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白井晃演出「ボーイズ・イン・ザ・バンド」に安田顕「禁酒にしましょう!」

ナタリー

20/2/22(土) 16:58

「ボーイズ・イン・ザ・バンド~真夜中のパーティー~」製作発表会より。

安田顕が主演する「ボーイズ・イン・ザ・バンド~真夜中のパーティー~」の製作発表会が、本日2月22日に東京都内で行われた。

「真夜中のパーティー」のタイトルで知られる本作は、1968年にオフブロードウェイで初めて披露された作品。初演50年を迎えた2018年にはブロードウェイでリバイバル上演が行われ、第73回トニー賞の演劇リバイバル作品賞に輝いた。日本では故・青井陽治の翻訳・演出で1983年に初演されて以来、たびたび上演が重ねられている。舞台は真夏のニューヨーク。マイケルのアパートでは、ゲイ仲間のハロルドの誕生日を祝う準備が進められていて……。

製作発表会には安田をはじめとしたキャスト陣と演出・上演台本を手がける白井晃が登壇した。まず白井は「50年以上前に書かれた本ですが、今やる意味が問われる作品になるかと思います。50年前と今で変わったもの、変わらないものを浮き彫りにしたい」と目標を掲げる。また白井は上演台本について「原作から大きく変えるつもりはありませんが、1968年版の再現ではなく、今ならではの空間にしたい。小道具、しゃべり言葉、固有名詞などは許される範囲で変えられたら」と構想を語った。

マイケル役の安田は、今作で初めて白井の演出を受けることに触れ、「白井さんはお稽古が大好きな先輩だと伺っておりますので、ビシビシとご指導いただければと思います」と白井に視線を向けつつ、「我々が生きている社会に対し、人間の心の奥底に流れているものがなんなのか?ということをお客様と一緒に考えていけたら」と宣言した。

マイケルの恋人ドナルド役の馬場徹は「初演から50年が経った今、この題材を上演する意味はなんなのか? 模索していきたいです」と真摯に述べ、数学教師ハンク役の川久保拓司は「豪華なメンバーで上演させていただけることにワクワクしております。オリンピックよりも熱い空間にしたいです」と熱くコメント。

男娼のカウボーイ役を演じる富田健太郎は「個人的に夢だったシアターコクーンに立てるというのも感慨深い。素敵な大人の皆さんと、この夏を駆け抜けたいです」と笑顔を見せ、インテリアデザイナーのエモリー役を務める浅利陽介は「LGBTに限らず、生きづらさを感じている人は多いと思います。お客様の明日の糧になるような作品にしたいです」と意気込む。ファッションカメラマンのラリー役を演じる太田基裕は「初めましてのキャスト・スタッフの方々ばかりですが、この出会いに感謝しながら、素晴らしい作品の一部になれるように努めて参りたいと思います」と話した。

アフリカ系米国人のバーナード役を演じる渡部豪太が「小さい頃から『アメリカ人になりたいな』と思っていたので、今回アメリカ人の役が来てとてもうれしく思っております。今も『アメリカ人になりたいな』と思っております!」と、隣に座る鈴木浩介に目をやると、鈴木は「それは無理だよ……」と冷静にツッコミを入れ、報道陣の笑いを誘う。渡部は気を取り直して、「多様性が叫ばれるこの時代の鏡となるような舞台を作り上げたいです」と言葉に力を込めた。

パーティー参加者の中で唯一のストレートであるアラン役を演じる大谷亮平は「台本の初稿を読ませていただきましたが、会話の内容がすごく衝撃的で、面白かった。自分にとっても大きなチャレンジになりそうです」と心境を吐露。そしてパーティーの主役・ハロルドを演じる鈴木は「白井さんの演出のもと、安田さんを中心に良い舞台にできればと思います!」と決意を口にした。

記者から、“男性に惚れた”エピソードについて問われると、川久保は「以前、舞台でご一緒した安田顕さんに惚れたことがあります。芝居に対してストイックで、準備やトレーニング、セリフの入れ方、すべてズバ抜けていました。でも、ちょっとお酒が入るとだらしなくて(笑)、『どうしようもないなあ』と思える隙を作ってくれる先輩。こんな男になりたいです!」とエピソードを明かす。すると鈴木も同調し「一緒にお酒を飲んでるときに『もう1杯いいですか?』って聞くと、絶対『ノー』と言わない安田さんは器が大きい。来世では結婚しようかなと思います」と真顔でジョークを飛ばすと、対する安田は「同じ墓に入ってください……」と、ぼそりとつぶやいた。

さらに大谷が「鈴木浩介さんとドラマでご一緒したとき、次の日が撮影という日に深酒をしてしまって。浩介さんは直前まで休まれていたのに、本番はバシッと決めるんです。そのオン・オフの切り替えに惚れましたね」と回想すると、安田はすかさず「白井さん、(この現場では)禁酒にしましょう!」と提案し、会場を大きな笑いで包んだ。

白井は「稽古中は禁酒にしようと思いますが、劇中ではパーティーでお酒を飲んでいるので、その辺の調整をうまくできれば(笑)」と微笑み、「今回は稽古でやってみないとわからないことがいっぱいある。台本にそれぞれの人物像は書かれていますが、今回のキャストたちは個性が溢れているので、この9人ならではの役柄を掘り出してもらって、1度文脈とは別の形で演じてもらったら面白くなるかもと思いました」とアイデアを口にした。

最後に白井は作品について「50年前はゲイ社会のことが表に出されたことで反響を呼んだ作品だと思います。時代が移り変わる中で、エイズやLGBTのことも世間に知られるようになり、『共生していこう』という社会に変わりつつある。ですが、人間の心の中には、自分を守りたいという本能があって、根本はあまり変わっていないんじゃないかと思っています」と分析し、「パーティー会場で9人の人間関係がうねっていくお芝居ですが、見せたいのはその外の社会。登場人物の多くはゲイであることに悩みを持っていますが、視点を変えれば、同様の苦悩が僕たちの中にもあるんじゃないかと思います」と語り、製作発表会を締めくくった。

本作は7月18日から28日までの東京・Bunkamura シアターコクーン公演を皮切りに、宮城、北海道、大阪で上演され、8月27日から30日まで東京・なかのZERO 大ホールにて東京凱旋公演が実施される。チケットの公式サイト先行販売は2月29日から3月8日まで受け付けられ、一般販売は4月4日にスタート。

「ボーイズ・イン・ザ・バンド~真夜中のパーティー~」

2020年7月18日(土)~28日(火)
東京都 Bunkamura シアターコクーン

2020年8月8日(土)・9日(日)
宮城県 東京エレクトロンホール宮城

2020年8月15日(土)・16日(日)
北海道 カナモトホール(札幌市民ホール)

2020年8月21日(金)~23日(日)
大阪府 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

2020年8月27日(木)~30日(日)
東京都 なかのZERO 大ホール

原作:マート・クローリー
翻訳:北丸雄二
演出・上演台本:白井晃
出演:安田顕 / 馬場徹、川久保拓司、富田健太郎 / 浅利陽介、太田基裕、渡部豪太 / 大谷亮平、鈴木浩介

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