マネ、セザンヌ、ルノアールら、巨匠たちの名品が勢ぞろい! 『コートールド美術館展 魅惑の印象派』が開催中
19/9/10(火) 0:00
エドゥアール・マネ 《フォリー=ベルジェールのバー》 1882年 コートールド美術館 (c)Courtauld Gallery(The Samuel Courtauld Trust)
東京都美術館にて開催中の『コートールド美術館展 魅惑の印象派』では、イギリス・ロンドンにあるコートールド美術館のコレクションを中心に、印象派・ポスト印象派の絵画・彫刻約60点を紹介。12月15日(日)まで開催されている。
ロンドンの中心部を流れるテムズ川のほとり、サマセット・ハウスの一角にあるコートールド美術館は、イギリスが世界に誇る印象派・ポスト印象派の殿堂だ。フランスで花開いた印象派・ポスト印象派の作品に魅了された実業家のサミュエル・コートールドが、母国イギリスの人々にその魅力を紹介するために収集したコレクションを中核として1932年に設立。マネ、ルノワール、ドガ、セザンヌ、ゴーガンら、巨匠たちの傑作がずらりと並ぶ。
これらの名画がイギリス国外に貸し出されることは滅多にないのだが、2021年の完成を目指した改修工事にともない、多くの名作の来日が実現。マネ最晩年の傑作《フォリー=ベルジェールのバー》が約20年ぶりに来日するほか、ルノワールが第一回印象派展に出品した記念碑的作品《桟敷席》、セザンヌ《カード遊びをする人々》、ゴーガン《テ・レリオア》など、巨匠たちの代表作が東京都美術館に集結している。
東京都美術館の大橋菜都子学芸員によると、同展のテーマは「読み解く」。「コートールド美術館が、美術史や保存研究の世界有数の機関であることに注目し、美術史研究や科学的調査の最新成果を、質の高い作品とともに紹介しています」(大橋氏)。
「画家の言葉で読み解く」と題した第1章では、画家たちが残した言葉とともに作品を紹介。彼らがどのように風景を見つめ、何を考えながら筆をとったのか、その思いに寄り添うことで、さまざまな想像を巡らせながら作品を読み解いていく。
第2章「時代背景から読み解く」では、産業化が急速に進んだ19世紀フランスで、都市生活や余暇を楽しんだり、劇場やカフェなどで娯楽を楽しむ人々の姿を捉えた作品を紹介。新しい時代を象徴するモティーフ、表現方法に注目する。
第3章「素材・技法から読み解く」は、コートールド美術館において長年にわたり行われてきた、X線や赤外線など科学的な調査・研究の結果などを紹介。制作の背景や過程、画家の工夫や試行錯誤、ときにためらいなどを明らかにする。
また、コートールドがどのようにセザンヌをはじめとした画家の作品と出会いとコレクション拡大の経緯の解説や、特に注目すべき作品の詳細な解説などを、大型パネルで展示。作品を深く読み解くうえで重要な情報を提供してくれる。
さらに会場内には、コレクションが飾られていた当時のコートールド邸室内の写真や、収集にまつわる資料や手紙なども紹介。コートールド美術館絵画部門学芸員のカレン・セレス氏によると、コートールドが自身のコレクションを自宅で楽しんでいたのはわずか数年で、美術館設立後はその全てを美術館に寄贈したという。「20世紀初頭にレーヨン産業で成功したコートールドは、その莫大な資産を元に印象派・ポスト印象派のコレクションを築きましたが、コレクションの形成当初から、彼は公共性を意識していました。芸術は多くの人と共有するものであり、芸術こそが人々の生活を豊かにするものだと信じていたのです」
コートールドが富と愛を注いで集めた珠玉のコレクション。さまざまな角度から掘り下げられる解説とともに、名画の数々の「読み解き」を楽しんでほしい。
【開催情報】
『コートールド美術館展 魅惑の印象派』
9月10日(火)〜12月15日(日)東京都美術館にて開催
【関連リンク】
コートールド美術館展 魅惑の印象派
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