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A.B.C-Z、「Crush On You」は“大人の余裕”がポイントに? 『Mステ』出演を機に考察

リアルサウンド

19/8/9(金) 19:30

 8月7日、A.B.C-Zの通算6枚目のアルバム『Going with Zephyr』が発売された。これは、2018年8月より始まった結成10周年イヤー最後の作品。「新しい未来へ進んでいく」がテーマとなっており、10年の間に経験してきた様々なことを振り返り、受け入れ、“新しい風に乗って行こう”、“新しい風を吹かせていこう”という意志と挑戦の気持ちが込められているアルバムだ。収録されているのは、5thシングル曲「JOYしたいキモチ」、6thシングル曲「Black Sugar」を含む13曲(初回限定盤Bは14曲、通常盤は15曲)。これまでにない、大人っぽい印象の楽曲が多いのが特徴なのではないだろうか。名曲揃いの同アルバムだが、本稿では8月9日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)で披露される、アルバムのリード曲「Crush On You」に注目してみたい。

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 「Crush On You」の特徴を一言で表すとすれば、「余裕」だろう。「Black Sugar」も、大人っぽさが際立っていたが、「Crush On You」はそれとも一味違う仕上がりの楽曲だ。肩の力が抜けている、とでも言おうか。実際、メイキングの中でメンバーの橋本良亮が「『Black Sugar』もかっこよかったですけど、あれはハードかっこいい。今回は余裕のかっこよさがある曲」と語っている。

 曲自体はアップテンポのダンスミュージックで、かなりノリが良い。前奏部分からパーカッションとブラスが入っており、曲全体を通して勢いを付ける役割も果たしている。歌割りもこれまでの楽曲とほぼ同じく、Aメロ~Bメロは各メンバーがソロで歌っていき、サビでユニゾンで歌うというスタイル。なのに、明らかにこれまでの曲とは違うのが面白い。コード進行などの曲の印象はもちろんだが、メンバーの歌い方にポイントがあるのではないだろうか。少しトーンを落ち着かせて、テンションを上げすぎていないのである。高音部分でも一生懸命がむしゃらに歌うのではなく、力が抜けているがゆえアップテンポの曲でも隙が見えるのだ。ちなみに、作詞は嵐や安室奈美恵、EXILE、三浦大知など数多くの作品に携わっている岡嶋かな多。彼女が紡いだ言葉も、数が多くないため余白を生み出すのに一役買っていると考えられる。

 さらに、パフォーマンスも然り。同曲のMVで見られる20万枚の花びらの上で踊る5人を見ると、ポケットに手を入れてリズムを取ったり、シンプルな振りだったり、「余裕」を表現するようなダンスが目立つ。メンバーもかなり意識をしているようで、『Going with Zephyr』初回限定盤A付属DVDに収められたメイキングでは、メンバーの塚田僚一が「曲がノリノリだから、それに身を委ねちゃうとクールな感じがなくなっちゃうから、そこを抑えて冷静に」と語っていた。

 この「余裕」はデビュー直後の「Za ABC~5stars~」、「ずっとLOVE」、「Twinkle Twinkle A.B.C-Z」あたりの楽曲と聴き比べてみるとよくわかるはずだ。デビューから約7年。「Crush On You」はスキルの面だけでなく、内面的にもA.B.C-Zが大人になったことが伝わる曲になっている。橋本以外のメンバーが全員30代になり、徐々にこれまで見えなかった顔が見えてきた。アクロバットスキルの高さやコンサートの完成度、舞台での立ち振る舞いなど、完成されきっていたように見えていたA.B.C-Zだが、まだまだ隠し持っているものがありそうだ。年齢と経験を重ねていく彼らは、我々ファンの気持ちを良い意味で裏切り続けていくのだろう。(高橋梓)

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