の大台超えの期待が寄せられているが、初動で前作を上回ったからといって、それを確実視するのはまだ時期尚早だろう。実際、ソーシャル・メディア上の書き込みや口コミでは『ゼロの執行人』公開時ほどの熱狂的な空気は形成されておらず、また昨年は2週遅れて公開された『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に動員では1週も1位を明け渡さなかったが、今年も同じく2週遅れて公開される『アベンジャーズ/エンドゲーム』にはシリーズ最高記録を更新しそうな気配がただよっている。『コナン』シリーズ初の興収100億円突破に向けて予断は許さない。(宇野維正)

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