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乃木坂46 秋元真夏 1万字インタビュー「後輩グループも背負っているという責任感が芽生えてきた」

リアルサウンド

20/1/3(金) 12:00

 乃木坂46にとって2019年は、西野七瀬や桜井玲香ら1期生の卒業、4期生の本格的な合流、アジア圏での海外公演など、例年以上に変化のあった1年だった。ただ、そんな大きな出来事がありながらも、グループ全体としては盤石な姿勢を崩さないことが、結成8年目を迎えた乃木坂46の強さや存在感の大きさを象徴していたようにも思う。

参考:乃木坂46 秋元真夏、キャプテン就任の理由 1.5期生としての加入から現在までの歩みから考察

 そんなグループの中で大きな役目を担うことになったメンバーが、卒業した桜井に代わってキャプテンに就任した秋元真夏だろう。グループとしての活動はもちろん、個人でもバラエティ番組への出演、2019年は舞台『サザエさん』で磯野ワカメ役を演じるなど、乃木坂46の間口を広げてきた秋元。そんな彼女に乃木坂46の2019年を振り返ってもらいながら、新たに芽生えたキャプテンとしての自覚や責任感、客観的に見た乃木坂46の現在と坂道グループ全体について、そして個人としての今後を語ってもらった。(編集部)

■以前と同じものにするのは無理だと気づいた1年

ーー2019年の乃木坂46を振り返ると、2018年から続く1期生の卒業に加えて4期生という新たな戦力の加入という2つのトピックが挙げられると思います。そんな中で、秋元さんは2019年前半と後半とでグループ内での立ち位置がガラッと変わった、特殊なポジションにいると思うんです。

秋元真夏(以下、秋元):確かにそうですね。

ーーそんな秋元さんの目から見た2019年の乃木坂46は、どのように映りますか?

秋元:2018年から続いてメンバーが減っていくにつれて、特になーちゃん(西野七瀬)のような「乃木坂46の顔」としてグループを引っ張ってくれた子がいなくなると、残ったメンバーにはその子の穴を埋めなくちゃいけないという気持ちが芽生えると思うんです。例えば、ファンの人から見た「記憶の中にある乃木坂46」にポコっと穴が空いてしまうと、以前とは違うものに見えてしまいそうで。その「記憶の中にある乃木坂46」を保つためにはどうすればいいのか、すごく考えた1年だったかなという気がします。ただ、その穴に誰かを入れたら必ず当てはまって、埋まったから完成ということには絶対にならないし、以前と同じものにするのは無理だということにも気づいた1年でもありました。

ーー「ポスト西野七瀬はこのメンバーです」と、以前の枠に収めようとしても、以前と同じものにはならないし、そうすることが必ずしも正解ではないと。

秋元:はい。あと、これは自分に関してなんですが、キャプテンの桜井玲香が卒業して後任に私が入ったときに、玲香はガツガツ引っ張っていくというよりは背中で見せていくタイプで、私もそんなにしっかりしてないので引っ張っていくという感じではないという共通点はあるんですけど、まったく一緒ではないんだなというのも感じました。

ーー同じことをしようとしても、人が変われば以前とは違うものになると。アイドルグループを長く続けていくうえで、その問題は避けては通れないものですよね。

秋元:乃木坂46って問題なくトントン拍子で進んでいると思われたり、常に右肩上がりだねと言ってもらえることが多かった気がするんですけど、この難しさはまだ解決できていない気はします。

ーー4期生加入から1年経ちましたが、彼女たちがどんどん個性を見出すことで、また変わりそうな気がします。

秋元:選抜に入ったメンバーもまだ3人しかいないですしね。3期生も選抜に入ったメンバーが増えたことで新しい個性を見つけられたと思うので、2020年はそういった面での変化があるかもしれないですね。

■“一番の夢”を悔しいままで終わらせちゃいけない

ーー2011年8月に結成した乃木坂46も、結成10周年まで2年を切りました。正直、ここまで続いていること自体がすごいですよね。

秋元:本当ですね。そこまでは意地でもグループを維持しなくちゃいけないというのは、10周年を目前にした今だからこそより感じます。

ーー手探りの中始まった乃木坂46の地盤がなんとなく固まったのは、おそらく5年目ぐらいだったのかなという印象があって。それ以降の5年というのは、その完成に近づいた乃木坂46をどう広げていくか、どう次につないでいくかが課題だったのかなと思うんです。

秋元:そうですね。初期から活動してきたメンバーは個々にやりたいことが見つけられたかもしれないし、逆に途中から加入したメンバーはグループでの活動に力を注ぐことに必死だったりと、今は5年目の頃よりも個々が向いている方向がバラバラなのかもしれないなと感じていて。5年目の頃はまだみんながグループのことで精一杯だったけど、そこから活動の幅が広がったことで選択肢が増えた。そんな今だからこそ、大きな目標をひとつ持つことが大事になるのかなと思っています。

ーーまた視点を変えると、地盤を固めたあとの5年というのは「日本のトップアイドルグループ」として必要な要素をどんどん手に入れる時期でもあったのかなと。それこそ、2017年には初の東京ドーム公演も実現したし、同年末には日本レコード大賞も受賞したわけですから。

秋元: 5年目を迎えるちょっと前ぐらいに、取材で「グループで達成したい来年の目標はなんですか?」と聞かれたときはみんな「東京ドームでライブをやりたい」と言っていたんです。その夢を達成できて、レコード大賞まで獲らせていただいた。で、そのあとにメンバーに同じ質問をすると、結構答えが出てこないんですよ。だからこそ、同じ目標をひとつ持つこと、その目標を探すことが今は重要な気がしていて。私は今、定まった目標がないという状況に危機感を持たないといけないのかなって、最近こういう1年を振り返る話をする中で感じるんです。

ーー今はそれだけ選択肢が増えた、恵まれた状況にあるということですよね。グループとしても個人としても、以前と比べたらいろいろ挑戦できる環境だし、実現できる環境であると。その中に置かれた皆さんに、いい意味で欲が出てきたということなんでしょう。

秋元:確かにそうですね。グループでの活動がすごく好きなメンバーも、外での活動が好きなメンバーも、両立しやすい状況になったのかなという気はします。それは決してマイナスではないですものね。ただ、私としては……東京ドームってまだ1回しか経験していないし、終わった直後にみんな「悔しい」って言葉を口にしていたので、その経験をしているメンバーたちのリベンジというか、やりきったぞと言える東京ドーム公演はやってみたい、という気持ちはずっと持っています。特に私は、玲香がめちゃめちゃ悔しがっていたのがすごく印象に残っていて、その気持ちを残したまま卒業してしまっているので、東京ドームという一番の夢だった場所でライブができた思い出を悔しいままで終わらせちゃいけないと思うんです。

ーー2017年以降、大阪や名古屋、福岡ではドーム公演を何度か行なっていますが、確かに今の乃木坂46が再び東京ドームでパフォーマンスしたらどんなステージを見せてくれるのかは気になります。それに、当時よりも成長した3期生や、初めて東京ドームに立つことになる4期生の活躍も楽しみですし。

秋元:最近は3・4期生ライブもありましたし。後輩たちが先輩抜きで作るライブを経験したことでさらに実力を付けたはずなので、その状態で臨める東京ドーム公演がもし実現したら、より素晴らしいものができそうな気がします。

■控えめながらも内に秘めたものを持っているのが乃木坂46らしい

ーーちょうど話題に挙がりましたが、11月26、27日に行われた3・4期生ライブは今後の新たな可能性を感じさせる素晴らしい内容でしたよね。

秋元:本当にそうですね。やっぱり卒業生が増えたり同期が減ったりして「どうしようかな?」と不安も感じていたんですけど、後輩たちがあれだけのステージを完成させてくれたのを見て、「この穴を埋めなくちゃいけない」ということを誰かに言われたわけではなく、自分たちで感じて、考えてくれたんだなと感じました。もしかしたら、そのポジションに行きたいと思ってくれているメンバーもいるかもしれないし、その控えめながらも内に秘めたものを持っているのが乃木坂46らしくて、そういう面がよく表れたライブだったと思います。

ーーきっと先輩がいたら恐縮してそこまで前に出られない子も、気心知れた先輩後輩同士ですごくやりやすかったでしょうし。あそこまでライブでのびのびしている3期生や4期生を初めて目にしましたものね。

秋元:そうなんです。なんだか「いいお姉ちゃんと妹」という関係性が見えてきて、あまり縦の関係を強く感じさせないあの空気を全体ライブでも出してほしいなと思いました。

ーーまた、「自分たちで感じて、考えてくれた」という点においては、梅澤美波さんや久保史緒里さんのようなメンバーがリーダーシップを発揮していたのも印象的でした。

秋元:やっぱり各期にそういうメンバーって必ずひとりは必要ですし、私たちが卒業したあとも乃木坂46には続いていってほしいので、彼女たちの頑張りを見て安心しました。

■京セラドームの4日間でメンバーみんなが強くなった

ーー2019年の乃木坂46はライブが印象に残った1年でもありましたよね。2月には京セラドームでのバースデーライブがあり、5月には選抜、アンダー、4期生と内容の異なる横浜アリーナ3DAYS公演を開催。夏には全国ドーム&スタジアムツアーを行い、10月には幕張メッセイベントホールでのアンダーライブ、11月には先の3・4期生ライブがありました。また、1月には台北、10月には上海での海外公演もありました。

秋元:そう考えると、今年は例年に比べてライブが多かった印象がありますよね。乃木坂46ってライブが少ないイメージを抱かれがちなんですけど、2019年はかなり充実したライブができたかなという気がしています。

ーー秋元さんが個人的に、特に印象に残ったライブは?

秋元:私は2月の京セラドームの4日間、メンバー全員の団結力がすごく印象に残っていて。これは裏にいたメンバーにしか感じられないものかもしれないですけど、かなりタイトなスケジュールの中、誰も体調を崩すことなく、万全な状態を4日間どうにか保てたのは、たぶんめちゃめちゃ神経を張り詰めてやってくれたからだと思うんです。そういう気合いをすごく感じられたライブでしたし、あの4日間でメンバーみんながすごく強くなった気がします。

ーーそもそも、4日間で177曲を披露するってこと自体がかなり無茶なことですものね(笑)。

秋元:そうなんですよ(笑)。初期は曲数も少なかったので、体力的にもよかったんですけど、回を重ねるごとに「これ、何年続くかわかってるのかな?」と不安になるし(笑)。でも、ここまできたらメンバー同士で協力するしかないので。1年のうちにバースデーライブでしかやらない曲もたくさんあって、振り付けを確認するために古い動画を持っていないか、メンバー同士で声を掛け合って、持っているメンバーがみんなに送って、それを観ながら必死に思い出したりしてます(笑)。そうやって「もうやるしかない、やり遂げるしかない」とみんなが集中して、必死にやることで本当に大きなものを全員で作り上げている感覚が、特にバースデーライブでは感じられますね。

ーー年に一度、そういう実感ができる瞬間があるのはよかったですよね。

秋元:本当に。でも、卒業生のポジションに入る後輩たちは信じられない曲数を一から覚えなくちゃいけなくて。前回も(山下)美月がかなり頑張っていたんですけど、そういう姿を周りから見ていて、忙しい中でも頑張っているのを知っているから積極的に支えようと思うし、本人も頼りすぎちゃいけないと思ってできる限り自分で頑張ろうとするし。グループ的にも、メンバー間の関係性がそこでより強固なものになった気がします。

■強い歌詞を繊細なアレンジを使って表現するのが「乃木坂らしさ」

ーー今度は楽曲面で2019年を振り返りたいと思います。乃木坂46は2019年、4月に4thアルバム『今が思い出になるまで』、5月に23rdシングル『Sing Out!』、9月に24thシングル『夜明けまで強がらなくてもいい』と3作品をリリース。それも印象的な楽曲が含まれた作品でしたね。

秋元:本当にそうですね。

ーーアルバムのインタビューで松村沙友理さんに話を伺ったとき、リード曲「ありがちな恋愛」の歌詞について「『ぐるぐるカーテン』の子たちがそのまま大人になったという感覚」と答えていたのが印象に残っていて。デビューから8年経とうとする今も、その感覚が引き継がれているところが「乃木坂46の楽曲」の魅力なのかなと思いました。

秋元:確かに。毎回新曲が届いたときは、メンバー同士で感想を言いあったりするんですけど、この「ありがちな恋愛」は「すごく乃木坂っぽいね」っていう声が多かったんですよ。きっと、みんな歌詞に過去との共通点を見出していたんでしょうね。

ーー改めて、秋元さんの目から見た「乃木坂46の楽曲」の魅力ってどういうところにあると思いますか?

秋元:乃木坂46の楽曲って、サウンドやアレンジで衝撃を与えたりインパクトを残すことは少ないかもしれないけど、実は歌詞の中には強さが秘められているんですよね。その強い歌詞を繊細なアレンジを使って表現するのが乃木坂らしさかなと思っていて、この雰囲気はメンバーが入れ替わったり後輩がたくさん生まれても、続いていってほしいなと思います。

ーー何年か前に、皆さんがよく口にしていた、誰もが知る……。

秋元:ヒット曲ですよね。よく言ってましたね。

ーーそれについては今、どう考えていますか?

秋元:そこの難しさはずっと感じています。「インフルエンサー」でレコード大賞を獲らせていただいたときは、それこそ特徴的なメロディやちょっと変わったダンスもあって覚えてもらえたのかなと最初は思っていたんですけど、あとになってみると……じゃあ誰もが知っているかと言われると、そこはまだ完全に達成できた気がしていなくて。なので、まだまだ目標としてずっと残ったままなんです。「誰もが知っている曲」を生み出すことって、本当に難しいことなんだなってこの8年で身を以て実感しました。

ーー特に乃木坂46がデビューして以降、音楽業界の構造自体も大きく変化して、「CDがたくさん売れた曲」が必ずしも「ヒット曲」とは言いきれない時代になりましたものね。

秋元:今はYouTubeから流行る曲もありますものね。となると、やっぱりSNSとか最近の中高生の発信力が重要になると思っていて。その層に知ってもらって、あちこちで「この曲が好き」と言ってもらえることが一番広まりやすい気がします。

■最近、キャプテンの重みを感じ始めました

ーー改めてここまでのお話を振り返ると、現在の状況は決して悲観的になるものではないですし、むしろ3期生や4期生が成長してここから乃木坂46がどう進化していくのかが楽しみになってきました。

秋元:私もです。正直、もう何期って関係なく活動していきたいなって、最近は思うんです。各期とも10人前後になってきて、特に1期生なんてもともと30人以上いたところが今はどんどん減っているので、もはや全体で見て考えたほうがまた違うものができるような気がしていて。そうすることで、2020年から新しいものを作っていけるんじゃないかと思うんです。

ーーそれこそ日向坂46は、けやき坂46から日向坂46に改名したことによってみんな横並びで一から再スタートした感覚もありますし。

秋元:確かにそうですね。欅坂46も日向坂46も、乃木坂46とは形態がまた違うので、そういった後輩グループから学ぶことも多くなりそうな気がします。

ーー2020年はグループの飛躍はもちろんですけど、秋元さんのキャプテンとしての飛躍にも期待しています。

秋元:ありがとうございます。でも……最近になって「私、なんでキャプテンなんだろう?」って、より思うんですよね(笑)。「大丈夫なのかな?」って。

ーー3カ月以上経ってから?

秋元:そう、ちゃんと重みを感じ始めました。キャプテンになりたての頃って実感が湧かないことが多かったですし、それこそ舞台で玲香がいないときにキャプテンの代役をさせてもらうことも多かったので、「そのときとそんなに変わらないかな?」ぐらいに構えていたんですけど、やっぱり年末になってくるとキャプテンとしての意見を求められたり、1年の総括を聞かれる機会が増えるので。キャプテンが発した言葉って、絶対に乃木坂46の言葉になってしまうから、すごく大きなことだなと思って。それを「本当に私でいいんですか?」って誰かに聞きたいんですけど、誰も答えてくれないんですよ(笑)。

ーーでも、2020年に入ったらまた心境にも変化もあると思いますよ?

秋元:ですかねえ。うん、そうだといいなあ。

■ますます卒業する理由がなくなっていく

ーーここからは秋元さん個人の活動についても話を聞かせてください。2019年は乃木坂46の外側での活動も充実した1年になりましたね。

秋元:すごく充実していましたね。今までの約8年間の中でも一番楽しかったと思えるぐらい……もちろん毎年楽しいと思っているんですけど、それをしっかり更新できた1年でした。

ーー新しいことに挑戦すること自体、活動歴が長くなるにつれてどんどん少なくなっていくのに、まさかこのタイミングに単独での舞台出演(8~9月に東京、福岡で上演された舞台『サザエさん』)やテレビドラマ出演(11~12月に放送されたWOWOW『連続ドラマW 引き抜き屋 ~ヘッドハンターの流儀~』)が続くという。

秋元:本当に「このタイミングで?」っていうことが多すぎて(笑)。ここまでくると、だいたい活動の方向性って決まってくるじゃないですか、「この子は舞台向き」「この子はモデル向き」って。その中で私はバラエティ方面が多かったので、そちら中心だろうと思っていたら急に舞台やドラマのお仕事が決まったんです。まさかすぎて、最初は本当にびっくりしましたよ。だって、マネージャーさんに「加入してから8年近く経つのに、このタイミングに新しいジャンルのお仕事がくるんですね?」って聞いちゃうくらいでしたから(笑)。

ーーそれこそ、撮影はその1年近く前でしたが、放送は2019年1月からだったテレビドラマ『ザンビ』(日本テレビ系)もありましたし。

秋元:そうだ、そうでしたね。『ザンビ』は特に年齢の若い後輩が中心で、そこに私が入っていて、「えっ、このメンツに私? 先生役かなあ?」と思っていたら普通に高校生役でしたし(笑)。普段から「秋元真夏(26)」っていう表記を目にして「自分も結構大人になったなあ」と実感するんですけど、アイドルのいいところってそういう年齢をあまり気にしないで活動できるところなのかなって。パッと見た感じで「アイドルグループだし、みんな同じくらいの年齢だよね」って雰囲気で活動できることは、私的にはすごく好きなところなんです。確かに外を見るといろいろ年齢を実感しますし、実生活でも友達が結婚した話を聞いたりすると一般的にはそういう年齢だなとも思うんですけど、この世界にいたらより自由度が高く、年齢も気にせずにいられるんですよね。だから、ますます卒業する理由がなくなっていくという(笑)。

ーー(笑)。

秋元:本当に、誰かに決めてほしいってぐらい、卒業する理由がなくて。周りは卒業していくかもしれないけど、なきゃないで自分の中で引っかかるところが出てくるまでは、自分はここにいていいのかなという気がします。

ーーそれが許される環境であるのなら、もちろん続けるべきだし、そうすることがグループにとってプラスになるんだったら全然良いことですものね。

秋元:本当にそうですね。

テレビが好きなので、そういう場からは退けない気がする
ーー実は、秋元さんに初めてインタビューしたのが2012年12月発売の4thシングル『制服のマネキン』のタイミングで、あれから7年経つんですよ。

秋元:ああ、そんなに経つんですね? 懐かしいと同時に、時の流れの速さが怖いですね(笑)。あの頃は、まさか自分がキャプテンになるとは思ってなかったですし。

ーーその取材で秋元さんにいろいろアンケートを行ったんですが、今日それを読み返してきたんです。

秋元:えっ、なんて言ってました? ほぼ初めてに近いぐらいの取材でしたし、完全なる一般人みたいな子が突然取材を受けたみたいなものでしたから(笑)。

ーー「10年後の自分のイメージを教えてください」という質問なんですが……。

秋元:19歳のときだから、29歳の自分ってことですよね。なんて答えたんだろう……「結婚して子どもが2人いそう」みたいな感じかな?

ーー正解は「アイドルは卒業してるのかなあ? でもなんとなくまだ結婚してない気がします(笑)。10年後も、アイドルではなく別の形で芸能活動を続けていたいです」でした。

秋元:すごい(笑)。あと3年かあ。スパッとやめるタイプではないので、もし乃木坂46を卒業していても芸能界には残っている気がしますね。

ーーもともと番組MCのような仕事に興味を持っていたり、それこそ乃木坂46に入る前はアナウンサーになりたいという夢を持っていたそうですが、そうやって喋ることで人を楽しませたい、癒したいという気持ちは今も変わらないわけですよね。

秋元:変わらないですね。やっぱり私はテレビが好きなので、人前に出てお客さんに見ていただくとか、そういう場からはなかなか退けない気がします。29歳の私は乃木坂46を卒業しているかはわからないし、もしかしたら残っているかもしれないですけど(笑)、芸能界でのお仕事は続けていきたいですね。

■坂道グループの代表として言葉を求められることも増えた

ーーそれでは、「2020年の秋元真夏」はどんな1年を望むのでしょう?

秋元:2019年は本当にいろんなジャンルのお仕事をさせていただけて、刺激がたくさんありました。その新鮮な感じがめちゃめちゃ楽しかったので、2020年もそういう刺激の多い1年にしたいですね。お芝居は上手なわけではないですけど、舞台やドラマには興味は湧きましたし。例えば、舞台やドラマという普段一緒にいるメンバーがいない現場に行くと、人間関係をまた一から築いていかなくちゃいけないわけですよね。そういう、ちょっと大変なことが私的にはすごく楽しくて。

ーー『16人のプリンシパル』の頃、演じることに苦戦していた秋元さんが舞台やドラマに積極的になっていることに、改めて時の流れを感じますね。

秋元:本当ですよね(笑)。『プリンシパル』を通じて、私は舞台稽古というものに苦手意識が植え付けられてしまっていたので、舞台『サザエさん』のときはめちゃめちゃ不安だったんです。しかも、舞台稽古の場所が『プリンシパル』のときと同じ場所だったんですよ! 「またあの同じ場所に通うんだ……どうしよう?」って意気消沈していたんですけど、『プリンシパル』から何年も経って気持ち的にも変わっていたこと、周りにいる私よりも先輩の方々がいろいろ教えてくださったこともあって、苦手意識がどんどん解消されていきました。

ーーそうだったんですね。そもそも、藤原紀香さんや高橋恵子さん、松平健さんなど大御所の役者さんとご一緒できる機会も、なかなかないですし。そのぶん、吸収できるものもたくさんあったんじゃないでしょうか?

秋元:ありました。皆さん、私がほぼ演技経験がないと知ると、「私も初めてのときはこうだったから」って自分の経験を話して安心させてくれたのが本当にうれしくて。そういった優しさに、改めて芸能界で長く活躍されている理由を感じましたし、そういうすごい人たちから直接学べる経験もなかなかないので、一回だったけど一生心に残ると経験をさせていただきました。

ーーしかも、舞台の稽古期間中にキャプテン就任もあったので、外からどう見られるのかも勉強になったでしょうし。

秋元:そうですね。より自分の見られ方を意識したし、それが乃木坂46としての印象にもなるという考え方も強くなって、以前よりも視野が広くなった気がします。それこそ今は乃木坂46としてだけでなく、坂道グループの代表として言葉を求められることも増えたので、一言一言の重みがより増していますし。3グループ中でキャプテンとしては一番後輩なんですけど、意見を求められるときはまず最初に乃木坂46にくるので、最近は後輩グループのことも背負っているという責任感も芽生えてきたところです。

 それと同時に、坂道グループでの活動とはまた違いますけど、『ひねくれ3』(テレビ東京『自慢したい人がいます~拝啓 ひねくれ3様~』)でご一緒している3人(南海キャンディーズ・山里亮太、ハライチ・岩井勇気、三四郎・小宮浩信)ともすごく仲良くなって、別のプチグループみたいな場所もできたので、乃木坂46では乃木坂46のことを考えつつ、外では山里さんや岩井さん、小宮さんに秋元真夏としての素の部分を出してもらえている。そういう切り替えができる場所ができたという意味でも、2019年は節目のタイミングになったのかなと思いますし、この場所を2020年も大切にしていきたいですね。(西廣智一)

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