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嵐の名曲は斬新なダンスとともにあったーーフォーメーションの妙や表現力など、5人の飽くなき“こだわり”

リアルサウンド

20/10/13(火) 6:00

 嵐が、9月にリリースした新曲「Whenever You Call」のMVのDance Versionを公式YouTubeチャンネルにて公開した。同楽曲は、ブルーノ・マーズが提供したことで大いに話題を集め、英詞で綴られた愛に溢れるメッセージをロマンチックに伝えていることからも、嵐にとって新鮮なナンバーとなった。公開されたDance VersionのMVは、先に公開された通常のMV同様、美しい夜景をバックにメンバーがパフォーマンスする内容となっており、5人のダンスや動作一つひとつの美しさを堪能できる。

ARASHI – Whenever You Call [Dance version]

 同楽曲のダンスの見どころの一つとして、ゆったりとしたテンポと曲調に合わせ、随所で激しい動きを見せていることが挙げられる。ダンスによって、楽曲に込められた真っすぐな意志がより強固になったように感じる一方、メッセージ性自体の柔らかな思いも繊細に表現されており、その力強さとしなやかさとのコントラストが、同楽曲の神秘的な美しさを生んでいる。グループとしての残り少ない活動期間に対する儚さもありつつ、思いの深さは無限大である、とも感じられる同楽曲からは、日本のエンターテインメントの可能性が、活動休止までの時間が限られている嵐によって開花されていくことが実感できた。

 活動休止発表後、ストリーミング配信解禁の節目にリリースされた「Turning Up」のダンスもまた新鮮であった。同楽曲のMVや『NHK紅白歌合戦』では、ダンサーを従えたパフォーマンスが印象的で、そのダンスはTikTokなどでも一時トレンドになっていた。だが、実際よく見てみると、いわゆる大勢の人たちがノリノリになれる楽曲ではあるが、振り付け自体の難易度は高いように感じる。それは、アクティブでスタイリッシュな嵐として、グローバルな視点を持って、日本のエンターテインメントを牽引していくという、進化を遂げるための強い意志のようにも感じられる。何より、メンバー本人たちが楽しそうにパフォーマンスしていたことや、立て続けに新たなことにチャレンジしていくワクワク感が、「Turning Up」により勢いをつけていたように思う。

ARASHI – Turning Up [Official Music Video]

 また、嵐と海外との接点に関しては、2013年にリリースされたアルバム『LOVE』の収録曲である「P・A・R・A・D・O・X」にも触れておきたい。同楽曲は、メンバーがニューヨークで振り付けのレッスンを受けるなど、楽曲に対する異常な気合いを感じさせていた。それまでとは異なるセクシーな嵐をアピールするべく、独特な雰囲気を感じさせる同楽曲は、ファンの間でも人気の曲である。特に、5人がキレのあるダンスを横並びで踊るサビ部分は、ライブでも一つの大きな盛り上がりを作ってきた。

嵐 – P・A・R・A・D・O・X

 日本のエンターテインメントの中心にて、グローバルな視点で活躍してきた嵐だが、そこにはダンスへのこだわりが不可欠だったように思う。名曲の裏には、常に印象的で、斬新なダンスの存在があったのだ。

 フォーメーションの妙を魅せている曲の一つには、デジタル解禁時にも配信された「Monster」がある。同楽曲が人気の理由には、リーダーの大野智が冒頭で聴かせる美声はもちろん、同部分で他の4人による独創的なダンスとの関連性がある。3拍子になる間奏では華麗な動きを見せるなど、全体的に表現力に富んだダンスパフォーマンスとそれらのインパクトの強さこそ、同楽曲が長年愛されてきた理由とも言えるだろう。また、「Endless Game」のダンスも高い人気を誇る。AメロやBメロ、サビになる毎に曲調もガラッと変わる変則的な同楽曲では、まるで歯車のような一人ひとりの動きが、サビでの一体感へと繋がっていく。独特な曲の雰囲気にあわせるため、ダンスの構成に工夫が加わったことが、結果として高レベルなパフォーマンスを実現させているのだ。

嵐 – Monster [Official Live Video]

 また、嵐はヘッドセットでのパフォーマンスも魅力的だ。激しいダンスとクールさを組み合わせた「truth」は、それまでの明るく元気な嵐のイメージを一変させた。ストリングスとピアノの高貴な雰囲気が印象的な同楽曲は、緊迫した場面が多い。その理由は、全体的に華麗なダンスを魅せている一方で、サビでの〈心は謎めいて〉という部分では少しゆったりとした動きで四角を描くなど、印象的かつキレも魅せるダンスの緩急の多さだ。また、後半への盛り上がりに向け、クールさとしなやかさを使い分けており、表現力という部分に注視したパフォーマンスであると感じた。

嵐 – truth [Official Live Video]

 「Face Down」は、エレクトロニックなトラックからも、スタイリッシュさが目立つ楽曲で、メンバーの息のあった動きやカウントをズラしたダンスをはじめとするキレのあるパフォーマンスがメイン。しかし、フォーメーション移動での足の動きの滑らかさにも目を見張るものがあり、そういった部分での無駄のないスマートさによって楽曲の世界観を支えているのだろう。

嵐 – Face Down

 嵐イズムを生んでいたものとは、多様な楽曲に対応できる5人のパフォーマンス力であったと言える。ポップなイメージが強い嵐は、ファンも真似しやすい振り付けや、スタンドマイクを用いたパフォーマンスなど見せ方のレパートリーを数多く持ち合わせているが、同じ振り付けを踊っているだけでも5人で1つの作品を作り上げている、という印象が強い。その上で、クールな魅力をアピールする場面では、ダンススキルを存分に発揮してきた。嵐が様々なダンスパフォーマンスを見せてきたことは、結果として次の世代への橋渡しとなった、という意味もあったかもしれない。その影響は、これからの日本のエンターテインメントにも活かされていく財産となったはずだ。

■momotoxic
ブロガー。自称”楽曲派”。Twitter:@momotoxic1006

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