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『ウチカレ』イケメン整体師役で話題沸騰! 演劇界で培われた東啓介の繊細な表現力

リアルサウンド

21/1/20(水) 6:00

 新ドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(日本テレビ系、以下『ウチカレ』)に出演しているイケメン整体師・渉周一役の東啓介が話題を呼んでいる。

 『ウチカレ』は、小説家・水無瀬碧(菅野美穂)とその娘・水無瀬空(浜辺美波)によるエキサイティング・ラブストーリー。転んでしまった空を助け、彼女がときめいたシーンでは素性は明かされなかったが、四十肩に悩まされた碧が駆け込んだ整体院にて再度登場した際に整体師であることが判明したのが、東啓介演じる渉周一だ。

 第1話は、空の運命の相手・周一に碧も別の場面で惹かれ、ふたりの“恋の闘い”が始まりそうな伏線を張った状態で幕を閉じた。親子が同じ人を好きになり、三角関係に……という波乱の幕開けに、SNSでは「親子揃ってイケメン整体師にときめいている!」「どうなるの?」という声が集まっており、視聴者の今後のストーリーへの期待が高まっていることを感じさせられた。

 東啓介は、187cmの高身長とその存在感はもちろん、圧倒的な歌唱力と演技力でも安定感のある、今注目すべき役者だ。“とんちゃん”の愛称で親しまれている東は、2013年にミュージカル『テニスの王子様』(以下、テニミュ)2ndシーズンにて千歳千里役としてデビューを果たした。

 テニミュは、許斐剛による同名コミックが原作で、ビジュアルの完成度やテニスボールの動きをライトで使って表現しているところなど、舞台ならではのこだわりがファンを惹きつけて離さない。アニメや漫画を原作とした「2.5次元舞台」の先駆けであり、若手俳優の登竜門とも呼ばれているテニミュは、城田優や志尊淳なども輩出している。テニミュを経て舞台やドラマと活動の幅を広げる役者は多い。

 東は、テニミュ出演後にはミュージカル『薄桜鬼』シリーズ、舞台『刀剣乱舞』シリーズなど数々の2.5次元舞台に出演しながら「帝国劇場に立つ」という目標のもと努力を重ね、24歳にしてミュージカル『ダンス・オブ・ヴァンパイア』へ出演し、その夢を叶えた。

 主演作『Color of Life』(2019年)の役作りのためにニューヨークへ渡り、本場のミュージカルを観劇したり、ボイストレーニングに通ったりと、さまざまな作品に“触れる”ことだけではなく、“実践”という形でトレーニングをする努力を怠らないストイックさが魅力だ。演劇への愛を胸に、着実にキャリアを積み重ねている。

 現在「2.5次元」という言葉は劇場を飛び出し、地上波でも目にすることが増えた。『ネプリーグ』(フジテレビ系)では2.5次元俳優チームが注目を浴びたり、2.5次元俳優が集結したテレビ演劇『サクセス荘』(テレビ東京系)が放送されたりと、少しずつお茶の間に浸透しつつある。テニミュに城田優や志尊淳が出演していたときよりも2.5次元舞台が多く上演されている現在、「2.5次元俳優」という肩書きで呼ばれる役者も増えた。

 ここ数年では、そんな2.5次元俳優が「2.5次元」という看板を一度置き、テレビや映画に出演する流れも起きている。最近では、東と同時期にテニミュで活躍した味方良介が『教場』(フジテレビ系)に出演。木村拓哉との掛け合いでは緊張感を与える芝居が話題を呼んだ。味方は『教場』以降、舞台活動を主軸におきながら映像作品への出演機会も増やしつつある。

 2.5次元舞台の知名度も上がり、次のステージへと進む役者も増えている……。これはいい変化だろう。

 一方で、「2.5次元俳優」は原作を背負っているからだろうか、いわゆる「舞台俳優」とは異なる存在として捉えられてしまうことも多いように見える。原作への愛を抱き、そのイメージに忠実に演じている彼らも “芝居への愛”は共通しているのに関わらず、差別化されてしまう現実は、個人的には悲しい。だからこそ『ウチカレ』に出演した東がひとりの“役者”としてさらに羽ばたいていく姿を見せてくれたことが嬉しかった。

 舞台は寄ることも、引くこともできない。最前列であっても、最後列であっても、同じ瞬間、同じ芝居を観ることになる。視線を左右できないということ、それはつまり、表情だけではなく、身体全体を使った表現力が求められるということだ。声を張り、注目を集め、些細な動きを手足や背中でも表す。

 『ウチカレ』第1話の碧の施術シーンでは、周一の手元と声だけが映るカットがある。些細なシーンだが、その繊細な動きに思わず目を奪われてしまった。優しく丁寧な手つきから、周一の性格まで伝わり、碧と心がときめいた理由がわかったような気がするほどだ。本作での演技を見て、「これが舞台で培われた表現力なのか」と筆者は思わずうなってしまった。

 第1話の時点ではまだ謎が多い周一だが、東のその表現力はきっと物語が進んでいくにつれて顕著に表れてくるだろう。コミカルに、テンポよく見せてくれるストーリーのなかでも繊細な芝居を残してくれることに、期待したい。

■高城つかさ
1998年、神奈川県出身。【言葉と人生】をキーワードに主にエンタメ、暮らしを切り口に人生について考えている。好きな場所は劇場と本屋。Twitternote

■放送情報
『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00放送
出演:菅野美穂、浜辺美波、岡田健史、沢村一樹、川上洋平、有田哲平、中村雅俊、福原遥、大地伸永、長見玲亜、吉谷彩子、中川大輔、東啓介ほか
脚本:北川悦吏子
チーフプロデューサー:加藤正俊
プロデューサー:小田玲奈、森雅弘、仲野尚之(AX-ON)
演出:南雲聖一、内田秀実
主題歌:家入レオ「空と青」(ビクターエンタテインメント)
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/uchikare/
公式Twitter:@uchikare_ntv
公式Instagram:@uchikare_ntv

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