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福士蒼汰によるダークヒーローの系譜 『DIVER-特殊潜入班-』で魅せる暗躍ぶり

リアルサウンド

20/9/23(水) 6:00

 警察内に秘密裏に結成された「潜入捜査官チーム」(通称“D班”)が組織犯罪の闇に立ち向かうサスペンスドラマ『DIVER-特殊潜入班-』(カンテレ・フジテレビ系)。主人公でD班の潜入捜査官・黒沢兵悟を演じるのは福士蒼汰だ。これまで爽やか好青年役のイメージが強かった福士が、どんな“ダークヒーロー”を魅せてくれるのか注目が集まっている。

 長身、甘いマスクから、学校一のモテ男、人気者、イケメンとしてヒロインの恋愛相手役として抜擢され、主に学園恋愛もの作品に登場し世の女性を虜にしてきた福士。映画『好きっていいなよ。』『ストロボ・エッジ』がまさにそうで、彼の出世作となったNHK連続テレビ小説『あまちゃん』でもヒロインが一目惚れする先輩役を好演した。いずれもクールに見えて実は優しいという女子の大好物なギャップを全て詰め込んだかのようなキャラクター像。また、彼が持ち合わせる実直な雰囲気がぴったりマッチしたのが、映画『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』での垢抜けない美大生役で、あまりに切ない恋愛模様に観る者の涙を誘った。『きょうは会社休みます。』(日本テレビ系)での9歳年上の女性に一途な想いを寄せる大学生役では、“胸キュン男子”の名を欲しいままにし、“壁ドン”ブームの火付け役にもなった。

 「役どころイケメン」のオンパレードを経て、彼の演技に新たな幅が生まれたきっかけとなったのが、アクション作品への登用だった。彼の高い身体能力、スタイルの良さ、端正な顔立ちなどの圧倒的ビジュアルの良さが生かされる場が、恋愛作品以外に少年向けコミック原作作品にもあったのだ。初の悪役に挑戦した映画『無限の住人』でのラスボス的存在・天津役では、規格外の強さ以外に、時代劇ものということもあってか美しく妖艶な雰囲気を見事に全身に纏い、これまでのイケメン男子学生役というイメージからの脱却に見事成功した。その後も映画『曇天に笑う』『BLEACH』でのほぼノースタントで臨んだアクションシーンで原作ファンを唸らせ、昨年は映画『ザ・ファブル』で殺しもためらうことなく行う何でも屋の青年役を熱演し、殺人に愉しみすら覚える冷酷な悪役の“狂気性”を見事演じ切った。

 『DIVER-特殊潜入班-』第1話でも、特殊詐欺組織に潜入するため、闇金会社社長の海藤武史(杉本哲太)に近づき、摘発に追い込んだかと思いきや、証拠不十分で即釈放されるように仕向け、巨悪な組織に存在を抹殺されるところまでを描き切った兵悟の暗躍ぶりが明らかになった。

 “悪役”と一言で言っても、見るからに悪人という風貌の分かりやすいキャラクターなんてそうそういないわけで、本作での兵悟のように、実際の悪党というのは、人懐っこい一面をのぞかせながら、潜入先の組織のトップの警戒心を徐々に解き、信頼を得て、気に入られる“人間臭さ”を程よく垣間見せる。調べ尽くしたターゲットに近い自身の架空の生い立ちをスラスラと語り、共感を得ていとも簡単に取り入るのだ。信頼に足る、周囲に“信じたい”と思わせる人間が最後の最後に裏切るから面白いのであって、様々な人がある意味自ら進んで欺かれてしまうのである。器用に演じ切って何者にでも成りきれてしまう福士だからこそ、潜入先のボスの願望、要望を全て可視化して魅せられるのだ。今後もどこかで彼に“鮮やかに”“気持ち良く”裏切られたいという願望をこっそり抱きながら、最凶ヒーローの活躍を見守りたい。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
『DIVER-特殊潜入班-』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜放送(全5話)
出演:福士蒼汰、野村周平、安藤政信、りょうほか
原作:大沢俊太郎 『DIVER-組対潜入班-』(集英社)
脚本:宇田学
演出:宝来忠昭、木村弥寿彦(カンテレ)、西片友樹
プロデュース:萩原崇 (カンテレ)、大城哲也(ジニアス)
制作著作:カンテレ
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/diver/
公式Instagram:https://www.instagram.com/diver_ktv/
公式Twitter:@diver_ktv

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