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東京フィルメックス開幕、ロウ・イエが新作の舞台となった中国の“特別な地区”語る

ナタリー

19/11/23(土) 22:01

第20回東京フィルメックス開会式の様子。左から市山尚三、トニー・レインズ、深田晃司、操上和美、サマル・イェスリャーモワ、ベーナズ・ジャファリ。

第20回東京フィルメックスが本日11月23日に開幕。オープニング作品として「シャドウプレイ」が東京・有楽町朝日ホールで上映され、監督のロウ・イエが上映後のQ&Aに登壇した。

先立って行われた開会式では、まず映画祭ディレクター・市山尚三が、審査委員長を務めるはずだった香港の監督シュウ・ケイがデモの影響により来日が叶わなくなったことをアナウンス。そのため急遽、第17回東京フィルメックスでも審査委員長を担当したイギリスの映画評論家トニー・レインズが、代打を務めることが発表された。そして審査員として、イランの女優ベーナズ・ジャファリ、カザフスタンの女優サマル・イェスリャーモワ、写真家の操上和美、映画監督の深田晃司が呼び込まれた。

審査員を代表してレインズは「今年のコンペ作品にはとても力強いものがそろっているので、私たちにとっても非常に難しい審査となるかと思います」とコメント。また「前回は安倍晋三首相に関連したジョークを言いましたが、まだ日本に到着したばかりなので時差ボケから頭が回らないんです。ぜひクロージングにはいいジョークを飛ばしたいと思います」とユーモアを交えた挨拶でオープニングを宣言した。

「シャドウプレイ」の上映後に登場したロウ・イエ。本作では、再開発事業の責任者の死を捜査する刑事ヤンが、陰謀から逃れた先の香港で事件の鍵を握る女性と恋に落ちるさまを描く。最初にロウ・イエは、広州市の都市再開発で取り残されたシエン村が本作の着想のきっかけだったと説明。「ビジネス街に囲まれながら、昔ながらの村が残っているという対比から発想を得たんです。この特別なロケーションに出会わなかったら本作を撮っていなかったでしょう」と明かす。

観客から、実際に広州で起きた汚職事件をベースにしながらも、娯楽的な要素が取り入れられていることを聞かれたロウ・イエは、「人間関係の描き方はオリジナルです。シエン村は周辺との関係や政府、実業家、官僚との関係などが入り乱れていて、中国の生きた標本と言うような地区なのです。その中にジャンル映画の要素を持ち込んで、人と人との関係をしっかり描くことが僕の目標でした」と回答。カットの組み立て方など編集技法について尋ねられると、「脚本段階では過去と未来を交互に語っていく案でしたが、やはり編集作業のときに時空間の処理の変更がありました。またドキュメンタリー的な撮り方をしたかったので、手持ちカメラや監視カメラを用いています。今や1人1台カメラを持っている時代なので、今日らしい撮り方だと思ったからです」と丁寧に答えた。

第20回東京フィルメックスは12月1日まで有楽町朝日ホールほかで開催。なお「シャドウプレイ」は2020年2月下旬より東京・UPLINK渋谷、UPLINK吉祥寺ほか全国で順次公開される。

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