押井守の あの映画のアレ、なんだっけ?
細田守監督の『竜とそばかすの姫』はご覧になりましたか?
月2回連載
第54回
Q.
押井さんは細田守監督の『竜とそばかすの姫』はご覧になりましたか? 私は観終わった後、不完全燃焼感が凄かったのですが、どうしてカンヌであんなに評価されているのかよく分かりません。ああいった映画賞の意味合いは変化しているのでしょうか?
── 今回はただいま大ヒット中の細田守さんの新作アニメーション『竜とそばかすの姫』をご覧になった方からの質問です。「カンヌであんなに評価された意味が分からない」とおっしゃってますね。
押井 何か賞をもらったの?
── いや、コンペ部門じゃなく新設された“カンヌ・プルミエール部門”で上映されたようですよ。カンヌが最初のプレミアになるという映画を選んだんじゃないですかね。
おそらく質問の方は、日本のマスコミが“10分以上にも及ぶスタンディングオベーション”と書きまくっていたので、評価されたり賞をもらったような錯覚を覚えているのだと思います。
カンヌのオフィシャルの上映だと、作品の関係者が参加するので、みなさんの労をねぎらいどんな映画に対してもスタンディングオベーションするのがカンヌ流のおもてなし。10分くらいは普通のようですよ。プレス上映で拍手喝采なら意味はありますが、オフィシャルではあまり意味がない。でも、あたかも絶賛されたように見えるし感じるので、日本のマスコミはそう書いちゃうみたいです。
とはいえ、『竜とそばかすの姫』の実際の評価はどうだったかは知りませんが。
押井 詳しいじゃない。
── いや、カンヌに通っていた友人からの受け売りです。
押井 映画は観たの?
── 観てません。音楽がいいとか、作画がきれいという話は聞きますが、その一方で、ストーリーが破綻しているという意見も耳にします。押井さんももちろん、ご覧になってないですよね?
押井 観てません。細田くんの作品は『時をかける少女』(06)と『サマーウォーズ』(09)を15分くらいずつ観ただけかな。あとは観てない。
でも、何となく宮さん(宮崎駿)の影はちらつくよね。タイトルもソレっぽい。細田くんじゃなくプロデューサーや配給が仕かけているのかもしれないけど。
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