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黒沢清、諏訪敦彦に師事した渡邉安悟の長編デビュー作「ドブ川番外地」池袋で上映

ナタリー

21/5/12(水) 17:00

「ドブ川番外地」ポスタービジュアル

渡邉安悟の長編監督デビュー作「ドブ川番外地」が、7月10日から東京の池袋シネマ・ロサで2週間限定レイトショー上映される。

渡邉が大阪芸術大学の卒業制作として監督した「ドブ川番外地」は、親友の自殺を機に引きこもりとなってしまった青年・増村辰巳と、かつては将棋棋士だった浮浪者・土川士郎の奇妙な交流を描く物語。辰巳を北垣優和、土川を藤田尚弘が演じた。予告編がYouTubeで公開中だ。

「ドブ川番外地」は池袋シネマ・ロサの「新人監督特集 Vol. 7」の1本として上映される。なお渡邉は大阪芸大卒業後、東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻に進学し、黒沢清や諏訪敦彦に師事。現在は東京を拠点に、フリーランスとして活動中だ。下記に黒沢、諏訪、大森一樹、映画プロデューサーのアダム・トレルの抜粋コメントを掲載した。

黒沢清 コメント

アチャラカなようで、ふと哀愁が漂い、コテコテのようで、妙にニヒリステックな、まことに複雑で油断のならない映画だ。渡邉監督がいたって静かで誠実な人物であるだけに、これは何かのワナなのかもしれない。

大森一樹 コメント

「ドブ川番外地」は、ダンテの「神曲」になぞらえるなら、引きこもりの若者が地獄に落ち、煉獄を経て天国に至る物語だと思った。膨大な数の登場人物が異境のロケーションで繰り広げる摩訶不思議な世界は、映像戯曲といってもいい渡邉安悟ワールドの全開だ。

諏訪敦彦 コメント

映画とはカーニバルだ。そこではあらゆるヒエラルキーは取り払われ、無礼で自由な人間が力を持つ。世界から追いやられていたものたちが蘇生し、血を吐き、火を放ち、ズブ濡れになって叫び、殴りながら手を繋ぎ、笑いながら泣く。死者さえも蘇るそのあべこべの世界(=映画)。そこでなら私も生きてゆけるかもしれない、と映画館の暗闇の中で救われた孤独な魂が、また新たなカーニバルを始めるだろう。

アダム・トレル(映画プロデューサー)コメント

公開できるまでに時間がかかったけど2018年に初めて観た時に自分の年間の日本映画ベスト10に選んだ。そこから何年も経ってるけど未だにインパクトが残ってる。あんなに若い監督のデビュー作品で信じられない。かなりユニークな映画でめっちゃ面白い。

(c)ASATO WATANABE

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