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日向坂46が貫く“誰もおいていかない姿勢” 休業やアクシデントを乗り越える本質的なグループ力

リアルサウンド

21/1/5(火) 16:00

 2020年12月31日、日向坂46は『第71回NHK紅白歌合戦』で「アザトカワイイ」を歌唱して、「躍進の1年」を笑顔で飾った。そして、2021年1月1日にはさっそく年始の高視聴率番組『芸能人格付けチェック!これぞ真の一流品だ! 2021お正月SP』に小坂菜緒、佐々木美玲、加藤史帆が出演。ダンス問題を見事に正解しながら、最終問題の選択で「映す価値なし」になるという、番組的に美味しい活躍をみせて幸先のいいスタートを切った。

 日向坂46が躍進した理由として冠番組『日向坂で会いましょう』(テレビ東京)をはじめとした「バラエティ番組での対応力の高さ」が挙げられることが多いが、筆者が挙げたいのは「誰もおいていかない」姿勢だ。それは、けやき坂46として未来が見えないとしても笑顔で走り続けてきた経験に基づいているのだろう。

 2020年8月に公開された日向坂46初のドキュメンタリー映画『3年目のデビュー』では、柔らかくも毅然とした態度でメンバーをまとめている佐々木久美だが、苦楽を共にした柿崎芽実や井口眞緒との別れの場面では人目をはばからず涙を流している。

「決まったことだし、しょうがないとは分かっていても」「送り出されていく瞬間を見ると悲しくなっちゃいましたね」(佐々木久美『Top Yell NEO 2020 AUTUMN』)

 濱岸ひよりが2019年6月から約半年間にわたって活動を休止していた時期は、“母親”的存在の佐々木美玲が連絡を取り続けた。濱岸は美玲の存在に救われたという。

「活動していない期間、メンバーと話していなかったら気持ちも離れていたと思うんです。みーぱんさんがずっと連絡を取ってくださったので『戻ろう』と決意できました。みーぱんさんがいなかったら戻っていなかったと思います」(濱岸ひより『Top Yell NEO 2020 AUTUMN』)

 そして、2020年12月24日に行われた無観客配信ライブ『ひなくり2020 ~おばけホテルと22人のサンタクロース』では、体調不良のために活動休止中の宮田愛萌が影ナレを担当し、ライブ中には眼科系の病気のため同年9月から療養している松田好花が花ちゃんズとしてサプライズ復帰した。

 松田の復帰に花ちゃんズの相方・富田鈴花は涙を見せたが、プライベートでも松田と富田と3人で行動することが多いという渡邉美穂も高校球児のように号泣した。

 渡邉は「もう言葉に表せないくらい色々な想いがあって。正直、ずっと心配だったし寂しかったです。だから、ステージに立っている好花を見て色んな感情が湧いてきました」とブログに綴っている。

 その渡邉は『ひなくり2020』で、体調を崩した小坂をライブ中に支えていた。前年の『ひなくり2019』で東京ドームライブが発表された時は先輩の高本彩花を支え、シングルのヒット祈願企画が行われるたびにメンバーを励ましてきように、渡邉は仲間への想いを行動で表すことができる存在だ。渡邉はこう語っている。

「おひさまから『この子はヒット祈願のたびに誰かを支えている』と言われました(笑)。自分では気づかなかったけど、そういうタイプなのかなって。10年間バスケ部をやっていたこともあって、仲間と一緒に頑張りたい気持ちが強いのかもしれません」(渡邉美穂『Top Yell NEO 2020 SPRING』)

 また、前述した『日向坂で会いましょう』でも番組開始当初(『ひらがな推し』)から積極性を見せていたメンバーだけでなく、現在は「メンバーそれぞれが自分のキャラを見つけて、優劣なく活躍できている状態」(富田鈴花『BUBKA』2021年2月号)になっている。

 バラエティに苦手意識を持っていた河田陽菜と潮紗理菜は「変わった」メンバーのひとりだ。2人とも共通して「ありのままの自分」を出せるようになったという。

「以前はバラエティが苦手だと思っていたんですけど、いまは『楽しい』と思えるようになりました」「何も考えずにありのままの自分を出すようになりました(笑)」(河田陽菜『Top Yell NEO 2020 AUTUMN』)

「私はグループに入った時からバラエティ番組への苦手意識が強くて、カメラが怖くなっていた時期もありました」「自分ができないことでメンバーに迷惑をかけてしまったんですけど、みんなは『大丈夫だよ』と温かい言葉をくれて寄り添ってくれて。さらにオードリーさん、サンシャリーナ(潮のファン)のみなさんのおかげで、いまはありのままの自分でお話できるようになりました」(潮紗理菜『BUBKA』2021年2月号)

 さらに、潮は同インタビューで「私がネガティブになった時はまわりのメンバーが助けてくれるというか、まわりにSOSを出さなくても気づいたら寄り添ってくれるんです」と語っている。

 彼女たちは「約束の卵」の〈もし仲間が倒れた時は僕が背負うから〉〈一歩一歩寄り添うように 一つになって歩いて行こう〉という歌詞を実践しているグループなのだ。日向坂46の「誰もおいていかない」姿勢が、楽しいことだけじゃなく辛いことも苦しいこともあった人たちの心を救っているのだろう。

 その姿勢が変わらない限り、2021年も日向坂46の躍進は続くはずだ。そして、今年こそ“約束の卵”である東京ドーム公演で輝かしいパフォーマンスを見せてくれるに違いない。

■大貫真之介(おおぬき しんのすけ)
フリーの編集・ライター。アイドルを中心に、サブカルチャー全般を多くの雑誌に寄稿。『EX大衆』、『月刊エンタメ』、『日経エンタテインメント!』、『OVERTURE』などで坂道シリーズの記事を執筆。

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