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GRANRODEO×黒子のバスケ楽曲はなぜ長く愛される? 劇場版公開から3周年記念日を機に改めて考察

リアルサウンド

20/3/18(水) 6:00

 TVアニメにおいて、作品のイメージを強く印象づける主題歌とは、欠かすことのできない要素のひとつだ。アニメ放送時はもちろん、時には数年を経てもなお、アニメのワンシーンやキャラクターの表情をふと思い起こさせるなど、作品の象徴として果たす役割は非常に大きい。これから紹介するTVアニメ『黒子のバスケ』と、劇場版を含めて同作に全7曲のオープニングテーマを提供したGRANRODEOは、そういった意味で次世代のモデルケースにも相応しい数々の功績を築き上げてきた。

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 誠凛高校男子バスケットボール部を舞台に、主人公の黒子テツヤと火神大我が、黒子の中学時代のチームメイトで、“キセキの世代”と称されるライバル選手らと熱戦を繰り広げる『黒子のバスケ』。同作は、物語が完結して数年が経った現在でも、大型ショップでの定期的なオンリーイベントの開催、さらに4月3日からは、『劇場版 黒子のバスケ LAST GAME』公開3周年を記念した記念上映が行われることになった。そしてまさに劇場版の公開が行われたのが、3年前の今日、3月18日である。本稿では、GRANRODEOが『黒子のバスケ』に書き下ろした楽曲を軸に、同作がこれほど長く愛され続ける理由を改めて考えてみたい。

 『黒子のバスケ』といえば、まずこの楽曲が思い浮かぶファンがほとんどなはず。“原点にして頂点”という評価がぴったりな、第1期前半のオープニングテーマ「Can Do」だ。青春パンクロックといえるサウンドが開放感をもたらす同曲だが、特徴的なのはそれだけではない。サビ前の〈歩け 走れ 何度でも〉という仲間を鼓舞する歌詞もまた、黒子や火神らが参加する部活の練習風景にいるかのようで、まさに高校の“部活感”に満ち溢れている。ライブでのコール&レスポンスが盛り上がることは、もはや言うまでもないだろう。

 加えて、同曲のオンエア当時におけるアニメストーリーを踏まえておくと、まだ出会って間もない黒子と火神が、“キセキの世代”の黄瀬涼太や緑間真太郎らを擁するそれぞれの強豪校と互角に渡り合うなど、新設したばかりの誠凛バスケ部を急成長に導いていた。「Can Do」が織りなす天井知らずなサウンドは、黒子と火神がチームにもたらした無限の可能性ともリンクするようで、どこまでも爽快な気分へと導いてくれる。

 第2期後半のオープニングテーマに起用されたのは「変幻自在のマジカルスター」。同曲は前述した「Can Do」や、一連の主題歌において新たにメロスピ路線を開拓した第2期前半の「The Other self」からガラリと雰囲気を変えて、清涼感あるサウンド展開に。そのテーマも、アニメの世界観に寄り添いながら、高校生の青春から連想したという恋愛へと変容している。長年のバンド経験を通して培った、GRANRODEOのアレンジの幅の広さを実感できる一曲だ。

 また、これまでは自身の影の薄さを活かし、チームの“シックスマン”としてパスの中継役に徹していた黒子。しかし、この時期を境に自らが敵陣にカットインする「バニシングドライブ」や、そこからゴールを狙う「ファントムシュート」などの習得を経て、チームの得点源としても存在感を強めることに。偶然かもしれないが「変幻自在のマジカルスター」は、既存のプレースタイルを刷新した黒子について、上手く言いあてたタイトルだと思う。

 第3期前半のオープニングテーマは、よい意味で“チャラさ”がフックになったパーティーロックチューン「Punky Funky Love」。同曲の歌詞は、次々と踏み倒していくライムが心地よく、そのテーマも先程から引き続き、恋愛について歌っている。その一方、サビでは黒子をはじめとする選手に向けて、未来へと後押しする叱咤激励を飛ばすなど、作品らしさも忘れてはいない。

 それもそのはず。この時期の『黒子のバスケ』とGRANRODEOの間柄は、もはや“信頼関係”以外の何物でもなかった。その例として、2番Aメロまで聴き進めてみよう。ここでは〈だけど Can Do ばっか聴いてんだ/だってスカしてんぜ RIMFIRE〉という過去曲の引用から、〈1期2期 前期後期/Punky Funky Love 3期〉まで、まさに“3期の曲だから3期と歌った”と言わんばかりの洒落っ気を披露。作品を長く追ってきたファンにとって、そこでニヤけるなというのが難しい話だ。同フレーズがTVアニメサイズでは流れない2番に待ち構えている点も踏まえて、GRANRODEOの巧みなバランス感に喜ばされてしまう。

 そのほかにも、GRANRODEOが書き下ろしたオープニングテーマは、どれも実際に歌い上げて、その開放感や高揚感に震えたくなる楽曲揃いだ。前述したような練習や試合を思わせる掛け声やエールは、作品全体を取り巻く上昇気流を強めるようでもあり、それが相乗効果として、GRANRODEOの楽曲にさらに多くの“煽り”をもたらし、ますます熱をもったナンバーが生み出し続けられるようになったのだろう。そんな互いに切磋琢磨する時間の積み重ねが歴史となり、彼らの楽曲は『黒子のバスケ』にとって、作品の顔といえる重要な役割を担うようになったのだ。

 最後に、『黒子のバスケ』が完結した今なお、GRANRODEOが同作の楽曲を歌い継いでいることも大きいだろう。彼らのワンマンライブはもちろん、毎年夏に開催される『Animelo Summer Live』などにおいて、『黒子のバスケ』の楽曲はしばしば演奏されている。そのため、たとえ作品から少し離れたファンであっても、彼らの楽曲を呼び水として、誠凛バスケ部らと過ごした日々を思い返すことシーンもあるに違いない。

 物語を盛り上げるのは言わずもがな、時には黒子や火神らの想いを代弁するように、音楽を通して作品に寄り添い続けたGRANRODEO。彼らはこれからも変わらず、『黒子のバスケ』を“Can Do”な未来へと連れて行ってくれる。(一条皓太)

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