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大島優子×石井裕也が語る、“愛”を描く理由 『生きちゃった』で向き合ったヒロインの気持ちとは?

リアルサウンド

20/11/30(月) 8:00

 『舟を編む』『バンクーバーの朝日』『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』『町田くんの世界』を手がけてきた、石井裕也監督オリジナル脚本による最新作『生きちゃった』が現在公開中だ。

 幼なじみの厚久(仲野太賀)と武田(若葉竜也)、そして奈津美(大島優子)は、学生時代からいつも一緒に過ごし、ふたりの男はひとりの女性を愛した。30歳になった今、厚久と奈津美は結婚し、5歳の娘がいる。ささやかな暮らし、それなりの生活を送っていたがある日、厚久が会社を早退して家に帰ると、奈津美が見知らぬ男と肌を重ねていた。その日を境に、厚久と奈津美、武田の歪んでいた関係が動き出す。

 「B2B(Back to Basics)A Love Supreme」=「原点回帰。至上の愛」というプロジェクトのもと、台湾、韓国、中国、マレーシア、香港、そして日本の石井監督、計6名の監督たちが独自の“愛”についての映画を製作した。今回、石井監督と、主人公・厚久の妻である奈津美役を演じた大島優子にインタビューを行い、「役に“裸”で向き合うことの大切さを学んだ」という石井組の現場で挑戦した芝居について語ってもらった。

「大島優子=強烈な生命力を秘めている人」

ーー今回、大島優子さんをキャスティングした経緯は?

石井裕也(以下、石井):もともと、大島さんを知らない人ってこの日本には当然いないわけで、僕の個人的な認識として、強烈な生命力を秘めている人というイメージがありました。今回はそういう要素がこの映画にとって重要なものだったので、大島さんだったらそれをやってくれるんじゃないかという期待がありました。でも、こういう毛色の作品ですし、大島さんはたぶん受けてくれないだろうなと思いながらも、オファーした次第ですね。

ーーきっかけとなった作品があったのでしょうか?

石井:普段から大島さんに限らず、人が芝居をしているところはあまり見ません。インタビューを受けている映像や、テレビに出ていて何か喋っている様子を見る方がキャスティングの参考にはなりますね。

ーー大島さんは奈津美役に選ばれたとき、どう感じましたか?

大島優子(以下、大島):なかなか重たい役割だなと思いましたが、台本を読んでみて、この作品を作る意思というか、青い炎のような、石井裕也監督の燃えるような想いを感じ取ったので、受けるほかないなと思いました。

ーー初の石井組への参加でしたが、最初はどんなイメージを抱いていたのでしょう?

大島:最初は石井監督のことをちょっと偏ってる人なのかな、ちょっと屁理屈っぽいのかなと思っていたんです(笑)。でも、作品を作る上ではそうであった方がいいですし、映画ってテーマをどんどん探求して広げて作っていくと思うので、固執していなきゃいけないと思うんです。そういうしつこさがあった方が追求できて描けるというか。でも撮影に入ってからは、どこか監督と通じてしまうものがあって、多くを語らなくても認識的に共通して理解し合えるのを私はすごく感じましたし、屁理屈な方ではなかったです(笑)。

ーー奈津美というキャラクターはどのように出来上がっていったのでしょうか?

石井:奈津美という役は、ずっと心がせわしなく動いていたと思うんです。感情が一つのところにとどまっていない、常にあらゆる心の要素が絶えず見え隠れしていて。そういう奈津美の中の波みたいなものは、僕が想像してた以上のものになった気がします。

大島:奈津美を演じているときは、“生きるのってだるいんだけど、生きたい”っていう気持ちでいました。すごいだるいんです。でも生きたい、生きよう。どうやって生きたらいいんだろうというのが、ずっと心の芯の中にありました。

ーー心の波を表現していく上で、メンタル的にも大変だったんじゃないでしょうか?

大島:メンタルの面で作っていった意識はあまりなくて、毎日撮る1シーン1シーンのことしか考えていませんでした。この映画は、どういう感情になるか、どう心が動いていくかを事前に用意していくのは違うなと思いましたし、実際に気持ちを準備して臨むとバレちゃうんです。石井監督から「先に入っちゃたよね」と。なので、リセットして、自分でその瞬間に心の動きを読み取って動くようにしました。

ーー監督はそういう“役作り”を現場で見ていてわかるんですか?

石井:現場のときしかわからないですけどね。そのときは意識的に見てますから。

大島:怖いんですよ、わかるから(笑)。

石井:俳優のタイプにもよるんですけど、大島さんはたぶんいろんなことを考えてくるとは思っていたんですが、最終的にはその場の反射とか反応で動いた方が面白くなる人だと思っていて。特に今回の映画は役的にもそういうものが必要でした。

大島:心の中で湧き上がる感情を1ミリ単位でどうやって読み取っていくかという作業は初めてでした。嘘発見器みたいなもので、微動で動き続けている心情を自分で読み取っていくみたいな。大変だけど楽しかったですし、本来は芝居をするというのはそうあるべきなのかもしれないなと考えさせられました。

「『愛』と親和性のあるものが『死』」

ーー奈津美という役を演じて、気づいたことはありますか?

大島:やっぱり女性って、相手が変わると持つ顔が変わるんだと思いました。その相手に対しての心情も全く変わるんです。だから、女って女優だなって。

石井:今回いろんなシーンで相手役の人がいたと思うんですけど、大島さんは全く違う表情をしていて。そしてその人に向けて同じ感情、表情でいたというわけでもなく、その中でもグルグル変わっていたから。そういう意味では大変だったと思います。

ーーアジアの監督たちが独自の愛について映画を製作するというプロジェクトの一環で制作された本作ですが、監督がこの『生きちゃった』でテーマにした愛にはどんな意図があるのでしょう?

石井:「愛」というものに対しては、人それぞれの感覚があると思います。たまたま僕の個人的な感覚として、「愛」と親和性のあるものが「死」ということかなと思いました。愛と死の相性ってすごくいいというか、ものすごく近いものだなと。そういう感覚を切り口にして、世界観を作っていきました。

ーー大島さんは本作を通してテーマである「愛」についてどう考えましたか?

大島:愛って本当にいろんな形があって、温度が人それぞれ違うと思っていて。その温度感が違うからこそ、愛されたいとか愛したいと思ってしまう。奈津美は愛されたいという感情が強く、しかも夫である厚久との愛の温度が違ったから、ギャップを感じたし、同じ温度の愛を求めていた。でも、娘に対しても厚久とは別の愛情の温度があったと思うから、そういう温度というのはやはり人によって違うなと感じました。愛って難しいものだと思います。たぶん、生きていく上で一生探し続ける、ゴールのない無限のテーマなんだろうなと思うから、みんな描きたがるし、ロマンがあるんだろうなと思います。

石井裕也監督が明かす、原点回帰して見えたもの 『生きちゃった』インタビュー【リアルサウンド】

■公開情報
『生きちゃった』
公開中
脚本・監督・プロデューサー:石井裕也
出演:仲野太賀、大島優子、パク・ジョンボム、毎熊克哉、太田結乃、柳生みゆ、レ・ロマネスク、芹澤興人、北村有起哉、原日出子、鶴見辰吾、伊佐山ひろ子、嶋田久作、若葉竜也
Presented by Heaven Pictures Hong Kong
Co-produced by The Hong Kong International Film Festival Society
Presented by LUO FANG Producer YANG JIN Project Director JACOB WONG Executive Producer JING LEE
共同プロデューサー:永井拓郎、北島直明(日本テレビ)
ラインプロデューサー:榊田茂樹
制作:RIKIプロジェクト、ビッグアーチ
配給:フィルムランド
R-15
(c)B2B, A LOVE SUPREME & COPYRIGHT @HEAVEN PICTURES All Rights Reserved
公式サイト:http://ikichatta.com/

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