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東方神起は“まなざし”に支えられ強くなる 15年を経てなお更新され続ける2人の実力

リアルサウンド

20/1/25(土) 8:00

「15年間、一緒に東方神起を守ってくれて、ありがとうございます」(チャンミン)

「15年、支え続けてくれてありがとうございます」(ユンホ)

 先日、東方神起のライブに行ってきた。レポート取材ではなく完全なプライベートで。その理由は大きく2つあった。年末の特番で彼らの姿を見て、どうしてもあの迫力あるパフォーマンスを生で見たくなったから。そして、彼らの品行方正であろうとする姿勢が作り出す、あの善良な空間を味わいたくなったから。

 ユンホとチャンミン。2人の言動を見ていると、いつも人として正しくあろうという気持ちが伝わってくる。お世話になった人には、きちんと感謝をすること。ステージの上に立っているのは、自分たちだけの力ではないと心に留めること。そして、これまで多くの人によって支えられていることを忘れず、受けた恩をできることで返していくということ。

 そんな彼らのもとに集うファンもまた、2人を見習ってまっすぐに生きようと心がけていく。もちろん、多くの人が集まれば様々な思いがあって当然で、みんなが同じ思いとは言えない。それでも、ユンホとチャンミン、バンドメンバーやダンサー、制作スタッフ、そしてファンを含めた“東方神起チーム”というチーム人格は、いつも愛情深くて善良だ。

 そんな善良な空間に、新年を迎えたタイミングに触れたい。どこか初詣的な感覚で『TOHOSHINKI LIVE TOUR 2019~XV~』2020年1発目のナゴヤドーム公演初日に行くことにしたのだ。

(関連:東方神起のパフォーマンスは“鍛錬”と“進化”で磨き上げられてきた ライブに滲み出る2人のバランスの良さ

 東方神起にとって4度目となる5大ドームツアー。これは海外アーティストとしては史上初の快挙だ。日本デビュー15周年という大きな節目に見せてくれたのは、相変わらずストイックなダンスナンバーに、ストリングスチームを迎え入れて深みが増した珠玉のバラード。最新アルバム『XV』の楽曲で新たな可能性を、王道のヒットソングでさらなる進化を、懐かしい日本デビュー曲で初心を……1曲1曲じっくりと語りかけるようなステージだった。

 会場に漂うのは、15年という節目を迎えられたことへの「感謝」の思い。冒頭にあるのは、MC中にユンホとチャンミンがお互いにお辞儀をしながら、伝えあった言葉だ。ファンもまた2人に「東方神起を守ってくれてありがとう」という気持ちを抱き、そして2人からファンへは「支え続けてくれてありがとう」という思いが通い合った。

 そんな彼らに、また人としての生き様を教わったような気がする。自分自身を高める努力に加えて、それを支えてくれる人のことを大切にするのも忘れないということ。そして、ときには言葉にして、ちゃんと感謝の思いを伝えるということ。その連続こそが、きっと東方神起の15年を築き上げたのだろう。

 初々しく必死に走り抜けた10代、大人の男としての魅力が開花した20代、そして人としての器が見えてくる30代へ。彼らは常に自己最高を更新するべく、努力を続けてきた。今回のライブではチャンミンがダンスで多彩な表現力を、ユンホが声楽のような伸びやかな歌声を披露する場面が印象的だった。ユンホの情熱ダンス、チャンミンの高音ボイスという“東方神起ならでは”の武器はそのままに、お互いが鏡となって、正反対な才能にリスペクトしながら進化を続けていく。得意なことに満足せず、新たなチャレンジを続ける気概にも頭が下がる。彼らのステージを見ていると、ファンに会えなかった間に身につけた実力を披露する発表会のようだ。

 1月22日には、最新シングル『まなざし』をリリースした東方神起。「まなざし」の作詞作曲は、「Make A Change」の作詞、「ミラーズ」「目隠し」の作曲を手がけてきた中村月子だ。楽曲提供に際して「シンガーやミュージシャンの方は、誰よりも特別でありたい、愛されたいと常に願いステージに立っていると思います。そんなステージで、スポットライトの先にある“まなざし”を感じたときに、特別じゃなくていいんだよって教えられるんです。(中略)その感謝、そしてこれからも怖がらずに“想いを渡すこと”を続けていきたいと強く思えるんです。それはお二人のライブを観させていただいて、お会いしてすごく感じたことでもあるんです」との思いを語っている。

 〈気づいてくれているよね〉で始まる歌詞は、まるで15年を共に歩んできたファンへのラブレターを読み上げられている感覚になる。K-POPアイドルの教科書のような活躍を続けてきたスーパースターである彼らも、私たちと変わらない人間であり、大きな声で言うようなことでもないけれど、そこには確かに心があること。そして、ひっそりと傷ついていることを、ファンの人が知ってくれているだけで、嬉しくて、温かくて、また頑張れるのだ、と。そして〈満たす想いを今 伝えること少し怖くても 決して目をそむけないよ〉と、また新たに歩み進める覚悟を表す。その方位磁石はいつだってステージから見える、ファンのまなざしである、と。

「ステージのことをライブと言うけど、ライブにはありのままという意味があるじゃないですか。僕はそうありたいです。ありのままの自分を生で伝えて、気持ち的にはもうライブの一部分として生きているくらいの自分を見せたい」(チャンミン)

「“今後の東方神起がどうなるんだろう?”っていうクエスチョンマークがみなさんに浮かぶように頑張りたいです。いい意味で予想できない東方神起になりたいんですよね」(ユンホ)

 とは、アルバム発売時に受けたインタビューでの発言だ。予想通りの進化では、満足しない。いつだって期待を超える自分たちであるために。次に何ができるのかを、ずっと模索し続ける。だからこそ、常に東方神起の“今”は“最旬”なのだ。(佐藤結衣)

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