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『名探偵ピカチュウ』はハリウッド映画化の成功例? 西島秀俊と竹内涼真の声の演技に注目

リアルサウンド

20/5/22(金) 12:00

 2019年、日本もとい世界的に話題となった『名探偵ピカチュウ』が5月22日にいよいよ金曜ロードSHOW!(日本テレビ系)で地上波初放送される。

 日本が世界に誇る『ポケットモンスター』(以下、『ポケモン』)の初のハリウッド版となる本作は、予告編が初めて公開された段階から、しわしわ顔でモーションキャプチャーを利用した表情豊かなピカチュウの描写などに大きな期待感を寄せられていた。

【写真】『名探偵ピカチュウ』劇中に登場する竹内涼真の姿

 しかしながら、筆者も個人的に、日本の漫画やゲームがハリウッドで映画化された際の成功例というのをあまり見たことがないため、正直なところ心配していたのだが、蓋を開けてみれば、日本の作品をハリウッド版としてリメイクする際のお手本となるかのような完璧な世界観が繰り広げられていたのだ。

 まず冒頭のシーンから心を奪われる。1998年に公開された記念すべき『ポケモン』映画第1作である『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』を彷彿とさせる、世界最強のポケモンであるミュウツーの登場シーンから幕を開けるのだ。

 さらに、そこから物語が進んでいき、帽子を被った“オヤジ声”で人間と同じ言葉を話すピカチュウが現れる。このピカチュウの声を担当しているのは、マーベル映画『デッドプール』で無責任ヒーローを演じたことでも有名なライアン・レイノルズ。レイノルズがピカチュウを演じることにより、若干の下品さを醸し出すようになるのだが、それが逆に功を奏し、中年テディベアが大きな人気を博した『テッド』のような魅力を発揮しているのだ。現代ハリウッドにおいて、ここまで立派にピカチュウ役をこなせるのは、おそらくレイノルズぐらいであろう。

 そのほかにも、日本が誇る渡辺謙やイギリスの名優ビル・ナイといったベテラン俳優陣も脇役として抜群の存在感を放っている。また、金曜ロードSHOW!で放送される日本語吹き替え版は、ピカチュウの声を西島秀俊、ティム役の声を竹内涼真が担当。竹内は、本作のロブ・レターマン監督が来日した際に惚れ込まれ、本編のあるシーンにトレーナー役として出演を果たすという奇跡も起こしている。

 ここで少し『名探偵ピカチュウ』のストーリーを紹介しておこう。本作の主人公となる青年ティム(ジャスティス・スミス)は、幼い頃はポケモンが大好きな少年だったが、現在は、ある理由からポケモンと距離を取っている。そんな彼が父親の死の報せを受け、ポケモンと人間が共存する街・ライムシティへと向かい、そこでひょんなことからピカチュウと出会い、実は生きているかもしれない父の行方を探そうと奔走する姿が描かれる。

 「ポケモンがもしも現実の世界に存在したら?」というテーマのもと、非常に巧みにポケモンを日常に溶け込ませている印象を受け、新鮮な印象を受ける。近年、マーベルなどのアメコミ作品を原作とする大作映画が世界的に爆発的なヒットを記録しているが、その要因は、原作へのリスペクトを大切にしながらも、新たな解釈を加えるという絶妙なバランスの上に成り立っているからであり、今回の『名探偵ピカチュウ』もそういったバランスが絶妙なところで取られているからこそ成功したものと思われる。

 劇中に登場するポケモンたちは製作段階でより現実的なものにするために毛がフサフサしたデザインとなり、‘‘質感’’も非常にリアルに再現されている。そして、とても表情豊かに映し出されている。

 ストレスを感じると手に負えなくなってしまうコダック、不機嫌そうな表情を浮かべるブルー、アニメやゲームでおなじみのフシギダネなど、劇中には何百種類ものポケモンが登場しており、そのどれもが超絶キュートなのだ。

 小さい頃に初期のテレビアニメを観ながら、ゲームボーイカラーの『ポケットモンスター 金・銀』をプレイしていたあの日以来、ポケモンから遠ざかっていた筆者は、劇場で鑑賞した際に、上映終了と共に、再びポケモンに心を奪われてしまった。現在ポケモンに熱中している子供たちも、筆者のようにその昔ポケモンに熱狂していた大人たちも、すべてのポケモントレーナーたちに贈る「ポケモン讃美歌」なのが、この『名探偵ピカチュウ』なのである。

(zash)

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