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田中圭がついに現場に! 『おっさんずラブ』とは対照的な『健康で文化的な最低限度の生活』の演技

リアルサウンド

18/8/22(水) 6:00

 えみる(吉岡里帆)たちからの“扶養照会”を頑なに拒んでいた島岡光(佐野岳)。彼は、父・雷(小市慢太郎)が自分を探していることを知ると全力で逃亡し、やがて自殺を図る。

 8月21日に放送された火曜ドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』(カンテレ・フジテレビ系)第6話では、この島岡親子の衝撃の真実が明らかとなった。

【写真】第6話で活躍した田中圭

 父から逃げようとする光は、駅のホームで追ってくる駅員を振り切り、飛び込み自殺を図る。幸い命に別状はなかったものの入院を余儀なくされ、その入院先で、彼が幼い頃より父から性的虐待を受けていた事実が発覚。医師いわく、「“お仕置き”と称して8歳の頃からそういった行為を父から受けていた」ということで、光はPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症してしまっているのだという。

 重々しい展開であったが、今回はえみるの上司である京極(田中圭)の活躍が大きな見どころとなった。かねてより彼にあった、理路整然とした物言いに、落ち着いた雰囲気。その上司然とした態度には頼りがいのある面を感じながらも、同じようにえみるの上司である半田(井浦新)と比べると、どこか冷たい印象も受けていた。

 そんな彼が、今回はえみるとともに“現場”に立つ。えみるに“扶養照会”を指示したのは彼であり、自身の判断と光の起こした行動に対して大きな責任を感じているのだ。この“現場”とは、管理職である彼が役所から外へ出て、生活保護の利用者のもとに自ら赴くことを意味している。えみるの上司として絶対感すら漂わせていた彼だが、ここで初めて必死な姿を見せる。本作の主題の一つである「(生活保護利用者に)寄り添うこと」と、本作のキャッチコピーである“誰かのために、汗かく、夏。”を、彼は彼なりのやり方で体現するのだ。

 京極は光のもとを訪れて謝罪し、生活保護での援助を決定。かなり危険な道を通ることとなったが、なんとか前向きに事が運んでいるように見えた。しかし、あの父・雷が自らを京極だと偽り、光の入院している病院を訪れる。光自身が父との面会を拒絶しており、医師からも絶対に2人を会わせてはいけないと言われていたのにもかかわらずだ。雷が光の病室の扉に手をかけたところ、間一髪で阻止することにえみるたちは成功するが、京極が駆けつけていなければどうなっていたか、想像するのも恐ろしい。

 その京極を演じる田中。爆発的に人気と知名度を上げた『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)での好演も記憶に新しく、冴えない佇まいと、くるくると変化するお茶目な表情が印象的であったのに対し、今作での京極役はまさに対照的だ。これらを続けて観ている方ならば、田中の演技の振れ幅の大きさに十分な理解を持たれるのではないだろうか。彼は主演の吉岡より一回り年上だが、こういった後輩たちを導く先輩的ポジションに絶妙にハマるほど、演者として、1人の男性として、まさに脂が乗ってきている。

 えみるたち新人ケースワーカーに影響を与える存在の京極。だが、半田の静かな活躍も忘れてはいけない。今回の件で自信をなくしたえみるに、彼は「義経さんのおかげで明日が見えるようになった利用者もいる」と声をかけ、さらに彼女のことを「伴走者になる力を持っている人」と称した。物語の最後、これからPTSDの治療を受ける光に「味方でいますから」と伝えたえみるに対し、光は初めて、そっと笑顔を見せる。この笑顔を引き出した彼女の後ろには、タイプの違う先輩2人の存在があるのだ。

(折田侑駿)

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