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東方神起、一挙フル公開した25作品のMVから辿る歩み ユンホとチャンミンが守り、築き上げてきたものの尊さ

リアルサウンド

21/1/12(火) 6:00

 東方神起が、12月末にYouTubeにて25作品のMVを一挙公開した(未公開及びショートバージョンのみ公開されていたもの※フルバージョンで公開されたものを除く)。コメント欄には「懐かしい!」「この曲がきっかけで東方神起を好きになりました」「K-POPを好きになるきっかけをありがとう」「当時振りを必死で練習した」……など、長年彼らを応援してきたファンたちの声で盛り上がりを見せている。

 また、日本語バージョンの楽曲たちであるにも関わらず、海外ファンからの書き込みも目立ち、なかには楽曲が発表された当時リアルタイムでは知らなかったという新しいファンからの喜びのコメントも。まるで思い出のアルバムを紐解くように公開された再生リスト。今回はその25作品を振り返り、改めて東方神起の進化に迫りたい。

2人の覚悟と強さを印象づけた2011年作品たち

 再生リストの最初を飾るのは、ユンホとチャンミンの2人体制となって初の楽曲「Why? (Keep Your Head Down)」だ。紆余曲折を経て“東方神起“を守りたいと立ち上がった2人の決意と覚悟が、力強いユンホの型とチャンミンの舞いで表現されるオープニング。彼らの動きがどれほどキレがあるものかをスローモーションで飛び散る粉塵が物語り、2人の揺るぎない精神が炎となって燃え盛る。2人が固く手を握り合い閃光が輝くシーンは、新しい道を切り拓いていく姿そのもの。まさに「不滅のアイドル」と呼ばれる伝説の始まりを告げるMVだ。

東方神起 / 「Why? [Keep Your Head Down]」Music Video(Full Version)

 以降、2011年は「Superstar」「B.U.T (BE-AU-TY)」「I Don’t Know」と、これまで2人が鍛錬を重ねて培ってきた強靭な肉体と洗練された美しさを印象づけるダンサブルなMV作品が続く。「Superstar」ではビジューが散りばめられた真っ白なスーツに身を包んだ2人はまさしくスーパースターの風格。ごまかしのきかない衣装ゆえに細かな足さばきが際立ち、黒衣装ではアップの表情が楽しめるというコントラストも見事。〈いっそ脱いでしまえばいい〉の歌詞に合わせてユンホがジャケットを翻し、チャンミンがメガネを外してニッコリと微笑むシーンは反則ものだ。

東方神起 / 「Superstar」Music Video(Full Version)

 「B.U.T (BE-AU-TY)」では荒廃したストリートファイトクラブが舞台。薄暗い中で、2人の光り輝く品の良さがにじみ出る。直線的な振りつけを静と動のメリハリをつけながら踊りこなす2人に改めて体幹の強さ、抜群のリズム感を感じ取ることができる。また、最大の見どころとなっているのが、ユンホの鍛え上げられた身体能力の高さを見せつけるアクションシーン。戦う鋭い表情と見事なハイキックは誰もが惚れずにいられない。

東方神起 / 「B.U.T (BE-AU-TY)」」Music Video(Full Version)

 そして、ダイナミックに動く振り子が印象的な「I Don’t Know」では2次元感のあるヘアメイクを、クリスマスシーズンにピッタリな「Winter Rose」ではゆるふわなヘアスタイルと白ニット姿を披露。「Duet」では息の合ったハーモニーで、バラードをしっとりと歌い上げ、アイドル性のある愛され力とアーティストとしての確かな実力、どちらの側面もバランスよく持ち合わせていることが、この時期のMVから見て取れる。

技術面の飛躍的な伸び、ピュアな想いが感じられる2012〜2013年作品

 2012年の「STILL」では、さらに表現力の部分でも磨きがかかった印象。カフェで物憂げな表情を浮かべたり、雑踏の中で立ちすくんでみたりと、彼ら自身が切ない恋を歌う「STILL」の世界観を表現しているのがわかる。歌詞に込められた想いの部分が眼差しからも伝わってくる。

東方神起 / 「STILL」Music Video(Full Version)

 そして2013年になると、「ANDROID」「Catch Me -If you wanna-」「Humanoids」と、もはや東方神起のダンスは“人間離れ“したとも言える、近未来や異世界を彷彿とさせるセットの中で激しいパフォーマンスが楽しめるMVが続く。特に「Catch Me -If you wanna-」では、ダンサーたちと息の合った腕が伸びたように見える動きが実に見事。また、チャンミンの高音シャウトはより伸びが増し、それこそ人間離れした域に達したと言いたくなるほど。

東方神起 / 「Catch Me -If you wanna-」Music Video(Full Version)

 映画『貞子3D2』の主題歌となった「SCREAM」ではホラーな世界観を表現してみせる。映画のテーマと共鳴したMVの世界観だが、機械のような正確さ、スタミナの切れない動きという意味での“人間離れ“に加えて、この世の物を超えた何かに達しようという彼らの勢いにリンクしているようにも感じる。

東方神起 / 「SCREAM」Music Video(Full Version)

 一方で、「In Our Time」「OCEAN」「Very Merry Xmas」「White」と人間味溢れる温かなMVもみられ、2013年はまさにMV豊作の年だ。独りでは生きられないこと、苦しいときは誰かがきっと手を差し伸べているからと歌う2人の優しい歌声に、少しだけ厳しいこの世界を好きになることができる。ビーチで楽しげにパーティーをして遊ぶ2人を見て、また東方神起のライブではしゃぐことを楽しみに頑張って生きることができる気がする。ファンはもちろん、ダンサーやスタッフたちの幸せをいつも願う、ピュアな東方神起をギュッと詰め込んだようなMVだ。

“大人“東方神起の覚醒と、近づく別れを予感させる2014〜2015年作品

 「Something」「Sweat」「Spinning」と、2014年のMVは大人の色香でクラクラするダンディな作品が揃う。「Something」では美女たちとの絡みが艶かしく、「Sweat」ではクラブに出入りするハマったらちょっぴりヤバそうな男たちに扮する。この時期、2人とも前髪が長く、かき上げる仕草も振りのひとつのように感じさせるほど色っぽい。また「Spinning」では、玉座に腰掛ける王のように堂々と振る舞い、K-POPのレジェンドクラスに到達した貫禄を感じさせるのだ。

 最初は小さな芽だった東方神起が、冷たい雨や厳しい強風に耐え、今では大きな木になった……そう思わせてくれるのが「TREE OF LIFE」だ。キラキラとしたMVからは、辛いことがあったとしても、やがて実を結ぶ日は必ずくるということを思わせてくれる。それは2人が人生をかけて見せてくれたもの。晴れ晴れとした表情は、人生のネガティブなものを包み込み、浄化していくような力さえあるように思えてくる。

東方神起 / 「TREE OF LIFE」Music Video(Full Version)

 スターとして影響力を持った人には共通して、ある役割が与えられるような気がする。それは、より良い世界になるようにと願い、その希望とも呼べる想いを広めていくこと。その役割が、彼らの手に回ってきたのだと、背中合わせで愛を歌う「Time Works Wonders」のMVを見ながら実感する。

東方神起 / 「Time Works Wonders」Music Video(Full Version)

 そんななか発表されたのが「Chandelier」。ウィンターシーズンの東方神起は、やはり白いニットがよく似合う。そして、〈きっと 遠くにいても 迷わないだろう「おかえり」の声を聞くまで〉と歌う声は、これまで以上に2人のビブラートが美しく耳に残る。ユンホの潤んだ瞳から、近づいてきた別れを彷彿とさせた。それは2年間の兵役というしばしの別れ。

東方神起 / 「Chandelier」Music Video(Full Version)

 そして兵役直前の「サクラミチ」では、東方神起の大樹に桜の花が咲き、〈きっと大丈夫 離れたとしても きっと大丈夫 ずっと繋がっている〉と歌う2人。生きていれば誰にも訪れる別れに寄り添ってくれる歌。そして、これから離れ離れになるファンに語りかけている歌でもある。ユンホとチャンミンが見つめ合いながら、お互いを励まし合っているようにも見えた。

東方神起 / 「サクラミチ」Music Video(Full Version)

 東方神起と切ないバラードの相性がいいのは、きっと心の琴線に触れるチャンミンの表情豊かな歌声と、ユンホが愛情深い繊細な心で歌詞を届けようとする表現力の相乗効果。歌の中だけではなく、現実の別れとリンクした「サクラミチ」はより一層エモーショナルなMVに仕上がっている。

度肝を抜いた再始動、そして自らを更新し続ける円熟期へ

 2017年、東方神起は兵役を終えて「Reboot」でカムバックを果たす。疾走感のあるメロディにキレキレのダンスは、2年のブランク中にむしろパワーアップしたとさえ思わせる見事な再始動で圧倒してくれた。ユンホのラップはカリスマ性を高め、チャンミンの歌に合わせた手振りもより大人っぽくセクシーになっているのを感じる。2人が東方神起として培ってきた、ダンス曲の魅力を全て凝縮したかのようなMVは、当時の最新作にして最高傑作とも言える名作だ。

東方神起 / 「Reboot」Music Video(Full Version)

 そして、2006年に日本6thシングルとして発売していた「Begin」を、2人で歌い直し「Begin ~Again Version~」としてMVを制作。レコーディング風景のようなナチュラルな出で立ちで、バンド、ストリングスに囲まれたマイクの前に立つ2人。見つめ合いながら、思い出の曲を噛みしめるように歌う姿に、彼らが何を思うのか。

東方神起 / 「Begin ~Again Version~」Music Video(Full Version)

 さらに、2006年日本4thシングルの「明日は来るから」も「明日は来るから ~TOMORROW Version~」として新たなMVに。これが今回公開された再生リストのラスト、25作品目となる。木々が並ぶ道や街の中を歩きながら歌う2人の肩の力が抜けた表情に、心が解けるようだ。そして白い衣装で立つヘリポートは、5人時代のMVで見た光景と交錯する。あの頃と地続きの夢を見ている、ということだろうか。〈はるかな〉とユンホが伸びやかに歌い上げる姿に胸が熱くなる。

東方神起 / 「明日は来るから ~TOMORROW Version~」Music Video (FULL Version)

 2人が守った“東方神起“は、過去を振り返ることも未来を見据えることもできる場所。壮大な世界観を表現する楽曲も、飾らない姿で歌う楽曲も成立する場所。そして、どんなに離れていても「ただいま」と言って戻ってこられる場所になった。25作品のMVを通じて、彼らの成長はもちろんのこと、築き上げてきたものの尊さを感じることができた。

 そして今、私たちは予期せぬタイミングで東方神起と会えない日々を過ごしている。それは、兵役のときのように期限が見えない。だが、MVを振り返ればこの試練もきっと乗り越えられるはずだと思えてくる。そして、この会えない日々の間に必ず、東方神起はパワーアップして私たちの度肝を抜くステージを届けてくれると信じている。だから今は、このMVたちを愛でながら、その日が来ることを楽しみに待ちたい。

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