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瀬戸康史、中尾明慶、毎熊克哉……『まんぷく』長谷川博己を支える“塩軍団”俳優に注目

リアルサウンド

18/11/16(金) 7:00

 『まんぷく』(NHK総合)で、萬平(長谷川博己)の発想により始まった塩作り。そのきっかけは、福子(安藤サクラ)たちが食べたラーメンが薄味だったこと。戦後ということもあり、塩が不足していたのだ。萬平は家の近くの広い海と大量の鉄板を思い出し、塩作りを思いつく。

 もちろんこれには、神部茂(瀬戸康史)をはじめとする多くの人手が必要だ。萬平とともに奮闘する、熱き“塩軍団”の男たちに注目である。

【写真】“塩軍団”の男たち

 萬平の支えとなる存在といえば、やはり一番は福子だが、彼女と出会う以前からの付き合いであった竹ノ原大作(宮田佳典)の存在を忘れてはならない。彼はかつての萬平の会社「たちばな工房」時代からの従業員にして萬平の右腕的な存在。いつも萬平を見守り、慕ってやまない姿勢は、その眼差しの力強さからもうかがえた。この宮田という俳優を、『まんぷく』を観て知ったという方も多いだろう。彼は劇団「柿喰う客」にも所属する俳優で、映像作品にも数多く出演しているが、商業作品でここまで目立った存在感を放ったのは本作が初めてのようである。竹ノ原の誠実な姿と、その言葉の一つひとつを丁寧に伝えようとする宮田の誠実さは重なり合い、まさに好演であった。戦争の激化から登場がないが、塩軍団にいないことが実に惜しまれる存在である。

 空いてしまっていた、萬平のこの右腕的ポジション。神部はここに当てはまる存在として申し分ないだろう。萬平への信頼ぶりは、竹ノ原にも負けないものがある。それもそのはず、そもそもの出会いは、彼が福子の姉である克子(松下奈緒)宅に盗みに入った時という最悪なものであるが、時節柄これを萬平は許し、自身のそばに置いているのだ。そんな神部というキャラクターを、瀬戸は愛嬌たっぷりに演じている。少年のような顔立ちと、数多くの舞台作品で培ってきた柔軟な表現力がここでも活きているようだ。かねてより器用な印象であった彼だが、今年は『海月姫』(フジテレビ系)、『透明なゆりかご』(NHK)、映画『寝ても覚めても』での硬軟自在な演技で、主人公を支えるポジションを全うしている。どんな時でも萬平を立てる、“塩軍団”のリーダー的存在である神部の今後に注目だ。

 塩軍団いちの喧嘩っ早さを誇る、岡幸助を演じているのは中尾明慶。子役出身者なだけあって、まだ30歳にして長いキャリアを持ち、軍団の中で最も知名度が高い俳優ではないだろうか。鍛え上げられた肉体や、年齢や経験の積み重ねによって獲得した“渋み”を本作では放っている。この岡とは粗野な男だが、“憂さ晴らし”を口実にしてはいたものの、飲み屋で絡まれている女性を助けたり、萬平や福子に対して義理堅い一面もある。今後頼りになるのではないかと密かに期待できる存在だ。ちなみに今クールの中尾は、『プリティが多すぎる』(日本テレビ系)にも出演中。口数の少ない岡とは正反対とも言える人物を、実に軽快に演じている。

 そんな中尾が演じる岡との衝突も印象的だったのが、毎熊克哉が演じる森本元。個性的な塩軍団メンバーの“わちゃわちゃ感”の中で、誰よりも“陰”を感じる存在だ。たまに口にする言葉の端々からは、戦争体験の悲愴さがうかがえる。そんな、森本の背景まで感じさせる俳優の毎熊。ここ数年、急激に活動の幅を広げている存在で、現在は映画『純平、考え直せ』や『止められるか、俺たちを』が全国展開中であり、『真っ赤な星』や『新宿パンチ』が間もなく公開される。つねにどこかしらの劇場で彼の出演作が上映されているあたり、映画界でのラブコールが絶えぬのだろうし、来年以降も楽しみである。この森本とは、毎熊の硬派な佇まいがそのまま反映された人物だが、ときおり見せるクールな笑顔が印象的。今後の彼の、さらなる変化に期待だろう。

 熱き男たちのにぎやかな掛け合いと、彼らだからこそ生み出すことができる空気感。男くさい集団戦としての魅力もさることながら、物語から垣間見える、一人ひとりの人生ドラマを夢想してみるのも面白いかもしれない。この“塩軍団”がいまの『まんぷく』に大きな活気を与えていることは間違いない。

(折田侑駿)

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