グレース・オブ・ゴッド 告発の時
20/7/15(水)
グレース・オブ・ゴッド 告発の時 (C)2018-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-MARS FILMS-France 2 CINEMA-PLAYTIMEPRODUCTION-SCOPE
実話の重み、そのことを十分に意識して作られた本作は、フランスの鬼才フランソワ・オゾン監督が、丹念な取材を基に織り上げた骨太な作品。
子供時代に神父から性的虐待を被った男たちが、30年の沈黙を経て立ち上がる。マスコミによって彼らの封印していた過去に光が当てられ、それは周囲を巻き込んだ大きな渦となって彼らの人生を変える。
徹底して被害者の立場から描かれた本作は、彼らの心の痛みがきりきりと伝わってくる。なぜあのときあんなことが、なぜ誰も分かってくれなかったのか、自分はなぜこんな人生を強いられたのか。中には“被害者”というレッテルを一生負うことに耐えられず、公表しない者もいる。
オゾンがここで問いかけるのは、人が持つべき倫理観だ。それはその人がどんな衣装を纏っていようが変わらないはず、というメッセージが、観終わった後も脳裏にこだまする。
新着エッセイ
新着クリエイター人生
水先案内