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King GnuとOfficial髭男dism、人気の理由はメンバーそれぞれの個性にも 『情熱大陸』&『A-Studio』出演から考察

リアルサウンド

20/2/27(木) 6:00

 今、国民的なレベルで人気の若手バンドと言えば? と問われたら、きっとKing GnuとOfficial髭男dism(以下、ヒゲダン)の名前を挙げる人がほとんどだと思う。昨年は『紅白』出演をはじめ、お茶の間にもその存在感を強く示すことになった。ライブチケットは入手困難を極め、今年リリースされた新譜も各方面で大きな話題を集めている。

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 なぜ彼らはここまで人気を勝ち取ったのか?

 このテーマについては昨年、様々なメディアで語られてきたように思う。が、こと「音楽好きの枠を超えて愛される存在になった理由」や「若者に限らず、様々な年代に支持されている理由」を考えていくうえで重要な指摘は、そのバンドやメンバーの明確なキャラクター性にあるのではないだろうか。人気バンドになる条件として、曲のファンになってもらうことと並行して、“そのアーティスト”自身のファンになることが挙げられる。で、昨年から今年にかけてヒゲダンもKing Gnuもその部分をしっかり打ち出してきているように思うのだ。

 今、パブリックな彼らのイメージを言葉にすれば、ヒゲダンは「真面目」「礼儀正しい」「きちんとしている」という印象。ヒット曲「Pretender」の印象や藤原聡(Vo)が過去に銀行員を務めていたもあり、一途だけどどこか草食といった、現代的な若者像を当てはめている人も多いように思う。一方、King Gnuも現代的な若者像として語られることが多いが、彼らの場合、「クール」「ちょっと荒々しい」「ある種の奇抜さ」というイメージを持つ人が多い印象だ。そこには、真面目なヒゲダンに対して、どこか尖っているKing Gnuという対比があるように思う。

 とはいえ、これはあくまでもバンド全体のイメージである。そして、当然ながら、それぞれのキャラクター性はこれだけの言葉で語れるようなものでもない。ヒゲダンもKing Gnuも4人のメンバーがいるバンドである。そのため、バンド全体はこういうイメージだとしても、メンバー一人ひとりの個性をみていくと、その中でも違いがあるわけだ。2月下旬、ヒゲダンは『A-Studio』に、King Gnuは『情熱大陸』(ともにTBS系)に出演したが、そこでスポットが当てられていたのも、バンドメンバーそれぞれの個の部分だった。

 例えば、『A-Studio』では、番組MCを務める笑福亭鶴瓶が、楢﨑誠(Ba)に対して冒頭で「お酒を飲んできた?」という問いかけをすることで、楢﨑はメンバーの中でもひょんきんな人物という印象を与える一面が切り出されていた。一方、小笹大輔(Gt)は、バンドをするために勉強を頑張っており、東大を目指せるレベルだったというエピソードを語ることで、バンドの中でも、特に真面目な人柄であることを強調するエピソードが引き出されていた。エピソードの捉え方は視聴者ごとに違うとしても、メンバーそれぞれの持つキャラクター性にさらなるスポットが当たっていたこと自体は間違いない。

 King Gnuを取り上げた『情熱大陸』でも、バンドそのものよりもメンバーそれぞれにスポットを当てる尺が長かったように思う。勢喜遊(Dr)と新井和輝(Ba)がKing Gnu以外の場所で演奏するシーンを取り上げ、どういうルーツを持って高い演奏力を身につけ、バンドのサウンドを支えることができているのかを示す場面が映されていた。また、ボーカルの井口理が一人でタクシーに乗っている際に「メンバーそれぞれが自立していくというところまで見えている」と語り、その中で自分は俳優業にチャレンジしている、と語るシーンが放送された。パブリックなバンドのイメージがお茶の間でも確立してきたからこそ、そこから一歩踏み込み、個々のキャラクターを掘り下げるような放送内容であったと言える。

 バンドの様々な側面を丁寧に繰り返し伝えて光を当てることで、メンバーの個性をより立体化させていく。なにより、先に挙げた番組のようにそれぞれの個性やキャラクターをお茶の間にも伝えていることが、2つのバンドの勢いを象徴している。きっと今年の終わりには、今とはまた違う一面を、この2つのバンドは提示しているのだろう。(ロッキン・ライフの中の人)

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