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桜庭ななみ、“叔母さん”としての強引な優しさ 『スカーレット』最終週に希望が灯ることを祈って

リアルサウンド

20/3/21(土) 12:00

 『スカーレット』(NHK総合)第24週「小さな希望を集めて」では、武志(伊藤健太郎)が目標にしていた大皿を完成させる。

参考:『スカーレット』第145話では、武志(伊藤健太郎)がやり場のない感情を初めて爆発させる

 武志が亜鉛結晶の作品の次に挑戦したのは、八郎(松下洸平)にも出せなかった深野(イッセー尾形)の葉書にあった青の色。そこに武志は独自の閃きとして、真奈(松田るか)が置き忘れていった傘に溜まる雨、水たまりに落ちる滴の波紋からインスピレーションを受け、“水が生きている”大皿を完成させることを目指した。

 久々の釜焚きで“ええ色”の作品を焼き上げた喜美子(戸田恵梨香)は、「10年以上もやってると、炎の流れが想像できるようになってくる。景色を想像していくんや」と話し、その言葉が武志の大皿に向かう姿勢を後押しし、武志は喜美子と共に大皿の完成を迎える。同時に大皿の完成は、白血病のドナー探しの支えになってくれたみんなに、武志が「元気です」とお礼の気持ちを込めた作品でもあった。

 いつもと変わらない1日。武志を知る人々は、全員が明るく、ほんの少しの優しさを加えて彼に接する。アルバイト先「ヤングのグ」の店長(中谷由香)も、友人の学(大江晋平)と大輔(七瀬公)も。武志を思う真奈(松田るか)は祖母の死を通じて、会える時に会いたい人には会っておこうと、作品作りをする武志をそばで見守っていた。

 そんな真奈と、精のつくスッポンを持って川原家に帰ってきていた直子(桜庭ななみ)が初対面。喜美子の言動から武志と恋仲にあると察した直子は、次第に生き生きとしだすのだ。喜美子、直子、真奈、大阪に遊びに行っていた武志、学、大輔でスッポン鍋を囲むという何とも不思議な組み合わせ。男性陣が大阪で買ってきた服を見て「可愛い」と真奈が感想を伝えると、すかさず直子が「『可愛い』の一言で男はダメになっていくんや!」と教え、真奈は真っ直ぐな目で頷く。今まで出会ってこなかったであろう、思ったことをズバズバと言う直子にすっかり染め上げられてしまっている。

 喜美子、直子、武志の3人になった母屋。直子は、白血病を治す抗がん剤の副作用、髪が抜ける症状を武志にサラッと尋ねる。その流れから会話は真奈の話に。直子の中ではすでに“武志の彼女”という認識らしく、直子の運転による「愛を語り合うためのドライブ」を企てている。しつこい直子の存在に武志はたまらず「来るな! うるさい!」と寝室に逃げ込んでいく。真奈の気持ちに気付きながらも、彼女の思いを受け止めることができない武志。八郎がそうであったように、恋愛には男らしい、大胆さも必要であり、その強引さを直子が引き出していく……のか?

 『スカーレット』も残り6回。最終週「炎は消えない」では、武志と真奈が仲良く歩く場面に、「愛語りあうんやで!」とご満悦な直子の声。ちや子(水野美紀)、草間(佐藤隆太)、さらにはジョージ富士川(西川貴教)まで登場し、フィナーレに相応しい顔ぶれが揃う。

 印象的なのは、琵琶湖を前にした喜美子、武志、真奈の姿。『スカーレット』で琵琶湖が出てきたのは、第1週「はじめまして信楽」第1回。生前の常治(北村一輝)が日本一の湖である琵琶湖を前に、「よう見とけ。こっちの心も大きなんでぇ」とまだ幼かった喜美子と直子に伝えていたシーンだ。予告でも喜美子は常時の言葉を受け継ぐように、「よう見とけ。こっちの心も大きなるで」と武志と真奈に呼びかけている。死ではなく、生きることをテーマにした『スカーレット』は、私たちの心にも希望に満ちた炎を灯してくれるはずだ。(渡辺彰浩)

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