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柴咲コウが『エール』で放つ圧倒的な“カリスマ性” 『おんな城主 直虎』の経験が生かされた形に

リアルサウンド

20/6/4(木) 6:00

 窪田正孝演じる主人公・古山裕一が、所属するコロンブスレコードにて、ついにヒット作を生み出したNHK連続テレビ小説『エール』。裕一の妻・音(二階堂ふみ)の妊娠も発覚し、物語は大きく動き出そうとしている。

参考:柴咲コウ「音楽には人生を変える力がある」 『エール』オペラ歌手を演じる上での取り組み

 そんな主人公夫婦に多大な影響を与えているのが、柴咲コウ演じる世界的オペラ歌手・双浦環だ。環は第7話で初登場。環の歌声を聴いて、幼少期の音(清水香帆)は歌手を目指すことになる。第41話より、音が通う音楽学校の記念公演の審査員として再登場した環。ときに厳しい一面も見せながら音を導く存在として、そして裕一の初のヒット曲となった「船頭可愛いや」の歌い手として、『エール』に欠かせない重要人物となっている。

 ライターの木俣冬氏は、環を演じる柴咲コウについて、次のように語る。

「国際的に活躍しているオペラ歌手、しかも実在した三浦環さんをモデルにしているということもあり、柴咲さんも演じるプレッシャーは相当あったかと思います。しかし、放送が始まってみたら、“スター”としか言えない圧倒的なオーラを柴咲さんは見せてくれています。やはり歌手としての活動もされていただけに、歌を歌う姿が画になりますし、不自然さがまったくありません。音の人生を変える歌声なわけですから、それが嘘っぽくみえたら作品全体のトーンが崩れてしまいます。でも、そうならなかったのも柴咲さんの本物の歌声があったからこそ。まさに適材適所の配役だったと思います」

 また、視聴者の間で話題となっているのが、環の晴れやかな着物姿だ。この着物を着こなせる女優はなかなかいないと木俣氏は続ける。

「柄ものに柄という本当に華やかな着物ですが、着せられている感が一切なく、『似合う』としか言えないのはすごいの一言です。環の貫禄ある立ち居振る舞いも、やはりNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』の出演が大きかったのではないかと思います。歴史上でも決して著名ではない人物、しかも“おんな城主”という今までにない役柄で、1年間、“殿”としての責任を全うした。ひたすら耐えて耐えて耐え抜くという人生を直虎は歩むだけに、ともすれば地味になってしまう物語だったと思うんです。特に後半に関しては、後に井伊直政となる万千代(菅田将暉)が主役と言ってもいい展開であり、後見役として支える側に回ります。でも、柴咲さんが演じることによって、絶対にくじけない強い主人公としての華が直虎にはありました。演技の上手い下手とはまた違う、柴咲さん自身が持ち得ているカリスマ性。それが、あったからこそ、今なお『おんな城主 直虎』が名作と言われ続けているのだと思います」

 『おんな城主 直虎』をはじめとした主演としての芝居はもちろん、脇に回っても作品を輝かせることができるのが、柴咲の演技の強みだと木俣氏は語る。

「柴咲さんの過去出演作で印象的だったのが、後に映画化もされた2014年のドラマ『信長協奏曲』(フジテレビ系)です。柴咲さんが演じたのは、『麒麟がくる』で川口春奈さんが演じていることでも話題の信長の妻・帰蝶(濃姫)。信長の妻として夫を立てつつ、現代に帰ってしまうサブロー/信長(小栗旬)との切ない恋模様を非常に丁寧に演じていました。現代の若者がタイムスリップして信長に成り代わるという一見荒唐無稽な設定の作品でしたが、それが説得力を持って観ることができた一番の要因は柴咲さんの帰蝶があったらこそだと思っています。本作に限らず、物語の中に楔を打てる、主演の持ち味を引き出すことができる、そんな芝居を柴咲さんはいつもされている印象です。

 『エール』の環さんは指導者としての役割を担っていますが、年齢を重ねるにあたり、今後もそういった役柄が増えそうな気がしています。現在再放送中のドラマ『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)を観ていても感じますが、いい作品には主人公たちを見守る“いい大人”が必ずと言っていいほど登場します。主役としての柴咲さんも観たいですが、今後はそういった“いい大人”を演じる柴咲さんもたくさん観たいですね」

 NHKのテレワークドラマ『今だから、新作ドラマ作ってみました』第3夜「転・コウ・生」では、中身がムロツヨシ、高橋一生となっている(という設定の)演技で、環とは真逆とも言える演技を披露してくれた柴咲コウ。今後も作品ごとに今までにない新しい姿を見せてくれそうだ。(石井達也)

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