海外映画取材といえばこの人! 渡辺麻紀が見た聞いた! ハリウッド アノ人のホントの顔
ホアキン・フェニックス
連載
第15回
── 今回はホアキン・フェニックスです。彼が主演した『ジョーカー』が大評判ですよね。
渡辺 ヴェネチア国際映画祭でグランプリに当たる金獅子賞を取りましたからね。アメコミ系映画では初の快挙だと言われていますが、この作品、まったくアメコミ映画には見えません(笑)。ジョーカーとバットマンって特殊な能力があるわけじゃないので、リアルなフィールドで語りやすいというのもあるとは思いますが、それでもこの映画のリアリティは怖いくらいだと思いました。
── 私も観ましたが、ちょっと驚くほどですよね。
渡辺 監督は『ハングオーバー』シリーズ(09~13)などのコメディを得意とするトッド・フィリップスですが、こんなセンスを持っていたなんて信じられないくらい。世界観がちゃんとでき上がっていて、そこに苦しみながら生きている、後のジョーカーことアーサーが加わって素晴らしい映画が生まれたという感じです。
── ホアキンは、他の映画でもインタビューしたことあるんですか?
渡辺 彼には今回を合わせて2度だけ。でも、今回の演技が素晴らしいので取り上げてしまいました。
最初のインタビューは、はるか昔の『サイン』(02)のとき。子役を途中で止め、役者に復帰した頃に出演した『誘う女』(95)で注目され、『グラディエーター』(02)の邪悪な王様を演じてオスカー助演賞に初ノミネートされた。その後に出演したのが『サイン』です。M.ナイト・シャマランのエイリアン侵略もので、ホアキンはメル・ギブソンの弟の役でした。この時期はまだ問題児じゃないメルギブです(笑)。
── ホアキンと合わなさそうですけど……。
渡辺 いや、そうでもないみたいでしたよ。ホアキンは『マッドマックス』が大好きで、「おお、マックスの弟か、かっこいいじゃん」みたいな感じだったって。おかしかったのが食事の話。ホアキンは「僕は3歳のときからヴィーガンで、肉も乳製品も摂らないんだけど、メルは血のしたたるようなレアの大きなステーキを毎日食べる。で、バランスを取るために、朝は自家製青汁みたいなのを飲んでいて、僕も疲れているときに飲まされたんだ。でも、これが激マズで、マジで吐きそうになったくらい。それを知っているくせにメルは毎朝、その青汁を僕に届けるようになったんだ」って言ってました。
── じゃあ、飲んでたんですか?
渡辺 いや、いつも窓から捨てていたって(笑)。