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渡辺えりを迎えた再再演! 桑原裕子率いる「KAKUTA」の代表作『ひとよ』が開幕

ぴあ

20/9/3(木) 11:00

『ひとよ』(2020年)舞台稽古より 撮影:相川博昭

登場人物の心の機微を巧みに描きあげる劇団「KAKUTA」の代表作『ひとよ』が、本日9月3日(木)に開幕する。

本作は2011年、東日本大震災の直後に、作・演出の桑原裕子が当時の心境を重ね合わせて書き上げた作品。2011年に初演され、2015年に再演を果たした秀作だ。毎回、不意に訪れた人生の分かれ道に揺れ動く人物の紆余曲折を細やかに描く桑原。今作では「たった一夜で人生が変わる」ことについて考え抜き、こんな物語が生まれた。

『ひとよ』(2020年)舞台稽古より 撮影:相川博昭

タクシー会社を営む一家。土砂降りの夜、母が、父を殺した。幼い子ども3人に「15年後に戻ってくる」との約束を残して出ていった母。そして15年後。その出来事による傷を抱えたまま、人生を狂わされながら大人になった三兄妹と、本当に戻ってきた母が再会を果たす——。

昨年、白石和彌監督の手によって映画化された物語だ。佐藤健・鈴木亮平・松岡茉優が三兄弟を演じ、母親役を田中裕子が演じて高い評価を受けた。今回の舞台で母親を演じるのは、渡辺えり。桑原は渡辺について「今こそ私は、渡辺えりさん演じる『母ちゃん』に逢いたいのです。母という愛の怪物が、大人として重い荷物を一身に背負いながらも、明るい笑顔で、ものすごい覚悟と生命力で私たちのもとに再び帰ってきてくれるのを、待っています」とコメントしている。

『ひとよ』(2020年)舞台稽古より 撮影:相川博昭

その場所で、その境遇を生きることから、逃れられない登場人物たちの生き様をKAKUTAは描く。多くの観客がそうであるように、どんなに忌むべき悲しい運命も、ある程度引き受けながら人は生きていく。そのことを嘆くでも恨むでもなく、真摯に誠実に見つめて、KAKUTAの面々は物語を紡ぐ。前代未聞の非常時において、この物語は果たしてどんなふうに観客に届くだろう。

東京公演は9月13日(日)まで本多劇場にて。10月には愛知公演を控えるほか、ストリーミング配信も予定している。配信チケットの受付と、視聴可能期間は9月22日(火・祝)23:59まで。詳しくは劇団HPを参照のこと。

文:小川志津子

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