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ファスト映画より“映画館での貴重な2時間”、映像制作に取り組む学生たちと語り合う

ナタリー

「サマーフィルムにのって」公開前イベントにて、左から齊藤進之介、松本壮史、戸梶美雪、加藤大空、埜邑明日加。

「サマーフィルムにのって」の公開前イベントが、本日7月26日に東京都内で行われ、監督の松本壮史、映画感想TikTokクリエイターの齊藤進之介(しんのすけ)、映画制作に取り組む3人の学生たちが登壇した。

伊藤万理華が主演を務める本作は、時代劇オタクの女子高生ハダシが仲間を巻き込み、映画制作に奮闘するさまを描くSF青春ストーリー。ハダシ役の伊藤のほか、金子大地、河合優実、祷キララらが出演している。

本イベントは「ファスト映画」や「倍速視聴」といった、映画業界を取り巻く問題について語り合うべく実施された。ファスト映画とは、映画本編を無断編集してストーリーを簡単に解説・紹介する10分程度の動画。6月には、動画投稿者が著作権法違反の疑いで国内で初めて逮捕された。学生ゲストたちの周囲にもファスト映画の視聴者が一定数いるという事実を聞き、松本は「2時間も観るのって拷問なんだなって。いろいろな視聴スタイルがあるのは仕方ないと思いつつ、実際に聞くとちょっと……」と驚きを隠せない。そして「ファスト映画は情報の圧縮。編集室で『あと0.5秒だけ間を詰めたほうが余韻が!』とか深夜までやっている意味がなくなってしまう」と嘆いた。

学生からも「ファスト映画で1本観た気になられるのは怖い」と本音が飛び出す。一方で、規制されるまで“ファスト映画”だと意識せずに視聴していたという学生も。「動画サイトで映画のタイトルを検索すると、予告編の下にファスト映画が出てくる。その動画でだいたいの内容を頭に入れて、後日改めて本編を観ることがあります。ストーリーを把握できていれば、音響や照明など細かいところにも意識が向くので」と“予習”として活用していたと明かした。

齊藤は「検索すると一番上にファスト映画が出てくるのは、映画会社の怠慢だと思っています。映画会社は(公式の)動画がバズる方法を考えなければならない」と主張。ファスト映画の問題について「コスパ重視の文化が映像および映画を消費する社会を作っている」と指摘したうえで、「映画は誕生してから100年以上、常に変化し続けている。その中で上映形態とかデバイスとか何にこだわり続けるかという考えも出てくるけど、何が出てくるんだろうとワクワクする自分の気持ちは止めないようにしたい」と述べた。

また松本は「正直自分も家だと映画が観られなくなっています。いろいろな娯楽がある中、映画館に行くと“スマホを触らない2時間”が貴重に感じる。映画館で観る体験は特別だと最近特に思うので、『サマーフィルムにのって』もぜひ映画館で観てください」と呼びかけた。

「サマーフィルムにのって」は8月6日より新宿武蔵野館、WHITE CINE QUINTOほか全国で公開。

なおイベントには「高校生のためのeiga worldcup2018」の最優秀作品賞受賞作「シシリンキウム」で監督、脚本、主演、編集を担当した大学2年生・戸梶美雪、「高校生のためのeiga worldcup2020」にて「TRADE」で最優秀男子助演賞を受賞した高校3年生・加藤大空、「高校生のためのeiga worldcup2020」で優秀美術賞、優秀音楽賞を受賞した「嗚呼、純愛。 ~アァ、キョウアイ。~」企画編集担当の高校3年生・埜邑明日加が、学生ゲストとして参加した。

(c)2021「サマーフィルムにのって」製作委員会

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