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マーク・パンサー、47都道府県ツアー敢行 小室哲哉からの言葉を胸にDJで繋ぐ“globeへの思い”

リアルサウンド

18/8/22(水) 8:00

「ともしびを消すな」

 1990年代後半の音楽シーンを牽引し、多くのメガヒット曲を生み出してきたグルーブ・globe。2011年にボーカル・KEIKOが病に伏してからは、2012年より小室哲哉とマーク・パンサーで活動を再開。しかし、2018年1月、小室が音楽活動からの突然の引退を発表した。

 冒頭の言葉は、マーク・パンサーが以前、小室から言われた言葉なのだという。今、globeのメンバーで音楽活動を続けられる状態となったのは、残されたマークただ一人。そんな彼が、2018年3月から47都道府県をglobe楽曲のDJで回る『GLOBE-GENERATION~ともしびは消さない~』というプロジェクトをスタートした。会場はKEIKOが憧れていたライブハウス。「グロジェネ号」と命名したワゴンに機材を乗せて、わずかなスタッフと全国を旅して回った。会場のブッキングも全て自分たちで行った。ツアーを組むこと自体に不慣れで、鹿児島の次に北海道を組んでしまうような過酷なスケジュールの中、道中には足を捻挫してしまうトラブルもあった。しかし、マークは「辛いことはなかった」と笑顔で語る。全国で自分を、そしてglobeを待っていてくれるglober(ファンの呼称)に会える高揚感が5カ月間に及ぶツアーの原動力になっていたのだという。

 『GLOBE-GENERATION~ともしびは消さない~』は8月17日、東京・マイナビ赤坂BLITZでツアーファイナルを迎えた。キッズDJやダンサーに加え、バラエティ番組『学校へ行こう!』内の企画「B-RAP HIGH SCHOOL」で一斉を風靡したglobeのパロディユニット・軟式globe(現在はボーカルが2代目となり軟式globe。’12)が16年ぶりの約束としてステージに現れ「アホだなぁ~」を披露、また、アイドルグループ・monogatariによるglobeメドレーのダンスパフォーマンス、元NMB48の梅田彩佳が「FREEDOM」「wanna Be A Dreammaker」で高度な歌唱を披露するなど、globe楽曲を聞いて育ってきた“GLOBE-GENERATION”をゲストに招いた盛大な公演となった。

 しかし、このイベントの最大の肝は、globeのツアーをサポートしてきた阿部薫(Dr)、木村建(Gt)、松尾和博(Gt)、マークの友人であるリチャード(Key)によるバンド演奏とDJプレイの融合、そしてそのサウンドと完全にシンクロしたglobeのライブ映像が鮮明なLEDに映された臨場感溢れるステージングだ。各曲は「EDMセッションズ」としてアレンジされ、ボーカルエフェクトが施されていたが、「FACES PLACES」「DEPARTURES」などでは、会場にKEIKOがいるのではと思うほどのボーカルの生々しい響きを体感することができた。どの曲も色褪せることなく、今鳴らされる音楽として輝きを放っていた。

 ステージには「いきなり来たら困るから」と、小室のキーボードセットとKEIKOのマイクスタンドが用意されていたのが印象的だった。公演中、来年にはシーズン2、再来年にはシーズン3と本イベント継続についての意欲を覗かせていたマーク。赤坂BLITZ公演を終えた直後の彼にイベント開催の意義や、globeへの思いを聞いた。(編集部)

(関連:小室哲哉、引退発表によせて 昨今のTKソング再評価、音楽シーンに与えた影響を振り返る

■TKの言葉は、先生からのヒントのようだった

ーーまずは47都道府県ツアーを終えた感想を聞かせてください。

マーク・パンサー:最初の1発目から10発目までは終わらないんじゃないかと思うくらい先が見えなかったけれど、終わってみるといけたなというか。今日もあれだけの人たちに集まってもらえて、続けることは大切なことなんだと改めて思いました。終えることは簡単なんだけれども、続けるのはすごいことなんだなと。だからちょっと感動しましたね。47都道府県を終えて、残るのは感動でした。でもまたこれが始まりなんじゃないかなとは思ってますけどね。やっぱり「DEPARTURES」(出発)ですからね。

ーー旅の間で辛かったこと、苦労したことは?

マーク・パンサー:それほど苦労はないです。47都道府県って日本人であっても全部は行ってないと思うんですよ。だからワクワク・ドキドキのほうが強くて。一回捻挫をした時も痛い、辛い、のはずなのに、次に行けるんです。次の街はどうなんだろう。次の人たちは、次のgloberは……そう思えることが楽しかったですね。だから、辛さはないんじゃないかな。でも2回目は辛さがわかってくるのかもしれない。1回目はドキドキ・ワクワクの波に乗っかって、楽しかったっていうのが率直な感想ですね。

ーー小室さんから「ともしびを消すな」と言われたというエピソードについて改めて教えてください。

マーク・パンサー:KEIKOが倒れて歌えなくなった時にTK(小室哲哉)に「ともしびを消すな」と言われて。悩んだんですよ。「3人のうちの1人の俺に何ができるんだろう」って。その方法がラップというのも少し違うなと思っていた時にターンテーブルに出会って、DJを始めました。KEIKOが倒れた後なので、7年前くらいですね。DJもglobeでラッパーだったら当たり前のようにできると思う人もいるんだろうけど、できないものをゼロから勉強して、自分もちょっとずつ成長していると思います。今は一人だから孤独っていうのはあるんだけれども、それを乗り越えるための成長はしているんじゃないかな。だからこそ、48歳でもいろんなチャレンジをしているマーク・パンサーがいるのだと思うし。「ともしびを消すな」は先生の一言みたいな感じだったんじゃないですかね。メンバーの一言、ボスの一言、プロデューサーの一言っていうよりも、先生から教えてもらった一つのヒントだったような気がする。「お前が成長するための『ともしびを消すな』なのかもしれないぞ」と。

ーーなるほど。

マーク・パンサー:どれだけすごいことをした人たちでも、もしかしたら一週間くらいで人の記憶からどんどん消えていくんじゃないかなと思うんです。だから「ともしびは消さない」のプロジェクトは続ければ続けるほどいいと思っています。僕がクラブでみんなをヒット曲で盛り上げて、一番盛り上がった時に「DEPERTURES」を流すと、全員が記憶の中から「DEPERTURES」を蘇らせる。その夜SNSで、押入れに隠れていたglobeのアルバムを取り出して「今聞いてるんだよね、やっぱいいよね」とか書いているのを見ると、「そうだな、続けてかなきゃな」と思うんですよね。

ーーDJを実際に始めてみてどうでしたか?

マーク・パンサー:DJというある種のメディアになって、そこにいる2,000人、3,000人を盛り上げて、そこにglobeの曲を落とす。ラジオのゴールデンタイムにドカンと鳴らすみたいなことと一緒ですよね。僕のプレイは1時間半しかないんだけれど、その1時間半をうまく使えるのがDJという職業なんじゃないかな。そしたらドンピシャでしたね。どっちかというと自分はワンマンプレイなところがあって、スポーツもチームプレーよりも剣道とか水泳とかが好きなタイプなんです。DJは一人でできることだったから合っていたのかもしれないですね。

ーーDJとしてglobeの音楽と向き合ってみて気づいたことはありますか?

マーク・パンサー:最初はオリジナルをクラブで流すとどうしてもスカスカした感じがあって。DJプロデューサーの勉強をずっとしていたので、DJとして音楽プロデュース・リミックスをしていくと、クラブに曲を合わせることができていく。そうなると会場の盛り上がりも変わっていくんです。

ーー今日も臨場感がある、とても面白い体験をさせていただきました。

マーク・パンサー:いろんなゲストにも出てもらえたし面白かったですよね。これからもお客さんの顔が見える位置で、もっと気楽にやっていきたいです。イベントの最後に握手会や撮影会もやっていたんですけど、そういうことがきっと大切なことだし続けなきゃなと。47都道府県ツアーではライブが始まる1時間前に集合写真大会をやっていて、それも面白かったですね。各地みんなちゃんと集合場所に集まってくれてるんですよ。昔だったら考えられないんだけど、今だからこそやるべきことの一つだし、そういうことがもしかしたら今後globeを続けていく上でのヒントなのかもしれません。

■3人でもう一度ステージに上がりたい

ーー『GLOBE-GENERATION~ともしびは消さない~』をシーズン2、シーズン3と続けていきたいというお話もイベント中にありました。

マーク・パンサー:僕がいる限りglobeは続くし、globeは3人だけじゃなくファンのみんなと一緒にglobeなんです。昔作っていたTシャツの裏に「globe are KEIKO, TK, MARK and you」みたいなことを書いていたんだけれど、続けている限り……KEIKOが歌えなくなって、TKがちょっと辞めちゃってるけれど、マークとみんながいるっていうのは続くんじゃないのかな。もしかしたら4人目のYOSHIKI(X JAPAN/2002年加入)が(笑)……っていうふうに、続くかもしれない未来がみえるから、続けるべきなんじゃないかなと思うんです。

ーー近しい目標としては2年後でしょうか。

マーク・パンサー:2年後がちょうどglobeの25周年なので、ミドルタームの夢としては2020年を目標に2年間続けるのもアリかなと思っています。2025年の30周年も、もしかしたらアリかもしれない。47都道府県ツアーはHOPEの文字を胸に描いたHOPE Tシャツを作って回っていました。奇跡は願っていれば、続けていれば、もしかしたら起こるかもしれないって。3人でもう一度ステージに上がりたいっていうのが正直な気持ち。それはやっぱり信じてやっていきたいなと思いますけどね。きっとイベントに来ていたみんなも信じていると思うから。

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