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冬ドラマは人気脚本家のオリジナル作が充実! 再タッグ組と初顔合わせ組、それぞれの見どころは?

リアルサウンド

21/1/10(日) 12:00

 来週から本格的にスタートする1月クールの連続ドラマ。今期は、脚本家のひとつの到達点である朝ドラや大河ドラマを執筆した有名シナリオライターのオリジナル作品がそろっている。2020年からのコロナ禍を経験し、またその最中にある作家たちが描き出すのはどんな人間模様なのか。初回のあらすじをチェックしたところ、主題としてコロナ禍を描くものはないが、家族や疑似家族の関係を見つめ直す内容が多く、困難な時代だからか、ホームドラマ回帰の傾向が見られる。また、脚本家と主演俳優の組み合わせは、長年組んできた同士でまた組む作品と初めての組み合わせで挑む作品に分かれた。ドラマファンの注目を集めているものを中心に紹介していきたい。

 まずは『あまちゃん』『いだてん~東京オリムピック噺~』(ともにNHK総合)の宮藤官九郎が民放で3年3カ月ぶりに手掛ける連続ドラマ『俺の家の話』(1月22日スタート/TBS系)。制作は21年前の連ドラデビュー作『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)からコンビを組んできた磯山晶プロデューサーで、演出は同じく金子文紀。主演はやはり『池袋―』以来、ドラマや映画で5度組んでいる長瀬智也が主演という、おなじみのチームだ。

 物語は、長瀬演じる42歳のプロレスラー・観山寿一(読み:みやまじゅいち)が、脳梗塞で倒れ要介護となった父親・寿三郎(西田敏行)の世話をするため、25年ぶりに実家に戻り父や弟妹たちと共同生活を送るというもの。寿三郎は能楽の人間国宝で、その跡は弟子の寿限無(桐谷健太)が継ぐと思われていたが、元々、能楽の天才的センスがあった寿一はレスラーを辞め、宗家を継ぐと宣言。そして、寿一の息子や、突然、寿三郎の婚約者として現れた美貌の介護ヘルパー・さくら(戸田恵梨香)らも観山家に出入りし、血縁者と他人が入り乱れて、にぎやかなホームドラマが展開する。

 西田敏行が伝統芸能の師匠で、長瀬智也がその伝統を継承しようとするという設定は、一見、落語の世界を描いた『タイガー&ドラゴン』(TBS系)の焼き直しのような印象も与えるが、介護という新しい要素を盛り込んできたのはさすが。リングで対戦相手をホールドしてきたレスラーが、実家で動けない父親を持ち上げることになるわけだ。寿一の息子には学習障害もあり、親子三代の関係を通して他者と助け合う必要がある現代社会の悲喜こもごもを描く、クドカンの新境地となりそうだ。

 今回、クドカンワールド初参戦となるのは、寿一の妹を演じる江口のりこ(連ドラ連続出演3クール目!)、その夫役の秋山竜次(ロバート)、道枝駿佑(なにわ男子)ら。既に独自の世界を持つ秋山がコメディリリーフとしてここに馴染むのかにも注目したい。

 次に気になるのは、日曜劇場『天国と地獄~サイコな2人~』(1月17日スタート/TBS系)。『ごちそうさん』『おんな城主 直虎』(ともにNHK総合)の脚本家・森下佳子と組むのは綾瀬はるかで、こちらも『義母と娘のブルース』(TBS系)に続いて実に6回目のタッグに(『MR.BRAIN』を除く)。綾瀬演じる刑事の彩子と、高橋一生演じる殺人鬼の陽斗(読み:はると)の魂が入れ替わってしまうという異色の設定。既にティーザーとして“高橋一生っぽくサイコパスな笑みを浮かべる綾瀬はるか”“その綾瀬の狂気に怯える、綾瀬はるかっぽい高橋一生”というキャッチーな場面が流れ、注目を集めている。実はモノマネのような演技をノリノリでやる人でもある綾瀬のコメディエンヌ魂が全開になりそうだ。

 脚本の森下は2020年にリモートドラマ『今だから、新作ドラマ作ってみました』第3夜「転・コウ・生」(NHK総合)で、柴咲コウとムロツヨシと高橋一生の魂がトリプルで入れ替わるというスイッチものを書いており、ライトノベルでも人気のジャンルを開拓しようとしている感アリ。ただ、「もしかして私たち、俺たち、入れ替わってる!?」というつかみはOKなのだが、単発の「転・コウ・生」と違って連続ドラマなので、その後、どう展開していくのかは難しいところ。もしかしたら、後半はストーリーががらりと変わり、その後半にこそ本来描きたかったテーマが出てくるのかもしれない。

 逆に、キャリアのある脚本家と主演俳優が初めて組む作品も多く、新しい化学反応も楽しめそうだ。『姉ちゃんの恋人』(カンテレ・フジテレビ系)が好評だった脚本家・岡田惠和は『にじいろカルテ』(1月21日スタート、テレビ朝日系)に連投し、連続ドラマでは初めて高畑充希と組む。といっても、収録は既に最終話まで済んでおり、新型コロナウイルス感染拡大による中断の心配がないのは強みだ。虹色村という架空の村を舞台に、東京の大病院から転職してきた内科医・真空(高畑充希)と同じ診療所に勤務することになる外科医の朔(井浦新)と看護師・太陽(北村匠海)、村の人々との交流が描かれる。基本はハートフルなストーリーだが、真空は奨学金の返済や人には言えない病を抱えており、涙を誘われるせつないシーンも多そう。朝ドラヒロインの高畑と、『ちゅらさん』『ひよっこ』(ともにNHK総合)など、朝ドラの名手・岡田の組み合わせだけに、人間ドラマとしては鉄板。他のキャストも井浦新が『アンナチュラル』(TBS系)の中堂に近い変わり者を演じるのも楽しみだし、北村と食堂店主を演じる眞島秀和という『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)の“わたさく”カップルが再共演するのも話題になりそうだ。

 また、『半分、青い。』(NHK総合)の北川悦吏子は『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(1月13日スタート、日本テレビ系)で、菅野美穂と初めて組む。菅野演じる美人でリッチな小説家と浜辺美波演じる腐女子の娘が反発しあいながらも絆を深めていくストーリーで、母親の碧は“恋愛小説の女王”と呼ばれる人。実際に“恋愛(ドラマ)の神様”と呼ばれ、娘がいる北川の実体験が活かされた内容になりそう。タワマンに住みブランド服を着ている母というバブリーな設定は、ロスジェネより下の世代には共感しにくいのだが、そこは嫌味のない菅野のキャラクターでカバーできそうだ。娘サイドの設定も、今キラキラと輝く浜辺美波に彼氏ができなかったら、もう誰にも一生できない気もするが、ガチのオタクというのはハマり役だし、岡田健史演じるちょっと天然な大学生との恋愛模様も楽しみだ。

 さらに、『龍馬伝』『まんぷく』(ともにNHK総合)の福田靖が生田斗真と組む『書けないッ!?~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~』(1月16日スタート、テレビ朝日系)も。生田が演じるのは、ベストセラー作家の妻(吉瀬美智子)と結婚しているが、自身は売れていない脚本家兼主夫の圭佑で、ある日突然、ゴールデンタイムの連続ドラマを任され、生活が一変してしまう。そのドラマの内容は未定なのだが主演俳優(岡田将生)だけは決まっているという連ドラあるあるのキャスティング先行型。脚本家がテレビ局のプロデューサーや演出家や俳優の無茶振りにあうという虚実入り交じる話になり、福田にとってもある程度、自身を投影した新境地となりそうだ。

■小田慶子
ライター/編集。「週刊ザテレビジョン」などの編集部を経てフリーランスに。雑誌で日本のドラマ、映画を中心にインタビュー記事などを担当。映画のオフィシャルライターを務めることも。女性の生き方やジェンダーに関する記事も執筆。

■放送情報
日曜劇場『天国と地獄 ~サイコな2人~』
TBS系にて、1月17日(日)スタート 毎週日曜21:00~21:54
出演:綾瀬はるか、高橋一生、柄本佑、溝端淳平、中村ゆり、迫田孝也、林泰文、野間口徹、吉見一豊、馬場徹、谷恭輔、岸井ゆきの、木場勝己、北村一輝
脚本:森下佳子
編成・プロデュース:渡瀬暁彦
プロデュース:中島啓介
演出:平川雄一朗、青山貴洋、松木彩
製作著作:TBS
(c)TBS

『にじいろカルテ』
テレビ朝日系にて、1月21日(木)スタート 毎週木曜21:00〜21:54放送
※初回拡大スペシャル
出演:高畑充希、井浦新、北村匠海、安達祐実、眞島秀和、光石研、西田尚美、泉谷しげる、水野美紀、モト冬樹、半海一晃、池田良、水野久美
脚本:岡田惠和
演出:深川栄洋
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサ:貴島彩理(テレビ朝日)、松野千鶴子(アズバーズ)、岡美鶴(アズバーズ)
制作:テレビ朝日、アズバーズ
(c)テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/nijiiro/

『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』
日本テレビ系にて、1月13日(水)スタート 毎週水曜22:00放送
出演:菅野美穂、浜辺美波、岡田健史、沢村一樹、川上洋平、有田哲平、福原遥
脚本:北川悦吏子
チーフプロデューサー:加藤正俊
プロデューサー:小田玲奈、森雅弘、仲野尚之(AX-ON)
演出:南雲聖一、内田秀実
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/uchikare/
公式Twitter:@uchikare_ntv
公式Instagram:@uchikare_ntv

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