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広瀬香美、カバー・コラボ・新曲で彩る『歌ってみた 歌われてみた』 ベテランらしい技量から遊び心まで満載な1枚に

リアルサウンド

21/1/27(水) 12:00

 まさかの「YouTubeデビュー」と、J-POPカバー曲を披露する「歌ってみた」シリーズの大ヒットに沸いた2020年の広瀬香美。当初はスタッフの提案で“試しにやってみようかな”というくらいのノリだったらしいが、あれよあれよという間に人気爆発。3月にアップしたシリーズ第一弾「Lemon」(米津玄師)は2021年1月現在400万回再生を超え、その後もKing Gnu、Official髭男dism、あいみょん、LiSAなどの独自解釈カバーが人気を呼び、CMソングで多くのヒットを持つ「冬の女王」の健在を示すとともに、新たなリスナー層の開拓にも成功した。コロナ禍に沈むエンタメ業界を明るく盛り上げる意味でも、それはとても価値のある挑戦だった。

【広瀬香美】米津玄師さんのLemonを歌ってみた①【※スタッフのご機嫌とり】

 1月27日にリリースされた広瀬香美のニューアルバム『歌ってみた 歌われてみた』は、その「歌ってみた」シリーズの再録に、「ロマンスの神様」などオリジナル曲に多彩なボーカルゲストを迎えた「歌われてみた」シリーズを新たに追加。さらに書き下ろし新曲もたっぷりと盛り込んだ、三段重ねのおせち料理のような豪華パッケージだ。長年のファンはもちろん新規リスナーにも入りやすい入門編として、最適な作品に仕上がっている。

 三部構成の第一部「歌ってみた」に収録されたのは、「WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント~」(H Jungle with t)、「白日」(King Gnu)、「もしかしてだけど」(どぶろっく)、「奏(かなで)」(スキマスイッチ)、「Pretender」(Official髭男dism)の5曲で、誰もが知るヒットチューンがずらりと並ぶ。アレンジはすべてピアノと歌だけのシンプルなものだが、「WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント~」では原曲のドラムンベースのビートをリズミックに再構築したり、「白日」はテンポにとわられず緩急自在に演奏したりするなど、音楽家・広瀬香美にとって他者の楽曲を歌うことは、おそらく分析と研究の一環でもあるのだろう。プロフェッショナルなアレンジの妙技と、パフォーマーとしての遊び心をバランスよく散りばめているのが「歌ってみた」シリーズの醍醐味だ。特に「もしかしてだけど」は、ブギウギ風のかっこいいアレンジで下ネタぎりぎりの歌詞を嬉々として歌う、異色だが見事な出来栄えだ。

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 6曲目から始まる第二部「歌われてみた」シリーズでは、「愛があれば大丈夫」(with 眉村ちあき)、「ゲレンデがとけるほど恋したい」(with 鬼龍院翔<ゴールデンボンバー>)、「ロマンスの神様」(with 百田夏菜子)、「DEAR…again」(with chay)、「promise」(with HAN-KUN)と、名曲×豪華コラボが次々と登場。ゴールデンボンバー「女々しくて」のフレーズを織り込んで笑いを取りつつも、歌には真剣に挑む鬼龍院翔。メロディとまっすぐに向き合い、ソロボーカリストとしての確かな実力を発揮する百田夏菜子。新たなラップパートを盛り込んで楽曲を生まれ変わらせたHAN-KUNなど、いずれも楽曲へのリスペクトと新解釈が合体した出色のパフォーマンスだ。ピアノとコーラスに徹する広瀬香美のパフォーマンスからも、コラボが嬉しくて仕方ないという空気が伝わってくる。

【広瀬香美×HAN-KUN】ついに完成‼《歌ってみた 歌われてみた》レコーディング現場に潜入してみた #6

 11曲目からの第三部では、7曲の新曲をたっぷりと聴くことができる。これが実にパーソナルな親近感溢れる曲ばかりで、〈歌い続けて30年〉〈老舗の味どすえ〉と明るく朗らかに歌う「30年」や、新しいピアノを手に入れた喜びをそのまま綴った「新しいピアノきた」など、子供のように「目の前にあるもの何でも歌にしちゃいました」的な素直さが光るもの。さらに〈過去何度も 一般的を 目指した/結局は 一般的から 弾き飛ばされた〉と歌う「HENTAI」や、「歌ってみた」シリーズをやることで自分の中のパフォーマー性に目覚め、〈エンターテナーを/目指して 目指してみようかな〉〈応援してくれるかな?〉とファンに語り掛ける「エンターテナーになりたい」など、心の奥にしまった本音をピアノに乗せてこっそり聴かせてくれるのも、ファンにとってはとても嬉しい。

 アルバムのラストを締めくくるのは、お笑いコンビ・EXITの兼近大樹がタイトル案を出した「キススイカカレ」と、かまいたちの山内健司が学生時代に書いた歌詞に広瀬香美がメロディを付け、テレビ番組の企画から生まれた楽曲「Lonely Boy ~遠い記憶の中で~(スーパースタッカートVer.)」の2曲だ。まるで「みんなのうた」で流れそうな、愛らしいメロディと語呂遊びが楽しい前者も、壮大でドラマチックなラブソングの後者も、どちらも作曲家としての広瀬香美の尽きない才能を示すもので、女王健在を強くアピールする。全17曲というボリューミーなアルバムだが、確かな満腹感とは裏腹に聴き終えた後味はすっきりと爽やかだ。

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 「歌ってみた」「歌われてみた」「新曲」の三部構成で、音楽家・広瀬香美が聴かせたかったもの。それは言葉を綴ってメロディを紡ぐこと、歌って演奏すること、それを気の合う仲間と分かち合うこと、というとてもシンプルで最高な幸せの表現だ。デビュー30年目にして驚くべき瑞々しさを保ちながら、広瀬香美はこれからも音楽の喜びを伝え続ける伝道師でいてくれるだろう。『歌ってみた 歌われてみた』は、その新たな福音書となる1枚だ。

■作品概要
広瀬香美『歌ってみた 歌われてみた』
2021年1月27日(水)リリース
通常盤(CD)¥3,500(税抜)

<収録曲>
01.WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント~
02.白日
03.もしかしてだけど
04.奏 (かなで)
05.Pretender
06.愛があれば大丈夫 (with 眉村ちあき)
07.ゲレンデがとけるほど恋したい (with 鬼龍院翔<ゴールデンボンバー>)
08.ロマンスの神様 (with 百田夏菜子)
09.DEAR… again(with chay)
10.promise(with HAN- KUN)
11.30年
12.HENTAI
13.新しいピアノきた
14.エンターテナーになりたい
15.心の音
16.Lonely Boy ~遠い記憶の中で~(スーパースタッカート Ver.)

<アルバム先着予約・購入特典>
下記対象店にてアルバム『歌ってみた 歌われてみた』を予約・購入すると、先着で特典をプレゼント。
・Amazon.co.jp:メガジャケ
・ビクターオンラインストア:オリジナルポストカード

■関連リンク
広瀬香美オフィシャルサイト
広瀬香美レーベルサイト

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