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ある画家の数奇な運命

20/9/28(月)

現代美術界の巨匠ゲルハルト・リヒターをモデルにしたという画家の半生記。幼い日のクルトに“芸術の美”を教えた美しい叔母の悲劇が影を落とす中、ナチス全盛期から戦後、共産主義が入ってきた東ドイツ社会の変化、生活のために描きたくもない絵を描くクルト(トム・シリング)の苦悩が描かれていく。激動の時代を強調することもなくクールに淡々と描写しながら真実を見逃さないところが『善き人のソナタ』の監督F・H・V・ドナースマルクらしさなのだろう。亡き叔母の面影を宿す妻の父親が叔母を安楽死させたナチの大物医師であることを知らないクルトだが、戦後を平然と生き延びた医師はクルトが遂に見つけた彼自身の“芸術の美”によって復讐されるのだ。

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